カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 光る貝殻

=光る貝殻=

何もしたくない夜はある。ワックスで固めた髪が油と汗と混じってくぐちゃぐちゃになっていても、欠けた爪が服にひっかかったとしても、どうしようもない夜がある。何かをしようとする姿勢に対して、自分自身の弱い制約をかけて、こめかみを押さえてる。しなければいけないことを正面から見据えることができなくなったとき、居心地の悪さと、癒されない疲労が身体の芯に残ってしまう。文章を書こう書こう、とするほど、頭痛はひどくなってくる。三日月が雲に隠れたら、布団に潜ろう。眠れないとしても、何も考えることができないとしても、布団をかぶってしまおう。ベッドの中で、両足を腕で抱きかかえて、膝の間に頭を収納して、泣きたくないのに泣いているふりをしてみるんだ。ひどくひどく、逃げたくなったとき、自分の殻にすっぽりと閉じこもってしまうんだ。



2004年03月26日(金)



 混乱の泉


=混乱の泉=

文字の羅列。ため息と鶏。自分の手のひらで自分の身体を撫でて、寒気に身の毛もよだつ。果たして意味なんてものはあるのか。波状をきたす。天の向こう側に、何か、が、見えると良いな。自分の文章を見て吐き気を催す。発信用ではない文章は、どう見ても、不格好で、プライバシーの青臭い匂いに囲まれている。湖に石ころ1つ投げ込んだ。ニキビを潰す。見えるものはできるだけ見ないようにして、進んでいく。どこに? どこにだって。眠りを欲して、安眠、何も考えないこと。人であって人ではない。触れてはいけない傷跡に触れてみたくなる。顔が熱くなって、涙が出そうになった。薄く脂肪が身体を取り巻いている。血を抜くと黒かった。黒い髪の毛は逆立つことなくなびき、風に揺れて鳴いている。ぴーひょろろ。でんでん虫公社。はためきがそっと僕のことを押した。ほら、そのとおり、できる、で、しょう。う、うん。読むべきもではない。読まれるべきではない。世界の端っこなんてたいそうなところじゃなくて、真ん中でも端っこでも、名前のないところの普通のゴミ箱に捨てられるべき文章。
ようやく、眠れそう、だと思う。




2004年03月13日(土)
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