ジンジャーエール湖畔・於
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2005年09月25日(日)







総武線に出没するという[超・悪態]な女子の話をA子ちゃんから伝聞す。
朝の混んだ車内でものすごい罵詈雑言を周囲にまきちらすのだという。
正面にいる何の罪も咎もないおじさんに向かって「ハゲ!」となどと鋭利な罵倒をするなんてのはまだかわいい程度で、
「こちとら、介護でいそがしいっつんだよ、このスットコドッコイがぁ!!!!」
などとやたら哀れっぽく自分を語りながら、周囲に怒鳴りちらすという。
それも20代後半から30代前半の女子だというから驚いちゃう。
総武線のある駅間の利用者には有名なお話のようです。


その話でハッとしたのは「すっとこどっこい」という言葉の響き。


すっとこどっこい

SUTTOKODOKKOI

スットコドッコイ

酢・徒・児・怒・恋


言葉が頭の中に何度も何度もめぐっていた。
「この”すっとこどっこい”が!」とか言い捨てられる自分を想像するとなんだか楽しい気持ちになる。
また、「この“おかめとんちき”めが!」というのもアリかも。
面と向かって誰かに(親以外)にめちゃくちゃになじられたりりたことがないことに気づく。
子供のころは、よくクラスの友達と「喧嘩ごっこ」をしていて、
「ブス!」といわれたので「デブ!」と言い返すという超低脳な遊びが好きだった。
両者ともに遊びのつもりが本気で傷つき最後は必ず泣く。
日ごろ思っていることを口に出して鬱憤を晴らすというような類ではなくて、
あくまでも仲の良い友達、好きな人を傷つけることが目的にある。
母が父と夫婦喧嘩をすると、さんざん口汚く罵れるまで罵り、もう何もいう言葉がないよって位になると、
「あんたなんて、だいっきらい!」
という言葉で必ずしめくくられるのがおかしかった。
「大嫌い」という言葉は直接相手に言うのも言われた人も少ないのではないかと思う。
「大嫌い」と言う前に、それを言う相手がいない。
「苦手」な人や、ウマが合わない人というのはいても、
「嫌い」と断定できる人がいないのが私の実情だけど、世の中の人はみんな「嫌い」と自覚できる相手がきちんといるのかな。



■最近読んだ本
「愛犬家殺人事件」(志麻永幸著)
いままで読んだ実録犯罪ものの中で一番怖かった。
私はこの事件の名前は聞いたことはあっても、小学生かそこらへんでほとんど内容は知らなかったけど、
著者の志麻(山崎)永幸は、この連続殺人事件の主犯の関根元の放つ圧倒的な
負のオーラ、猟奇の匂いに震え上がり、いすくめられ、判断能力を失ってしまい、
手こそは下さないものの、死体遺棄に協力してしまうのだった。
志麻のしたことは立派な罪であり、途中でいくらでも警察に通報することはできたのだが、
彼が見てきたこの事件の様相、関根元、そして彼の共犯である妻のひろ子の狂い方を
読むと、「自分だったらどうしていたか」と思ってしまう。
そして、昔アイツがゆっていた「人間どんな状況においこまれても、殺るやつは殺るし、
殺らないやつは殺らないんだ。」という言葉を思い出していた。


「けもの道は暗い」(辻井喬著)
セゾングループの会長でもある辻井喬はいくつか小説を書いていて、
彼の本は初めて読んだのだけれど、すごく面白くて
小田急線の中でいくつもの時代・場所へ私自身が飛ばされてゆく心地がしていた。
「今昔物語」や「宇治拾遺」などの幻想譚を彼なりに料理していて、
ファナティックかつドラマティクに描かれる人間の“業”や“欲望”がよかった短編集。
とくに「狐の嫁入り」がすごく好きで、人間の男を好きになった狐の少女が
人間の女に化け、彼の子を生み、人間として暮らしたのち、
夫と子を捨て、獣道へ帰ってゆくというシンプルなストーリーなのだけれど、
別れるざるをえない事情で泣かせる話なのではなく、
女狐の人間の男に対する愛情の変化、そういう自分自身に対する葛藤、
欲望の話としてストーリーが昇華されているところにすごく共感した。
夫子に背を向ける女狐が、彼らの傍で別の雄狐との祝言をおこなうシーンなんて
もうなんていっていいか分からない、「痛切なエゴの存在を思う心」に泣きました。
ああもう、この話はまたこんどちゃんと書きたいと思います。







2005年09月07日(水) 鉄板の彼方に











sukoburu 胃がいたいのに、送別会で yakiniku へ・・・












祖師谷大蔵の店をめざして出発しながらも、到着30分前の私の胃は
「これがあと数十分後に動物性脂肪を迎える状態の胃??」
というくらい倦怠してて、ささくれだってた。いわゆるsuijakuって奴。





そして1時間30分後、えんもたけなわの鉄板上では
カルビとハツとギュウタンとトントロとワカドリが
ぎゅうぎゅうとひしめきあって、敷きつめられて、鉄板の上、灼熱の炎にさらされていた
それら灼熱のカタマリに檸檬汁をふりかけて、口腔に運ばんとする人々の箸のざわめき・・・
そして自らの胃をそれらで埋めんとす一連の動きの華麗さ…
この場のすべての人が肉を食べることを目的につどっており、
そうした目的を持たずにここの場に存在する人間はここでは私ひとり
ささくれだった内臓をかかえてぽつんとたたずむベンチでは
焼肉屋という場所が、まったく違った位相として目の前に浮かび上がってきたのだった




赤い血をしたたらせながらパチパチと燃焼されていく肉片たちをみていたら
食べている隣人たちの箸のうごきにあわせて自ずと
 RED BLOOD…
というアテレコをしてあげたくなった。ので人が食べているそばから吹替えるという遊びを考案した。
ゆっくりと肉をひっくりかえすアルジェント(仮名)
「RED BLOOD…」
赤い肉汁が炎に焼かれジュワー!すかさずつまみあげたのはスナイダー(仮名)
「RED BLOOD…」
奇妙な動きで誰よりも活発に肉を得ようとするのはオバノン(仮名)
「RRRR.RED BLOOD…!!!」

その文句が気に入ったので、 RED Fresh…  へとどんどん変化してゆき、
仕舞いにはハツを食べる人をみつけるやいなや、
 Red Hearts… 「ハツ」と「hearts」をかけたダジャレまで飛び出した。そうやって、メタメタの胃腸を抱えながらも焼肉屋にいる存在理由を見出していった。










角川春樹句集「JAPAN」にシビレテいます。 いろんな意味で



「俺は、一行詩になろうとしている」とか「生涯不良、それが俺の生き方」とか
強引なセルフイメージの演出がすごくて…。
他にも、「ある女に「天然危険物」といわれたことがある」、とか。
そしてそれにうなずいて相手をしている福田和也とか。













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