ジンジャーエール湖畔・於
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2005年02月02日(水) 生きている腸






海野十三の『生きている腸』を読んだ。
面白ーーーーーイ。
人間の腸を飼育するというヘンテコな所業にとりつかれた
医学生が主人公のマッドサイエンティストもの。
主人公の施しによって動いたり、言語も理解するようになったりする腸。
砂糖水が主食というのがかわいらしい。
そのうちその腸に「チコ」って名前をつけたりして、まったく以心伝心の二人(?)だが、
ちょっと数日家を空けた主人公が、久しぶりに家に帰ると
「チコ」が主人公に巻きついてきて首をしめられ窒息してしまう。
主人公の帰りに喜び、飛びついたつもりの「チコ」は、
勢いあまって主人公を絞め殺してしまうのだ。
切ない報われない恋物語。
ラストのここのくだりが泣けます。


 いわんや「生ける腸《はらわた》」のチコが、吹矢と同棲百二十日におよび、彼に非常なる愛着をもっていたこと、そして八日目にかえってきた彼の声を開き、嬉しさのあまり吹矢の首にとびつき、不幸にも彼を締め殺してしまった顛末などは、想像もしていないだろう。(「生きている腸」)



傑作だけど火の当たらないこの作品は井口昇ちゃんに映画してほしいです。
(くわしくはまた書きます。)






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