英国留学生活

2002年09月23日(月) 院の登録

今日から新学期。
なのに熱を出してしまった。
むー、急に寒くなったせいか、緊張のせいか。
今日は自分の学部に登録して、
レクチャーをなんだか2時間半聞いて終わり、だが、
明日は、大学のGraduate Officeの言語を絶する長蛇の列に
並ばなければならないので、
今日中に熱を下げたい。

学部は、日本人が多いときかされていたが、
思ったほどアジア人は少ない。
SOASと比べてしまうせいだろうか?
この町は移民が多く(主にインド・パキスタン系)、
この町の住人(特に白人)は、外国人にいい印象を持っていないとか。
友人の台湾人は道を歩いていてオレンジを投げつけられ、
タイ人は生卵を投げられた。
私は幸い、今のところそんな被害にはあっていないけど、
ロンドンからきた日本人の友人と日本語で話していたら、
「英語でしゃべれ!」と通りすがりの人に怒鳴られた。

頭がボーっとしていて考えがまとまらない。
そろそろ、レクチャーに行かなくては。



2002年09月20日(金) 祝−字幕改善

大学に行ってネットにつないだら、
字幕が改善されていることを知った。
良かった・・・。
正直、あの日本ヘラルドの対応から見て、
何も変わらないか、変な方向に修正が入るかと危惧していた。
でも、何よりボロミアが嘘吐きじゃなくなっているし、
デネソールもちゃんと生きているみたいだし。
やればできるんじゃない・・・最初からやってよ。
「二つの塔」もこの調子でお願いしたい。

やっぱり企業として、表立って非は認められないけど、
顧客の意見としては一応無視できない、という感じなのだろうか?
表向きだけ非を認めて、内容を変えないよりはいいけどね。
今回の件で、根強く抱いた映画字幕に対しての不信は、
拭い去れそうにはない。



2002年09月17日(火) On an average day

He was nothing.
He was an average.

今日は、昔"ヒドゥン"で好きだったカイル・マクラクランのお芝居、
On an average dayを観に行った。
英語力の無さを痛感しました・・・(涙)。

スタンバイ・チケットが買えたので、一旦外でマフィンを食べて、
スーパーで水を買って戻ると、なんだか、
イヴニングを着たような人たちが、劇場外まで溢れて、
手にワイングラスや、シャンパングラスを持っている。
今までに無い展開だ。
どうしよう、スーパーの袋そのまま持っているんだけど。
案内の係りの人が、「先にお飲み物にしますか?」と聞いてくるので、
"何か必ずオーダーしなきゃいけないんですか?" と聞こうと思って、「Excuse, me・・・」と言いかけると。
「Oh, I'm sorry, アーイム、ジャースト、アースキーング・・・」
いえ、あの、聞き取れなかったわけではないの。
でも、お芝居は聞き取れてない・・・。

このお芝居、ブロードウェイからウェスト・エンドにきた。
ライターはアメリカ人のJohn Kolvenbach。
(そう、アメリカン・イングリッシュなのも敗因の一つだ)
写真では見るからに若い、繊細な文学青年風。
off-broadwayで活躍していたらしい。
舞台の大道具をスタッフの家の家具で、賄っちゃうような。
確かにそんな感じの舞台装置だ。

舞台はごみ捨て場の中の一軒家(一室)。登場人物は二人の兄弟のみ。
父親に育てられた兄弟。しかし、兄Jack(Kyle MacLachlan)が15歳、
弟Robert(Woody Harrelson)が 7歳の時に父は蒸発する。
その後、兄のジャックもまた、弟を残して姿を消す。
そして、23年後、兄が再び弟の元を訪れたところから物語は始まる。
Comedy Theatreで上演しているだけあって、一応コメディなんだけど、
そして確かに特に前半部は笑えるんだけど、
最後はやるせない感じだった、後味が悪いわけではないけれど。
もう一回ぐらい観たかったが、10月末までなので、
もうチャンスは無いなー。
あと1週間長くやってくれれば、マクベス観に行くから、観られたのだけど。
しかし、好きな数少ない俳優の2人が、お芝居やっている時に
イギリスにいたのはラッキーだ。

「ジャック、僕の為に祈ってくれ。」
「駄目だ、できない。」
「何故?」
「祈り方を、忘れてしまったから。」
「じゃあ、もう行く時間ってことかい?」
「いや、行かない。」
「ここに留まるのか?」
「いいや、ここには留まらない、どこにも行きもしない。」
「じゃあ、どうするんだ?」
Bang・・・

ありふれた一日、何も変わらない一日、何も変われない一日。



2002年09月16日(月) ロンドン観光

今日から、4日間ほど、初心に戻って(?)ロンドンで観光客をやろう。
と思っていたのに、午前中は友人宅でだらだらしてしまった。
午後、元いた大学の辺りをぶらぶらして、本屋をのぞいたり、
大英博で、パルテノン彫刻を見たりしていた。

6時、友人と旧クラスメート2人とパレス・シアターで待ち合わせ、
レ・ミゼラブルを観た。
以前、Catsに出演していたDavid Ashley氏が出ていると聞いていたので、
楽しみにしていた。
スタン・バイチケット(学生割引)で、前から3番目の席を取る。
私は今回が2度目。
以前のバルジャンとジャベールは迫力あって、素晴らしかった。
特に、I swear to you I will be there. とかって、2人で歌うところが。

今回のバルジャンはセカンドらしいが、ちょっとイエス顔。
聖人らしくていいけど。やや迫力にかけるものの、声自体は割と好き。
ジャベールは、以前のマイケル・マッカーシーが良かったなあ。
フォンティーヌもセカンドだったらしいけど、恋人のことを歌うところで、
「そして秋が来て、彼は去った」という時に、いやにコブシが入っていた。
そして今回発見したこと。
友人一同、コゼット嫌いで、エポニーヌ好き、マリウスは興味なし。
時間の関係で仕方ないことだけど、コゼット達、一目ぼれ過ぎ。
「人はどうしてこんなにすぐに恋に落ちるの」などと歌っているが、
いや、君ほど瞬速の人はいない。

アシュレー氏の役は、右から2番目の囚人、Bomatabois、乞食、
Grantaire、結婚式の客。といった所か。
グランテールは役柄として悪くないし、
("Drink with me to days gone by"も歌うし、
死ぬ時もかなり目立っているし。)
結婚式の時のタキシード姿も格好いいのだが、歌うパートが少ないのと、
あの魅惑の低音が聞けないのとでちょっと残念だった。

いろいろ、けちをつけてしまっているようだけど、今回も劇中3回泣いてる。
革命前夜の、ぎりぎりまで溜め込まれた絶望と、
噴火直前のエネルギー、みたいなものを感じるのが、
好きなのかもしれない。
「兄弟よ、銀の燭台を忘れているよ」や、
ジャベールやバルジャンの死の名場面も好きだけど。

おまけ:
ブローシャーを買うと、Theatreという雑誌がおまけでついてくるのだが、
今回はショーン・ビーン氏が載っていた。ちょっと嬉しい。あと1ヶ月か。
でも、友人はそのタイトルの"Mac the knife"が、
"Jack the ripper"みたいだと、何故か大うけしていた。君、笑いすぎ。



2002年09月15日(日) 世界最大の温泉

今日は最大の目的の、ブルー・ラグーンへ。
しかし、矢張りバスが一日に2本。使えない・・・。
仕方なくまたタクシーで。

途中また霧雨。一年中こんな天気なんだろうか?
それともこの時期だけ?
しかし霧雨に煙る中、見えるのは苔むした溶岩石。
コーンウォール以上に荒涼とした雰囲気。
取り立てて変化の無い風景だが、見ていて飽きない。
所々、アイスブルーの池があって、冷涼とした風情を助長させる。
だが、その冷たい色味はとても綺麗。

ツーリスト・インフォメーションで9時半オープンと聞き、
一番乗りしようと行ったら、10時開場だった。・・・。
タクシードライバーはどう思っただろう。
10時まで近くの岩場で遊ぶ。予想に反して、苔が深くて、ふかふかだった。
腐っていく上から、苔が生えるのだろうか?
これを見ていると、この霧雨は一年中なのかな、と思う。
少し高い岩場の上に登り、辺りを見晴るかす。
殆ど潅木さえも見えず、一面溶岩の焦げ茶と苔の鈍い緑。
遠くに火山が見える。
見たことの無い風景。北の果てに来たんだなあ。

さて、10時。私たちが扉の前に先に陣取っていたにも関わらず、
団体客に先を越されて、友人が静かに激怒している。
まあ、観光に来てまでそう怒るな。
世界最大の温泉、且つ観光産業が発達していないとはいえ、
おそらく観光の最大の目玉であろう、
ブルー・ラグーンの施設は確かに良く整っていた。
私としては、今が季節的にぎりぎりだなあ、と思う。
日中、10度ぐらいにまであがるとはいえ、
水着で外に出るのはちょっと厳しい。
でも、海水温泉はとっても気持ち良かった。
色は、蒼味がかった乳白色。
日本のどこかの温泉にもありそうだけど、とにかく広くて、
溶岩石に囲まれているので雰囲気が違う。
蒸気を上げている箇所の辺りが一番深く、1m30ぐらいだろうか?

突然友人が、「見て、サルマンの手下がいる」と言い出すので、
何のことかと思ったら、白いクレイパックをした人々だった。
確かに塩の粒々が凹凸を作り出し、
しかもいい加減に塗っているから手の形が残っている。
そして私たちもサルマンの手下に。
肌が確かにつるつるになった。でも持続しないんだよねえ。

優雅な気分で半日遊んだけど、また空港までが・・・以下略。
余ったクローネで、機内で何かを買って使い切ってしまおうと思ったのに、
爆睡してしまって何も買えなかった。
もう行くことはないだろうに・・・。
ゲイシルの間欠泉とか、雄大な自然とかを見てみたい気もするけど。



2002年09月14日(土) アイスランドで市民プール

朝、いきなり首都レイキャビク行きのバスに乗り遅れる。
(時刻表を知らなかった)次は、3時間後。
他の交通機関はタクシーを呼ぶしかないらしい。
というか、電車は通ってないらしい、この国。

しかも、手持ちの現金ではレイキャビクまでたどり着けない。
町からホテルが遠いのは承知していたけど、こんなに交通手段が無いとは。
友人と二人、行き当たりばったり感を遺憾なく発揮して、とりあえず歩く。
霧とも雨ともつかない天気。気温は4度。
さすがに英国と比べても格段に寒い。
適当に歩いて、中心部まで連れて行ってもらって降りる。

ここが・・・中心部?今日は確か土曜日の筈。
でも人通りが極めて少ない。人口からするとこんなもの?
ツーリスト・インフォメーションで、パンフレットを収拾。
国立博物館でサーガ(指輪物語に影響を与えた物)も見たいし、
アウイバイル野外民族博物館で再現された古い農家や教会も見たい。
だが、結構どこも遠く散らばっている。
結局、レイキャビック最大のレジャー施設
ロイガルダールル温泉プールとやらへ午後に行くことに決定。

午前中は、街中をぷらぷらした。
宝飾店が多く、自然をモチーフにしたような
(白樺の樹皮とか木の葉とか)アクセサリーが多くて、とても可愛い。
色々欲しくなったが、特に心惹かれたのが、This is the one ring.
あー、なんか似ているのがあるなーとショーウィンドーを眺めていたら、
本当にエルフ文字が書かれていた・・・。
あの詩をアレンジして、ラブリングにしていたのだけど。
One Ring to bind us, One Ring to show our love,
One Ring to bring us and entwine us ・・・とか、だったと思う、
うろ覚えだけど。
ほしーなーと思って、お店でしばし悩んでいたが、
友人に「ラブリングを自分で自分に買うわけ?」と
氷点下の冷たさで言い放たれて、諦めた。
しょうがない、英国で指輪物語ゴブレットセットを買うか。
(真鍮製のワイングラスやショットグラスで、丸彫りされた
ケレボルンやガラドリエルの顔がそれはそれは、恐ろしいのである。)

殆ど全てのものを輸入に頼っているため、アイスランドは物価が高い。
ホテルやレストランといった、観光産業絡みだけでなく、
スーパーでちょっと買い物したが、世界有数の物価高のロンドンや
東京と比べても、取り立てて安く感じなかった。

お昼に、サーモンのオープンサンドをたっぷり食べて、
前述のレジャー施設へ、行ったら市民プールだった。
いや、面白かったけどね。
なんだか、 "いやー、生東洋人見るの初めて"的な、
視線に晒された気がする。
ええそうですよ。「Strangers from distant land」ですよ。

夕食は、中心部に戻ってきて、
以前から友人と二人食べたがっていたゲーム(狩猟料理)を食べる。
おいしかった・・・。
野生の肉をブルーベリーソースで味付けしたものだけど、
特に珍しかったのは、Puffin、多分この国の象徴的な鳥。
この極北の地で貴重な蛋白源なのではないかと思う。
ちょっとドードーに似てないか?
英国でも以前は盛んだったらしい。
英国人の知人曰く、「昔はね、英国にもおいしい料理があったんだよ」
「石のお金が使われてた頃の話?」
「い、いや。ゲームっていって野鳥や野生の動物を
手の込んだ方法で調理したんだ。
でも、そのレシピは殆ど失われてしまってね。」
伝統と歴史を重んじるなら、何故そういうものをこそ、大切に伝えないのだ。
バターも濃くておいしかったし、
デザートの温かいチョコレートケーキも絶品だった。

帰り道のごたごたは割愛。



2002年09月13日(金) 氷と炎の国

いよいよ、プリ・セッショナルコースも終了し、
アイスランドへの旅立ちである。格安航空券の為、夜中の出発。

しかし、学校へ行って面接をし、無事修了を認められたが、
ビザの延長のための書類を中々だしてくれなかった。
「必要書類は全部大学院の方に送ったから大丈夫」の一点張り。
だから、問題は院の方じゃなくて学生ビザを延長したいんです、
といっても、聞いていない。聞け、少しは人の話を・・・。
仕方がないので、「私アイスランドに行くの!」と、
突然脈絡無く叫んで、注意をひき、
「それで、ビザ用の書類が要るの、わかかります?」と畳み込んで、
ようやく話を聞いてくれた。

昼食を食べるまもなく帰宅、今日は新居のインベントリーチェックだ。
(家具の数合わせと状況の確認。
家を出るときのデポジットの返還に関わる)
・・・結構書類のミスが多い。
ベッドのマットレスのスプリングが背中に当たって痛いため、
取り替えてくれるように頼むと、来週になるという。
その時にはここにいない、というと留守宅に勝手に入っていいなら、
替えておくと言うので、頼む。
しかしその為に、荷解きの途中で散乱している室内をどうにか片付け、
スーツケースをもって、駅に走る。

とりあえず、ロンドンの友人宅に到着。
友人もまた、大学院の事務関係でシリアスにトラブっており、
朝から何も食べていないという。
普段6食食べてるホビットにあるまじき行いである。
ご飯を食べている暇が無いので、そのまま駅に向かう。
そして、ヒースロー行きが来ない・・・。
最近特に、ピカデリーラインの調子が悪い。
BAの片隅に、ちょこんと間借りしているカウンターで
チェックインを済ませ、人気の無い空港内を、またひた走る。
搭乗口についた時には、睡眠不足と空腹とで、気絶しそうだった。

3時間のフライトののち、アイスランドに到着。
そして、ATMでお金を下ろそうとしたら、おろせない。
エクスチェンジの窓口は既に閉まってる・・・。
友人もバンクカードは使えないが、クレジットカードでなんとか、
10000クローネ下ろす。
今日は13日に金曜日だったっけね。

やっぱり深夜のアイスランドは痺れるように寒かった。


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