恋文
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2010年11月30日(火)

去るもの
残るもの

どちらにも
冬の風が 吹く


2010年11月29日(月) 去る日を迎えつつ

馴染んだ景色が
いとおしくなる

灰色の空でさえ


2010年11月28日(日) かたち

木々は
木のかたちのまま
凍る

思い出のまま
残るだろう

わたしは
わたしのかたちのまま
まだ

流れてゆく
どこに
残るだろう


2010年11月26日(金) 夕日

雪の山肌が
朱色に染まる

雲の切れ間から
もれる
ひかり


2010年11月25日(木)

街灯は
雪を 
滲ませ

街路を
滲ませ

眼を
滲ませる


2010年11月24日(水) 街角

昨夜の雪が
融けてゆく

まだ暗い
空のした

濡れた敷石を
踏んで

湿った
風の中


2010年11月23日(火) 冬へ

向こうの山の上は
もう
白くなっている

朝には
ここでは
雨だったのに

いつか
秋が通りすぎてしまった


2010年11月22日(月) 行く先

行く先に
しるしをつける

後には
目印はない

まだ遠くを
みる


2010年11月21日(日) 繋ぐ

目覚めると
途切れる

夢を
もういっかい
繋ぐ

つなげない


2010年11月20日(土) 風の 夢

風が
見る夢を
見る

野原を
渡ってゆく


2010年11月19日(金) 怒涛

ひとしきり
時間は
怒涛のように
流れている

ちゃんと
立ち上がれる場所に
たどり着くかな


2010年11月18日(木) にじむ光

向こう岸が
にじむ

橋の欄干の
光が
にじむ

さようならを
言いだす
前の時間


2010年11月17日(水) 道のり

定かではない
道しるべを頼りに
一歩

まだ遠い
道のり


2010年11月16日(火) わずかに

あちらに
走っては
立ち止まり

こちらに
戻っては
途方にくれる

日一日と
過ぎて
わずかに
進む


2010年11月15日(月) 沈んでいる

静かな一日は
訪れない

雨の朝
空も
沈んでいる


2010年11月14日(日)

夢ではない

記憶は
あらたに

どこにも
なかった

夢を紡ぐ


2010年11月12日(金) 一歩

ひとつの
一歩

長い道のりから
見渡せば

ほんの
一歩

踏み出すのに
力が必要だった


2010年11月11日(木) 流れ

身を任せてみる

浮かんだり
沈んだり

そのまま
でも
流れてゆくよ


2010年11月10日(水) 流れる

急流に流されるように
過ぎる

どこまでも
流れてゆく


2010年11月09日(火)

ほんの
少しだった

歩き始めたら
みるみるうちに

日差しは
傾いてゆくのだった

川原には
いつものように
鴨たちが
来ていた

流れは
鈍いひかりを
かがやかしている


2010年11月08日(月) 曇り空の下で

たたずんでいる

身体のなかから
凍えて


2010年11月07日(日) 雨降り

雨の中
歩いてみる

落ち葉に
ぱたぱた
雨音がする

ぼんやり
かすんでいる
景色


2010年11月06日(土) 落ち葉

雲の切れ目から
光が落ちてくる

わずかに
それも灰色

かさかさと
落ち葉の色

ひそかに
ひかる


2010年11月05日(金) 落ち葉

辿りたい 道は
どこにあるのかしら

落ち葉を
踏んで
歩く

金色の森


2010年11月04日(木) ぶらんこ

ぶらんこに
座って
考えている

だれも
押さなくていいのよ

押されても
嬉しい


2010年11月03日(水) 混沌

熱のある
夢から
目覚めても

まだ
混沌

灰色の空


2010年11月01日(月) 川原にて

日が翳る

川には
鴨が降りてくる

波頭が
光って


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