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JIROの独断的日記
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2012年06月05日(火) 「黒沼ユリ子さん、メキシコの音楽学校閉校へ」←32年間、ご苦労様でした。

◆記事:黒沼ユリ子さん、メキシコの音楽学校閉校へ(2012年6月3日10時44分 読売新聞)

メキシコ在住の国際的バイオリニスト、黒沼ユリ子さん(71)が、

メキシコ市で32年間続けてきた音楽学校「アカデミア・ユリコ・クロヌマ」

を6月末で閉じることを明らかにした。

 同校は黒沼さんが、音楽教育を受ける機会が少なかったメキシコの子供向けに1980年、開設した。

最盛期にはバイオリンやチェロを学ぶ生徒120人余りが在籍。

著名なバイオリニスト、アドリアン・ユストゥスさんなど、卒業生からは数多くの演奏家が出た。

しかし、近年は治安の悪化で通学が困難になるなどし、生徒が20人ほどに減少。

2001年に国立少年少女交響楽団が設立され、政府が音楽教育に力を入れ始めたこともあり、

一定の役目を果たしたと判断した。


◆コメント:立派な方なんですよ。

黒沼ユリ子先生のプロフィールを、ウィキペディアで調べたら、

1940年、東京に生まれる。8歳の頃よりヴァイオリンを始める。1956年、桐朋学園高校音楽科1年で日本音楽コンクール第1位及び特賞を受賞。

とあります。プロになるには、8歳では本当は遅いのですが、才能と努力の賜でしょう。

ヴァイオリンを習い始めてわずか8年で、毎コンヴァイオリン部門優勝及び特別賞を獲っておられます。

ずっと演奏活動だけを続けていたら、世界的ソリストになられたことでしょうが、

メキシコの貧しい子供達にヴァイオリンを教えることに、半生を捧げたのです。


これが、黒沼先生の音楽教室のサイトです(英語)。


音質は余り良くありませんが、いくつかの映像と音声を見ることができます。

小さい子供から、黒沼先生が手取り足取り、基礎を辛抱強く教えたから、皆、

キチンとした弾き方をしています。


かつてテレビで、黒沼先生のドキュメンタリーを見ましたが、現地の人々から

黒沼先生が、本当に尊敬されていることがよくわかりました。

しかし、黒沼先生は全然尊大でもないし、怖くも無い、優しい先生で、

メキシコの人達のお祭りとかパーティに、楽しそうに参加しておられました。


私は確信しますが、黒沼先生お一人のおかげで、

メキシコ人は日本人をとても尊敬しているように思います。


◆優秀なお弟子さんがいます。

アドリアン・ユストゥス(Adrian Justus)という人ですが、

完全にプロのソリストです。黒沼先生が一から育て上げたのです。


アドリアン・ユストゥス氏は、のちほど、黒沼先生のコメントもお見せしますが、

もともとラテンの血が流れている上に、先生が、「音楽は楽しいものなのだ」と

(口にしたかどうかわかりませんが)、そう思えるように教育なさったのだと思います。

ご覧下さい。


◆パガニーニ:ラ・カンパネラ(オリジナル版)







黒沼先生がこの後コメントされてますが、彼には弾むようなリズム感と美しく旋律を

弾く「歌心」を兼ね備えていると思います。

かなり、自由奔放に弾いていますが、無意味なテンポの揺らし方はしていません。

そういうところは、多分、黒沼先生の教えでしょうが、とにかく楽しそうですよね。

黒沼先生のコメント映像をご覧下さい。


◆クラシックニュース アドリアン・ユストゥス(Vn)に期待!黒沼ユリ子






「〜そういう演奏家なんですね」とユストゥス氏をここまでにしたのが、

黒沼ユリ子先生ご本人なんですね。


この記事はユストゥス氏の特集ではありませんが、もう一曲。


サラサーテの「サパテアード」という曲。「ツィゴイネルワイゼン」ほど有名じゃないですけど、

「サパテアード」(ZAPATEADO)は、スペイン・アンダルシア地方の踊り。又はそのリズムを使った曲。

フラメンコのイメージですね。


◆Adrian Justus : Sarasate "ZAPATEADO"







黒沼先生の言うとおり、「音」「楽」なんですね。弾いている人の喜びが聴衆を幸福にする。


◆こういう方の業績を高く評価できないのが、日本の無教養なところです。

同じように海外で長く活躍した日本人の音楽家は他にもおられます。

ベルリン・フィルの第一コンサートマスターを四半世紀務めた、安永徹さんが、辞めるとき、

独政府から勲章を授与されましたが、日本政府はそれに対して正式な謝意を表していないばかりか、

本当は安永さんや、黒沼さんのように「長い間、海外で文化に貢献し、日本人の印象を向上させた」人は

高い評価を受けるべきです。


日本のメディアや世論が騒ぐにはコンクールで上位に入賞したとき位ですけど、

勿論それはそれで、立派なことですけど、いつも書いているとおり、コンクールは

「瞬間最大風速」であって、「その日、その時、その場所で、一番上手に弾いたのは誰か」

で決まるのです。翌日、本選だったら、全く違う結果になり得る。


安永さんはコンマス、黒沼さんは教育者としてですが、何十年にもわたって、現地で

高い評価を受け、尊敬されるということは並のことではない。私は文化勲章に値すると思うのですが、

日本の、私などよりも影響力のある、メディアや「文化人」は誰もそういうことを言わない。

大衆に至っては、そもそも、「知らない」。

この辺りが、どうにも、情けないところです。

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