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2011年01月23日(日) 「新卒採用、TOEICは730点以上…武田薬品」---人にはそれぞれ「天分」があるんだからさ。

記事:新卒採用、TOEICは730点以上…武田薬品(読売新聞 1月23日(日)3時5分配信)

製薬国内最大手の武田薬品工業が、2013年4月入社の新卒採用から、

英語力を測る学力テスト「TOEIC」(990点満点)で730点以上の

取得を義務づけることが22日、明らかになった。

通訳業務や海外赴任を前提とする採用を除いて、国内大手企業が新卒採用で

TOEICの基準点を設けるのは極めて珍しく、他の大手企業の採用活動にも影響を与えそうだ。

730点以上は「通常会話は完全に理解できる」水準とされ、得点者は受験者の1割強にとどまっている。

武田薬品は、海外事業や研究開発体制の強化のために、外国人研究者の採用や海外の新薬候補品を持っている

ベンチャー企業のM&A(企業の合併・買収)を積極化させている。

採用条件に高い英語力を明示することで、海外事業や研究開発の強化に対応できる人材を獲得する狙いがある。


◆コメント:「滑稽」の一語に尽きる。

最近、この手のニュースをよく読む。

きっかけは、楽天が英語を「公用語化」すると宣言したことだろうか。

あれは、昨年6月30日のことだった。

楽天の三木谷浩史社長が東京都内で会見し、

社内の公用語を12年中に英語に完全に切り替えると発表した。

のである。

私は、その決定を「下らん」、と書いた。
2010年07月02日(金) 「楽天 英語を12年中に社内公用語化」←アホか?ココログ

今も、その考えは、全く変わらない。

日本の大企業は、何十年も前から世界各国に進出している。

しかし、どの会社にも
「我が社は国際的に取引を行っているから、社員全員が高度な英語な運用能力を持つべきだ」

と、考えたアホな経営者はいなかった。

いくら、取引先が英語圏にいると言っても、その業務に会社全体が携わるわけではない。

また、英語が通じない国との取引の為に、商社やメーカー、石油会社、金融機関などは、

それぞれ、各国語を専攻した学生を採用したり、或いは社員で見込みのありそうな者、又は

希望する者に対して語学留学させたりして、必要な人材を確保してきた。それで十分である。


日本の会社が日本国内で、国内業務に関して日本人社員同士が英語で会議するなど、

「滑稽」(はっきり書くなら、「バカ」)の一語に尽きる。全く必然性が認められない。


仮に実行に移したところで、大抵は文法が間違っているが、日本人同士だから「デタラメ英語」

いや、「英語もどき」で話しても、通じてしまい、本気で英語力を向上させようとしたときには

かえって障害になる。


◆TOEIC至上主義のバカらしさ。

日本ではTOEIC何点が、最早、学生や社会人の「ステータス」になりつつ

あるのだとしたら、それもまた、単細胞的思考である。

断っておくが、これは私自身が英語が苦手だから書いているのではない。

手前味噌になるが、学生時代に相対的に「得意」科目と言えたのは英語だけ

であった。詳しくは、

2010年04月06日(火) 「読書日和:注目です「毎日15分」を続ける」(毎日新聞夕刊)←NHKラジオ「英会話」の正しい使い方。ココログ

に書いた。

TOEICの満点は(私が知っている限り)990点である。

この為、帰国子女でもなく、国内だけの勉強で900点以上獲った者は

たとえ、顔に出さなくても得意の絶頂となり、中には「英語を征服した」かの如き

錯覚に陥る者がいる。

TOIECで高得点を獲った人は確かに努力しただろうが、

「TOEIC=英語の全て」では、絶対に、ない。



更に、人事部やマスコミは、語学を良く理解していない。

冒頭に転載した記事の中に、
730点以上は「通常会話は完全に理解できる」水準とされ

という記述がある。

日本では語学力の程度を表すときに、
「あいさつ程度」<「日常会話可」<「商談可」

というスケール(ものさし)を用いるが、「目盛り」自体が間違っている。

日常会話、雑談を外国語で行うほど難しいことはないのである。商談は、何の話をするか

分かっているし、お互いが業務に通じている場合、専門用語の意味は固定されており、

誤解が生じる余地はなく、むしろ、外国語で会話が「易しい」状況である。


一方、日常会話は、何が話題になるか全く予想が付かない。

TOEICで900点を取った人。そのまま成田からヒースロー行きの飛行機に乗り、

ヒースローからロンドン市内に向かい、どこでもよいから「パブ」という

英国人同士がビールを飲みながら、談笑する場所で、英国人同士の会話を聞いてごらんなさい。

多分、一言も何を言っているのか分からないだろう。

TOEICの試験会場のような静かなところで、

テープから流れてくる、アナウンサーのような明瞭は発音を聴き取れることと

実際のネイティブが、普通に話す英語を理解するのは、また、別の次元の話だ。

それは覚えておいた方がいい。


◆何よりも人には「天分」というものがあるだろう。

新卒採用基準に、英語のテストの点数を含めることが如何に馬鹿げているか。

改めて言うまでもないが、人にはそれぞれ「天分」、即ち「得手不得手」がある。


例えば、英語は苦手でも数字を扱ったら、ほぼ絶対に間違えない、という人がいる。

経理に適任である。しかし、武田薬品の基準では、このような才能の持ち主を

採用し損ねる。例を挙げ始めたらキリが無い。


英語は確かに出来た方が「便利」だが、全社員が英語に注力する必要は無い。

高度な語学力を必要とする業務のためにだけ、必要な人材を採用或いは養成すれば

良いのである。最近の人事担当者は「適材適所」という日本語をしらないのではないか。


最後に一つだけ。

国際業務を営む大企業が、高度な英語力(又は他の言語の運用能力)を備えた

人物をある程度確保することはは必要であるが、日本人の勘違いで、

「話す」「書く」能力に重きを置きすぎる。確かに昔から、

「日本人は中学1年で英語を習い始めて、大学卒業まで13年かけても、満足に挨拶すら出来ない」

と言われている。

しかし、話したり書いたりすることは、訓練を重ねればさほど難しいことではない。

何故なら、あまりにも当然だが、「話す」「書く」は

「自分が知っていること、理解していること」に内容が限定されるからだ。

知らないこと、つまり、日本語でも話せないことは英語でも話せない。


一方、「読む」「聞く」は、自分の知らない事を理解しなければならない。

インターネットでは情報の80パーセントは英語によるものだという。

読む能力が不足しているが為に、日本人は日本の新聞が「国際面」で

記事にすることしか、分からない。これでは、ダメだ。


◆結論

企業の全員が「高度な英語力」を身につける必要は毛頭ない。

英語(や、他の外国語)が業務に必要とされる部署に、必要な能力を持った人材を

配置すれば良い。そして高度な語学力とは「話す」こともさることながら、

「英語で発信、公開されていて、その企業の業務に関連する情報を迅速、正確に

発見し、理解する能力」を含む。その重要性が十分に理解されていない。

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