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JIROの独断的日記
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2009年09月13日(日) 先週発表された経済指標に関する私見。

記事1:8月の企業物価、8.5%下落=2カ月連続で過去最大−日銀(9月10日11時0分配信 時事通信)

日銀が10日発表した8月の企業物価指数(速報値、2005年平均=100)は102.9となり、前年同月比で8.5%下落した。

下げ幅は7月に並び、2カ月連続で過去最大となった

原油価格の高騰が続いていた前年の反動が大きかったことに加え、世界的な景気後退に伴う最終需要の低迷も響いた。

ただ、昨年9月以降の原油価格は急速に下落に転じているため、前年同月比での企業物価の下落率は縮小に向かう見通しだ。


記事2:民需9.3%減、過去最低を更新=設備投資の減少続く−7月機械受注(9月10日13時1分配信 時事通信)

内閣府が10日発表した7月の機械受注統計(季節調整値)によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」は

前月比9.3%減の6647億円と2カ月ぶりに縮小した。受注額は5月の6682億円を下回り、1987年4月の統計開始以降の最低水準を更新した。

基調判断は5カ月連続で「減少のテンポが緩やかになってきている」に据え置き。

ただ、企業の設備稼働率が低水準な上、景気の先行きが不透明なことも背景に設備投資の減少傾向に歯止めが掛かっていない。


記事3:年2.3%増に大幅下方修正=在庫減少が押し下げ−4〜6月期実質GDP改定値(9月11日9時1分配信 時事通信)

内閣府が11日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、

物価変動の影響を除いた実質が前期比0.6%増、年率換算で2.3%増となり、

速報値(前期比0.9%増、年率3.7%増)から大幅に下方修正(それぞれ0.3ポイント、1.4ポイント)された。

民間在庫が速報段階から大きく減少したのが主因で、生産の拡大につながる「在庫調整が進展した結果」(内閣府)

と言えるが、成長率にはマイナスに寄与する形となった。

世界的な金融危機で実質GDPは2008年10〜12月期から2期連続で戦後最悪水準のマイナス成長が続いていたが、

4〜6月期は改定値でも5期ぶりにプラス成長へ転じた。

改定値は、4日に発表された法人企業統計などを織り込んで民間在庫を推計し直した結果、

成長率への寄与度がマイナス0.8ポイントと速報値から0.3ポイント下方修正された。

マイナス寄与度としては1999年1〜3月期(マイナス1.0ポイント)に次ぐ大幅な水準。

設備投資は前期比4.8%減(速報値4.3%減)、公共投資は7.5%増(8.1%増)にそれぞれ修正され、速報値を押し下げた。

個人消費は0.7%増(0.8%増)に下方修正。輸入は5.1%減で変わらず、輸出は6.4%増(6.3%増)にわずかに上方修正された。

物価変動をそのまま反映した名目は前期比0.5%、年率2.1%減となり、

速報値(前期比0.2%減、年率0.7%減)から大幅に下方修正された


◆コメント:政権交代したら、急に景気が良くなることは絶対ありません。

8月30日の衆院選で自民党が大敗を喫した要因は、本質的には小泉改革への否定ということであろうが、

それを書くと長くなるので、直接的な要因に着目すると、麻生政権発足直後から、ものすごい勢いで景気が後退し、

それに対して、与党が有効な経済対策を打ち出せなかったことだろうと思う。

ただ、選挙直後の日記・ブログにも書いたが、この点に関して、麻生政権は如何にも運が悪かった。

麻生太郎氏が自民党総裁になったのが、昨年9月22日。その1週間前にリーマン・ブラザーズの破綻、

という、超弩級の金融パニックが起き、世界中が不況になったのである。この1年は、たとえどの政党が政権を取り、

誰が内閣総理大臣であったとしても、日本だけを好景気にすることは、絶対に不可能であった、といっていい。


世論調査では、「新政権に期待する人」は7割を超えている。多くは、景気、雇用の改善を期待しているのだろうが、

私はそれが、不安である。

先週発表された、記事1から記事3に書かれている経済指標を見るかぎり、

そう簡単に、景気が急速に好転するとは思えない。


記事1の企業物価指数というのは、以前、「卸売物価指数」と呼んでいたものである。

卸売物価指数の下落率が2ヶ月連続で過去最大。これは、多分やや遅れて消費者物価指数の下落率に反映される。

以前から書いているとおり、デフレの危険がある。それは、記事3のGDP(国内総生産)の記事を読んでも

明らかである。GDPに限らないが、多くの経済指標はまず速報値が発表され、暫くしてから、より精度の高い「改定値」が

発表される。この記事は今年の第2四半期(4月〜6月)のGDP(国内総生産)が速報値では前期比+0.9%だったのが、

改定値では前期比+0.6%に「下方修正」された。しかし、前期比プラスであることに変わりはない、と言いたげである。


だが、本当に見なければならないのは、色太文字で強調した、記事の一番最後の部分、名目GDPが前期比マイナス。しかも、

速報値よりも悪くなっている、と言う点である。

非常に大雑把に説明すると実質GDPは量。名目GDPは金額(売上げ)である。

実質GDPが大切なのは、インフレの時である。

同じ期間で或る企業が1個1万円の商品を100個作ったら、金額ベースでは100万円分生産したことになる。

ところが次の四半期に、物価が上がり、同じ商品の価格が2万円になっていたら、

(実際にはそんなすごいインフレは無いが、話を簡単にするための仮定である)

生産量が同じ100個でも、金額ベースでは200万円分生産したことになる。

金額は増えているが、生産活動の規模は大きくなっていない。

実際の経済活動を知るために、インフレ率を勘案するのが実質GDP(量)である。


今は、企業物価も消費者物価も下がっている。実質GDPが前期比プラスなのに、

名目GDPが前期比マイナスなのは、物価が下落し続けているからである。

デフレ時には、名目GDPがプラスになるまで、安心できないのだ。


前後するが記事2は、設備投資の減少が続いている、という内容である。

企業が設備投資に消極的なのは、モノが売れないのだから、

新しい生産設備を建設して、生産を増やしても仕方がない、という企業の「意識」を端的に示している。


これらを総合すると、国内の景気を上向きにするためには、余程の妙案が必要であると考えられる。

民主党のマニフェストがバラマキだろうが何だろうが、内需を喚起する効果があれば良いが、

私見では、甚だ疑問である。

私が不安だ、と書いたのは、民主党に票を投じた有権者は政権が交代すれば、

みるみるうちに景気がよくなる、という「幻想」を抱いているのではないか、ということである。

そうだとすると、新政権には反動として自民党に対するのと同等かそれ以上の不満が鬱積し、

余計、景気先行きへの思惑が悲観的になり、それが実体経済に影響し、一層、景気の回復が

遅れるのではないか、という意味である。

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