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JIROの独断的日記
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2009年02月27日(金) 「ベルリン・フィルの安永徹さん、独政府が勲章授与」←安永さんは勲章が欲しくて音楽家になったのではない。しかし、私は嬉しい。

◆記事:ベルリン・フィルの安永徹さん、独政府が勲章授与(2月27日11時32分配信 読売新聞)

【ベルリン=中谷和義】世界有数の楽団、ベルリン・フィルのコンサートマスター(第1バイオリンの首席奏者)を25年以上務め、

今年3月末に退団する安永徹さん(57)が26日、ドイツ政府から「独功労勲章・功労十字小綬章」を授与された。

安永さんは福岡県生まれ。桐朋学園大を卒業後、ドイツに留学。1977年に入団し、83年、

楽団員の投票で数人いるコンサートマスターの筆頭に選ばれた。同楽団のコンサートマスターの筆頭に、東洋人が就任するのは初めてだった。

豊かな音楽性と謙虚な人柄で知られ、巨匠カラヤンや現首席指揮者のサイモン・ラトル氏ら3代の芸術監督と楽団員との橋渡し役を務めた。

退団後は拠点を日本に移し、ソロ活動や室内楽に取り組む。


◆コメント:芸術(家)の価値を正しく評価出来る国家。

ドイツという国家の何から何まで素晴らしい、という訳ではないが、今日のニュースには素直にドイツ政府に感謝したい。

ドイツ政府が勲章を授与したのは、

「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサート・マスターという重責を25年間担った偉大さを正確に理解している」

ことを端的に表している。以前にも書いたが、ヨーロッパの政治家は自ら音楽を演奏する人が多い。

元・西ドイツの首相だった、ヘルムート・シュミット氏は、以前、Newsweekのインタビューで、
ドイツのオーケストラで活躍している日本人音楽家が大勢いる。彼ら(彼女ら)は、日本のどの政治家、外交官、財界人よりも、

ヨーロッパ人の日本人に対する印象を向上させることに貢献している。

と、キッパリと言いきった。私もそう思う。勲章云々は、安永さんご自身、別に欲しくも無いであろう

(それを口に出したら独政府に対して非礼になるから、余計なことは言わないだけであろう)。

安永さんは、勲章が欲しくて、音楽家になったわけでもベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスターになったわけでもない。

音楽が好きで有ることは勿論だが、お客さんを楽しませる為に、プロの音楽家として四半世紀、全力を尽くしただけだ。

安永さんご本人は、多分、
この25年、お客さんから頂戴した拍手が、何よりの勲章だ。

と思っておられることだろう。


しかし、安永さんの思いはさておき、私は、ドイツ政府が、安永さんの功績、

ベルリンフィルのコンマスを25年という想像を絶する重責を25年も務めた、その偉大さを、間違いなく、正しく理解していることに敬意を表したい。

安永さんがコンサート・マスターに就任したときに、
自分がすごいのではなく、東洋人を敢えてコンサート・マスターに抜擢したベルリン・フィルがすごい、とおもった。

という名言を残しているが、私はドイツ政府に対して同様の感想を抱いた。

彼の国の政府は芸術や芸術家の価値、功績を正しく評価し、国籍とは無関係に、勲章という「形」でその栄誉を讃えた。

誠に教養に満ちた、フェアな態度である。


安永さんがどのようにお感じかは想像するしかないけれども、私は、我が事のように、嬉しい。

勲章を胸にした安永さんの写真(隣は今のベルリン・フィルの音楽監督、サイモン・ラトルである)を見ていただきたい。

ダウンロード 20090227yasunagabig.jpg (42.3K)



◆安永さんの本当の晴れ姿はステージだ。小澤征爾指揮、コンサート・マスター、安永さんのベルリン・フィル悲愴全曲(YouTube)

私は普段、動画共有サイトというのをあまり使わないので、YouTubeから映像を探す、ということに、

考えが至らなかったが、今日は、たっぷりと安永さんの、ステージでの晴れ姿をご覧頂こう。全曲見なくても結構だが、

YouTubeで、小澤征爾さんがベルリン・フィルでチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を振り、コンマスが安永さんという、

絶好の映像を発見したので、ご覧頂きたい。昨年の1月23日、「カラヤン生誕100周年コンサート」の映像。

第一楽章(1)

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra  Tchaikovsky Symphony No.6 Part1


第1楽章(2)

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra  Tchaikovsky Symphony No.6 Part2


第1楽章(3)及び第2楽章全部

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra Tchaikovsky Symphony No.6 Part3



第3楽章 (とりあえず、景気の良いマーチだから、全部聴くのが面倒な方は、せめてこれだけでも)

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra Tchaikovsky Symphony No.6 Part4



第4楽章(1)

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra  Tchaikovsky Symphony No.6 Part5



第4楽章(2)

SEIJI OZAWA /Berlin Philharmonic Orchestra  Tchaikovsky Symphony No.6 Part6



如何ですか。小澤さんも安永さんも同じ桐朋出身で、「斎藤秀雄門下」(サイトウキネン・オーケストラの「サイトウ」とは、この先生のこと)だから、

ツーカーで演りやすいと思います。こんな誇らしい映像は無いです。

世界一のオーケストラを日本人指揮者が振って、日本人がコンサート・マスターなのです!


今まで私が「安永さんが如何に偉大であるか」を語っても、なかなか分かっていただけなかったかも知れません。

勲章を貰ったから安永さんが偉大なのではなくて、偉大な音楽家だから、自然と勲章がもたらされただけのことなのですが、

勲章という分かり易い「形」になると、クラシック・ファンでは無い方にも、おぼろげに安永さんの功績が理解しやすいのではないか、

と思い、このニュースを取りあげました。

もう一曲だけ。


サイモン・ラトルの前にベルリン・フィルの音楽監督だった、クラウディオ・アバド指揮、安永さんコンマスのベルリン・フィルで、

プロコフィエフ、「ロミオとジュリエット」(「ロミオ」は色々な作曲家が音楽にしていますが、今日はプロコフィエフ。)


Claudio Abbado Prokofiew Romeo & Julia Part 1



Claudio Abbado Prokofiew Romeo & Julia Part 2



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