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JIROの独断的日記
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2007年05月11日(金) 世界で最も由緒あるオペラハウスで森麻季さんが「ばらの騎士」に出演したドキュメンタリーが放送されます。【追記あり】

◆背景:日本テレビ(読売新聞)と大和証券の招きで、世界最高のオペラハウスが11月に来日し、森さんが出ます。

ドレスデン国立歌劇場といって、世界でウィーン国立歌劇場と並ぶ、世界最高レベルのオペラハウスがあります。

私がかねて日本音楽史上最高の声楽家であり、世界的なレベルから判断しても第一級の芸術家、と絶賛を惜しまない

ソプラノの森麻季さんは、3月、このドレスデン国立歌劇場でリヒャルトシュトラウス(後述)のオペラ、

「ばらの騎士」で「ゾフィー」という重要なパートを歌われ、絶賛を博しました。

そのドレスデンは今年11月日本で引っ越し公演をします。

日本で「ばらの騎士」の森さんを聴けるのですね。

呼ぶのが、日本テレビと大和証券らしく、今日(12日)

ドレスデンを関連番組を放送します。

あと二時間しか無くて、済みません。昨夜も書きかけでぶっ倒れて眠ってしまいました。

この番組自体はもと民放の女子アナのド素人がドレスデンに行って「スゴーイ」とか言ってることでしょう。

森麻季さんにもインタビューしているらしいのですが、あまり不躾な質問をしていないことを祈ります。




最も強調すべきは、

ドレスデン国立歌劇場に呼ばれるということは、森さんが世界第一級の歌手として、西洋人から評価されている

ことを、なによりも雄弁に物語っている、という「事実」です。


◆番組視聴後コメント:やはり、森さんは超一流だと思います。

番組で知りましたが、3月の「ばらの騎士」が森さんのドレスデン・デビューだったのですね。

ブラボーが飛んでいました。

ここで、「上手い」と認められなかったら、11月の日本公演からは外されているはずですが、

既に、キャストに入っています。フェアな評価です。


なにしろ、ドレスデン国立歌劇場はもとはドレスデン宮廷歌劇場で、何度も書くとおり、

ヨーロッパでも最も歴史があります。ものすごいプライドなのです。

下手な歌手を出すことなど、あり得ないのです。その通りでした。

ドレスデン国立歌劇場の専属オーケストラを、シュターツカペレ・ドレスデンといいます。世界最古のオーケストラです。

古いだけではない。シュターツカペレ・ドレスデンは、オーケストラ単体でも超一流なのです。

オーケストラの響きを表すとき、「いぶし銀のような」という形容詞はシュターツカペレ・ドレスデンのためにあるようなものです。



日本テレビ系列の番組中、「ばらの騎士」の一部が流れました。

ズシンと地の底から湧き上がるような、厚い響きを持つシュターツカペレ・ドレスデンが、フォルテで鳴っているのに、

森さんのフォルテの高音の美しい声は、その上を軽々と飛んで客席に届いていました。

これは、力むのではないのです。逆です。如何に全身の力を抜くか。身体が緩むほど、声は伸びる。

森さんはドレスデンデビューでも、全く動じないでその実力を発揮しておられた。


素晴らしい。ブラボーが飛ぶのも当然です。


◆森さんのCDはすごいですよ。本当の名演ですよ。

森さんのレパートリーは、大変広い。「ばらの騎士」は20世紀の作品ですが、

17世紀ヘンデルの演奏も、実にしみじみと美しい。これです↓。

あなたがそばにいたら~Bist du bei mir

全部、名演ですけど、3曲目のオンブラ・マイ・フ、とか、4曲目の「涙の流れるままに」(「私を泣かせて」と訳されることが多いです)は、

私ゃ、それまでに何度聴いたかわからないほどでしたが、森さんの演奏で、改めて「これほど美しい音楽だったのか」、と驚嘆しました。



もう一枚は、イタリアオペラのアリア集です。

愛しい友よ~イタリア・オペラ・アリア集です。

ここでは、コロラトゥーラという、声楽のテクニックの極致、神髄、名人芸と、

テクニックの披瀝に終わらない音楽性、を同時に併せ持つ音楽家の演奏の素晴らしさに感動します。

森さんがこの境地に至るまでには、ものすごい−−私などの想像を絶する−−努力をなさり、

そして、今もそれを続けていることが分かります。

これは、単なる「ファン」などというちゃらちゃらしたものではなく、

私の30数年クラシックを聴いてきた経験に基づいて書いています。

芸術は、森さんの演奏のような「本物」に接することが大変重要です。始めに優れたものを聴くと、

正当な評価が出来るようになります。それはさておき、以上二枚はお薦めです。


◆リヒャルト・シュトラウスについて。

リヒャルト・シュトラウスなんて知らん、という方も多いでしょう。


彼自身、最初楽譜が出版社に売れなくて苦労したようです。

「何?リヒャルト・シュトラウス?しらねえなあ。「リヒャルト」ならワーグナー。「シュトラウス」ならヨハンと、相場が決まってらあ」

とか言われたそうです(後で、言った本人後悔したかな・・・)。

とにかくこれは聴いたことあるでしょう。


ダウンロード Zarathustra.mp3 (1760.4K)





これは、交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭です。

これ、ティンパニ、三連符ですからね。↓タテ線は拍の区切りです。

ドソド|ソドソ|ドソド|ソドソ|


で数えないと、訳分からない。

「ニーチェの哲学書を読んで、受けた印象を音楽にした」のだそうです。

R.シュトラウスは最初は管弦楽曲が多い。この交響詩ってのをやたらと書いた人ですね。

個人的には「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」というのが一番面白い。冒頭から有名なホルンソロがある。


ダウンロード TillEulenspiegels.mp3 (1191.5K)



「ツァラトゥストラはかく語りき」よりもくだけた感じですね。ホルンソロ、曲が始まってすぐだから、重要です。

高音まで上っていって、(移動ドで)、
ド・ソ・ド

と、急降下する。最後の低音を良く鳴った音で響かせるためには、余計な力を極力抜かなければいけません。




リヒャルト・シュトラウスは、親父さんがホルン吹きだったのです。だからホルン協奏曲も二曲かいています。

それについては、以前、毎コンのホルン部門について書いたときに触れましたので、

お読み下さい。


◆リヒャルト・シュトラウスのオペラを聴く前に歌曲を聴いた方が、馴染みやすいと思います。

たとえば、こんなの。



ダウンロード Weigenlied.mp3 (1769.8K)



これはね。TrV59の「子守歌」というのです。ややこしいのですが、R.シュトラウスの作品番号にはいくつかの体系があって、

普通のOpって奴の他にTrV番号があるんです。この小品にはTrvしかついていない。


森さんは今日本におられるようであした13日には逗子でリサイタルを開かれるようです。

そこには、ちゃんとリヒャルト・シュトラウスの歌曲が入っています。

明日のチケットは無理かも知れないけど、森さんは、リサイタルで、またコンサートのソリストとして日本でもしばしば

演奏なさっているので、一度お出かけになっては如何でしょうか?

時間がないのでお薦めCDなどは後ほど追記します。


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【追加】ご本人のブログに詳しく書かれています。

森麻季さんのブログでは、

「ばらの騎士」ドレスデン公演の様子が沢山の写真で見られる他、これは最終日ですから、

終演後のホッとした気持が綴られています。

ばらの騎士に関してはこれ以前のエントリーで初日を迎えるまでの緊張などを書いておられます。

これほどの名人になっても、やはりデビュー(ドレスデン・デビュー)や初日は緊張なさるのですねえ。


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