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JIROの独断的日記
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2006年08月27日(日) 政治家が、自分が書いた本の通りに政治を行うと思っている人はかなり、おめでたい。

◆安倍晋三先生の「美しい国へ」をもう一度読んでいるんですがね。分からんですなあ。

のっけから、関係ない話をするようだが、まあ、読んで下さい。

例えば、外国語を勉強するとき。面倒くさいから、ここでは英語に話を絞りましょう。

一般的に「読む」若しくは「聴く」が「書く」若しくは「話す」よりも易しいと思われています。

readingとlisteningはpassive(受動的)な行為であるけれども、writingとspeakingは能動的な行為だから、ということでしょう。

一見尤もそうな理屈ですが、違うと思います。

勿論基礎学力を付けるためにはまず、読んだり聞いたりして、語彙を増やし、文法を覚え、様々な熟語、慣用句、を覚えなければなりませんが、

一生懸命勉強してある程度基礎が身についたら、話したり、書いたりする方が易しい事に気づくでしょう。



何故なら、人間は、原則的に、自分が書きたいこと、話したいことは自分が一番良く分かっている

(原則的に、と書いたのは、自分でも何を言いたいのか考えが無い、或いは整理されていないまま、書いたり話したりする人がしばしばいるからです)。

分かっていることを他の言語に「変換」するのです。



一方、リーディングとリスニングは難しい。

何故なら、自分ではない人(他人)が考えていることを理解しなければならないからです。

つまり、本ならば著者、会話ならば話者の思考と自分のそれをシンクロ(同期)させなければならないからです。

自分と全く同じ物の考え方をする人は、世界にひとりもいないのです。だから書いたり、話したりするときよりも頭脳を使います。

従って、自分と同じような思想的傾向を持っている人が書いたり話したりしたことを理解するのは、比較的容易です。

ところが、自分と殆ど180度反対方向の思想を持つ人の考えを「理解」するのは殆ど不可能です。

勿論、「言いたいこと」は分かりますが、相手の主張に論理性が欠けている場合には、

「どうして、そういう思想を抱くに至ったのか、を理解するのは殆ど不可能です。



前置きが長くなりましたが、私が安倍晋三氏の「美しい国へ」を読んだあとの状態はこれに近い。

いや、実際は、もっと低次元で理解できない箇所もあります。


◆結局、「美しい国」とはどういう国なのですか?

「美しい国へ」という言葉は、文字にしたときの見た目(視覚的印象)、声に出したときの響き(音声的印象)、

そして「美しい」という形容詞自体のプラスイメージ(意味論的印象)の相乗効果があるので、多くの人は幻惑されるのでしょう。



私は、大学で法律の先生に

「法律の本というのは、ただ流して読んでもさっぱり分からない。常に、『何故だろう?』と思いながら自分の頭で読むと分かるんだ。」

と言われ、実際の体験はまだしていないのに、大いに感心した事があります。その後、実行してみて、納得しました。



安倍晋三氏の本は「何故だろう?」「具体的にはどうするのだろう?」と検証しながら読むと、殆ど意味を為さないか、説明不足の箇所が多すぎます。

段落のタイトルに書いたとおり、結局「美しい国」の「全体像」が見えません。

安倍さん、「美しい国」って、結局何ですか?


◆外国、国防中心で感情論が多い。

国防とか、安全保障では特に対アジア諸国関係では矢鱈と(やたらと)勇ましいのですが、

何だか、60年ほど前の「大東亜共栄圏」の思想のようで、近隣諸国(中韓に限らず)の指導者、国民が読んだら、不気味に思うのではないかと思います。



日本は、今まで実質的には「軍隊」と変らない「防衛のための最小限の実力」を持つに至りました。

しかし、憲法で「武力を行使しない」と決めて、実際に60年間一度も武力行使をしていません。

やろうと思えば、そこら中の国をひねり潰すことが出来るような武装をしているけれど、

自衛官がクーデターを起こしたことも、他国を攻めたこと、武力を行使したことは一度もない。

武器というものは、軍人が持っていれば使いたくなる(アメ公がその典型です)のに、日本人は絶対にやらない。



これが、日本の「国家の品格」ではないかと思います。

文民のみならず、自衛官も含めて教養がある。だから、理性でコントロールできるのです。

世界中探してもんな先進国はありません。



それなのに、安倍氏(だけではなく、麻生、谷垣も同様ですが)は、憲法解釈(谷垣は憲法改正が必要という)により集団的自衛権の行使を可能にしよう、と息巻く。

どうして、日本を戦争をする国にしなければならないのか?論理的必然性が認められません。


◆日米同盟が大事と思っているのは、日本だけ。

日本が、集団的自衛権行使を可能にし、アメリカの戦争(人殺し)のお手伝いをすることになるのが、日本の国益になるのでしょうか?

食糧自給率が低く、天然資源が全然無い日本が、世界中でアメリカの「手下」となって人殺しをして恨まれて何の得があるのか。



当然、戦時の常識で、軍需産業がもうかります。

ブッシュがイラク戦争を始めた大きな理由の一つは、アメリカ政府中枢にいるネオコンと軍需産業との関係を指摘する話が無数に書かれています。

それから、アメリカに対して日本が「滅私奉公」すれば、アメリカは日本が攻撃されたときに、守ってくれるだろうと思ったら、甘すぎます。



アメリカ一般市民は日本なんかどこにあるかすら知らない。

ブッシュを初めとする権力者たちも日本なんか、極論すればどうでも良いのです。

かつて、ウォーターゲート事件をスクープした、ボブ・ウッドワードという有名なジャーナリストが書いた、

「攻撃計画」「ブッシュの戦争」などを読むと分かります。

しばしば、ブッシュは、日本はアメリカの最良のパートナーだとか何とか、言っていますよね?



上でリンクを貼った2冊の本を読んでご覧なさい。日本の「に」の字も出てきませんよ。

本当に同盟国として重んじているならば、イラク戦争を開始するに当たって、日本に対して状況を説明するはずです。

そんな気配は微塵もない。こんな人殺し国家、アメリカの手下に成り下がろうというのが、今度の総裁候補者たちです。



売国奴とはこういう人たちをいうのではないでしょうか?

それから、経済、教育に関しては、安倍晋三氏はアイディアが無いことが良く分かりました。

一応なんか書いていますけど。それは、また、いずれ。


2005年08月27日(土) 道路公団民営化のいい加減さを見ると、郵政改革が真面目に検討されているとは思えない。
2004年08月27日(金) 「ここ一番」で実力を発揮する、ということの厳しさ。
2003年08月27日(水) 今頃になって、「火星大接近!」なんて騒がなくても・・・。といいつつ、リンク集。

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