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JIROの独断的日記
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2006年02月03日(金) 「紅海でフェリー沈没、乗員乗客1400人」大惨事なのに、「日本人はいない模様」で済ませてしまうのが、我々の悪い癖だ。

◆記事:「紅海でフェリー沈没、乗員乗客1400人」

 

 エジプト海事当局は3日、エジプトとサウジアラビアを結ぶ紅海航路のフェリーが2日夜(日本時間3日未明)、

 エジプト東部ハルガダ沖約70キロの紅海上で沈没したことを明かした。

 AP通信などによると、フェリーには乗客約1300人と乗員約90人が乗っていた。

 救助部隊が、現場海域周辺で生存者12人と遺体15体を見つけた。

 このフェリーはエジプトの海運会社が運航する「サラーム98」で、

 同社は「乗客のほとんどはサウジの出稼ぎから戻るエジプト人で、乗客に日本人はいない模様だ」としている。

 同船はサウジ・ドゥバーを2日午後7時に出港。対岸のエジプト・サファガに3日午前3時に着く予定だったが、

 出港から間もなくレーダーから消えた。

 ロイター通信によると、エジプト海事当局は同船からの救難信号を受信していないという。

 現場はカイロの南東約600キロ。サウジとエジプトの当局が船とヘリによる救援・捜索活動にあたっている。

 しかし、強風と高波で捜索は難航しているという。

 海事当局幹部はAP通信に対し、「船は進水後35年たっている」と話した。

 サウジ側代理店によると、同船の定員は2500人。エジプトのマンスール運輸相は米CNNテレビで「沈没の原因は分からない。

 だが、乗客数は定員以下で、救命ボートなど十分な設備があったはずだ」と語り、乗客の生存に期待を寄せた。

 昨年10月にも同じ会社の客船「サラーム95」が紅海で貨物船と衝突して沈没し、死傷者が出た。

 また、同海では91年にも客船がサンゴ礁に座礁して沈没し、400人以上が行方不明となる事故が起きている。

 (朝日新聞)2006年02月03日22時09分


◆コメント:インド洋に派遣した海上自衛隊がいるだろ?

 

 人間の感覚として、非常に遠い場所で起きた事故には、現実感が伴わないのはやむを得ないとしても、

 1400人が乗った船が紅海で沈没したのである。

 今のところ、見付かった遺体は十数体だというが、それで済むわけはない。

 紅海というのは、世界地図で見るとアフリカ大陸の北東とアラビア半島の間の内海で、かなり「狭く」見えるが、

 それでも幅が200kmから350km、長さは2300km、水深は最も深いところでは、2212mも有るのだそうだ。



 日本では、1954年、台風15号により、青函連絡船の洞爺丸が転覆・沈没して、死者・行方不明者1700人以上の大惨事が起きたのだが、

 津軽海峡の本州・北海道間の最も近接しているところでは、20kmなのだ。

 それを考えれば、幅200kmの紅海で、船が沈んでも全く不思議はない(勿論、現時点では、事故の原因は不明である)。


◆「日本人の死者はいない模様」で後は知らないよというのは如何なものか?

 

 海外で事件・事故が有ったときに、日本のマスコミはまず、日本人の犠牲者がいないことを確認して、

 「なお、日本人の乗客はいない模様です。」

 と付け加える。

 視聴者も、それを聴くと「あ、それならどうでもいいや」という気分になるのは悪い癖だ。

 日本航空123便で亡くなったのが500人以上。

 去年の福知山線脱線転覆事故の犠牲者は100人とちょっと。それであれだけ大騒ぎしておきながら、

 「ガイジン」のことなど知るものか、という姿勢があまりにも露骨である。

 イラクのサマワには陸上自衛隊が派遣されていて、もっぱらその活動状況ばかりが報道されるが、

 航空自衛隊も海上自衛隊も、派遣されているのである。



 このことについては、どこの新聞もテレビも殆ど触れない。触れないところを見ると、

 交戦状態のアメリカ軍のために武器を輸送したり、

 イージス艦は、インド洋・チャゴス諸島ディエゴガルシア島に基地を持つ米軍に情報提供をしているのではないか、

 と考えざるを得ない。

 それは、交戦中の同盟国に対する後方支援であり、現在の日本国憲法が禁止している

 「集団的自衛権の行使」を国民に何の断りもなく行っていることになる。それは、今日は置いておくが、要するに海上自衛隊は、

 事故現場へ赴いて、出来ることがあるはずだ。それをしないのは、良くない。(後でもう一度書くが、自衛隊が悪いのではなく、

 内閣の判断が良くないのである)。


◆憲法論議はさておき

 

 昨日の「サラーム98」の沈没のあと、英国は早速救援隊を派遣したが、日本は何もしない。

 イラク戦争という「人殺し」には積極的に加担しながら、人命救助にはまるで無関心というのは、おかしい。



 イラクに自衛隊を派遣することを決めたのは、2003年12月9日の閣議で、

 そのあと小泉首相は記者会見を開き、憲法前文を引き合いにだした。

 

「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」

 「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、

 政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」



 というくだりをイラクへの自衛隊派遣の正当性の根拠としたのであるが、人殺しの手助けをすることは、「国際社会において名誉ある地位を占める」ことにはならない。

 今回のような惨事が起きたときに、現在海上自衛隊がいると思われるインド洋と紅海はだいぶ離れているが

、日本から派遣するよりは早く現地に行けるのに、これを傍観していて、「国際社会において名誉ある地位」もへったくれもないだろう。



 毎回、勘違い反論メールが来るから断っておくが、私は自衛隊を責めているのではない。

 自衛隊に救援活動を命じない、小泉純一郎内閣総理大臣を批判しているのである。


◆話は変りますが。

 

 1月27日にクラシック音楽のポッドキャスティング、ポッドムジーカを運営しておられる眉墨トーシローさんのBlogを紹介したが、

 ポッド・ムジーカで今日から配信されている第4回目の放送、

 【第4番】トランペット吹きはきっと大変!で、

 私がモーツァルトに関して書いた内容を大々的に取り上げて下さった。

 私が書くのも何ですが、眉墨さんのトークは大変分かりやすく、聞きやすい優れた内容なので、是非お聴き下さい。


2005年02月03日(木) <NHK>番組制作費詐欺で元チーフプロデューサーを再逮捕 民放各局は何かしていなかったかな?
2004年02月03日(火) 「陸自本隊 クウェートへ出発 」←これが大ニュースにならない。それを「既成事実化」というのだ。いけない。
2003年02月03日(月) 天下国家を論ずるのも良いが、身近な人に親切にするのも大切だ。

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