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JIROの独断的日記
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2005年11月22日(火) 今日は、「ボレロ」が初演された日。音楽あれこれ。

◆11月22日はラベル「ボレロ」が初演された日。

 

 フランスの作曲家、モーリス・ラベルの作品は「亡き王女のためのパヴァーヌ」などの名前ぐらい何となく聞いたことがある方も多かろう。

 管弦楽の為の作品は何も「ボレロ」だけではないのだが、ボレロのクライマックスはクラシックを聞き慣れていない人にも感動を与える。

 ずっと前だが、NHKがN響を使った音楽入門番組を作り、ゲストが西田敏行であった。それまでクラシックをろくに聴いたことがない、という。

 そこで、故・山田一雄(大先生ですぞ)指揮でN響がボレロを演奏するときに、西田敏行をバイオリンセクションの中に座って聴かせた。勿論自分は音を出さない。

 演奏終了後、司会進行役のNHKアナウンサー(だったと思うが、この記憶は曖昧である)が西田氏に感想を求めると、

「自分が何も楽器を弾けないのが悔しくて・・・・」と冗談めかしたコメントを発しようとしていたが、途中で感極まって泣き出し、言葉にならなかった。

 私はそれを見て感動した。これぞ、本物の芸術のすばらしさである。


◆クラシックを聴くのはお勉強ではないし、「予習」する必要など全くない。

 

 ラベルはオーケストラの魔術師と呼ばれたほどの大天才だが、ラベルの音楽を聴くにあたって、何年に生まれ、没したとか、

 管弦楽法(オーケストレーションといいます)、和声進行の特徴とか、転調が巧みであるとか、理屈を知っている必要は全くない。

 勿論、そういうことを知りたくなって調べるなら、それはそれで結構なことだが、

 世間はいまだにクラシックを「お勉強」だと思っているが、それは、誤った先入観だ、と申し上げたいのである。

 また、皆さん、クラシックのコンサートが堅苦しいというが、それは、周りに合わせて慣れたフリをしようとするからだ。

 回りに合わせる必要は全くない。

 どこで拍手するのか分からなければ、しなければよいのだ。勿論、つまらないと思ったときも拍手する必要はない。

 ただし、拍手したいとき、演奏途中に拍手するのはダメ。原則、演奏中に音は立てない。

 ブラボー!なんて叫ぶ奴がいるが、あれは、ブラボーのためのブラボーで、あんな奴が通なのではない。

 私は30年間クラシックを聴いているが、ブラボーを叫んだのは、ほんの数回である。

 本当に感動したとき、人間は、声なんか、出せなくなるものだ。


◆クラシック・コンサートで演奏が気に入らなくて、「下手くそ!」と叫んだことがある。
 

 今から思うと、若気の至りで恥ずかしいのだが、本当なのだ。

 ある時、N響の定期演奏会で、ゲストのドイツ人オペラ歌手が、ワーグナーの楽劇から一部抜粋を歌った。

 途中、大した高音でもないのに、上りきれず、半音近く低く外れた音を出した。これは私は怒った。

 テノールの高音は勿論持って生まれた声域があるのだが、それだけではなく、練習を重ねてテクニックで出すものだ。

 これぐらいの音が出せないのは、明らかに遊んでいて練習していない証拠だ。

 この歌手は元ドイツの空挺部隊の軍人からオペラ歌手になったという変わり種で、ロックも歌うとかプロフィールに書いてあるし、

 前回、日本に来たとき、夜通し六本木で遊んでいたと言う話が有名だった。

 それでも、本番でまともな仕事をするのなら、プライベートで何をしようが構わない。

 が、曲がりなりにもカネを出して聴きに来ている客の前で歌うのに練習不足で高音が出せないのは、プロにあるまじき醜態だ。

 批判されても仕方がないのである。

 私のそのときの怒りは、ブーイングなどという甘いモノでは表現できなかった。

 当の歌手が一度ステージの袖に引っ込み、再び拍手を受けるために出てきた。

 私はすごい大声で「へったくそ!」(下手くそ、の意味ですね)と叫んだ。

 ドイツ人歌手は「ヘタクソ」の意味は分からなかっただろうが、あまり良いことを言われたわけではないのは、さすがに察しがついたであろう。

 そういうことをしても、私がつまみ出されることはないのだ。


◆クラシックコンサートは精神がリベラルなのだ。

 

 クラシックのコンサートは堅苦しい、と皆さんおっしゃるけれども、こういう、自由がある。

 これが、例えば、スマップ(あくまで、仮定上の話である)のコンサートへ行って、わたしが、「下手くそ!」と叫んだら、多分袋だたきに合うだろう。

 いつも思うのだが、ああいう芸能人とか、ロックコンサートとかは、褒める奴しか行ってはいけないような雰囲気がある。

 大げさに云えば、「プチ・ファシズム」だ。褒める奴しか行かないから、いつまで経っても下手くそなのだ。

 クラシックの音楽家を含む「芸人」は、客にもまれて、上手くなるものである。



 噺家(落語家)も同様だ。

 寄席に行ったこと、無いでしょう?落語家なんてのも大変だよ。通の客はきびしいからね。

 噺が上手くないと、「つまらねえぞ!」なんてヤジが飛ぶ。人を笑わせるのが落語である。「つまらねえぞ」は、最も厳しい批評である。 

 話がそれたが、要するに何を言いたかったかというと、

 「形式こそクラシック・コンサートのほうが堅苦しく感ずるかも知れないが、精神はリベラルだ」ということである。


 

 ◆ラベル「ボレロ」前回お薦め大変好評でしたので、もう一度。

 前回、ラベルの誕生日です。「ボレロ」って知っていますか?でお薦めした、アバド指揮、ロンドン交響楽団のCDは、その後、何人もの読者の方々から「大変良かった」というメールを頂き、大変うれしかった。

 このCDでは曲の終盤にさしかかったところで、オーケストラのメンバーが、興奮を抑えきれなくなり、思わず、「ワオッ!」と叫ぶのがいい。

 こういうクラシックのCDは大変珍しい。今回初めて、読まれた方も是非どうぞ。お薦めです。


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