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JIROの独断的日記
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2005年10月20日(木) 「小泉首相:参拝は『思想、良心の自由』 党首討論で」←郵政民営化に反対した自民党員の思想・良心の自由は剥奪していいの?

◆記事1:小泉首相:参拝は「思想、良心の自由」 党首討論で [毎日新聞 2005年10月19日 20時13分]

 小泉純一郎首相と民主党の前原誠司代表による初の党首討論が19日午後、行われた。

首相は自らの靖国神社参拝について「思想及び良心の自由は憲法(19条)で保障されている。首相である小泉純一郎が一国民として参拝する。それがどうしていけないのか。私は理解できない」と述べ、憲法に抵触しないと強調。「靖国参拝をやめればいいという議論にはくみしない。日中関係は靖国だけで規定されない」などと述べ、中韓両国の批判に反論した。


◆記事2(参拝当日の記事):小泉首相:靖国神社に昇殿せず参拝 秋季例大祭初日 [毎日新聞 10月17日夕刊]

 

 小泉純一郎首相は17日午前、東京・九段北の靖国神社に参拝した。首相参拝は04年1月1日以来で、通算5回目。

 首相参拝は中国、韓国など近隣諸国が強く批判しているため対応が注目されたが、「年1回参拝」の公約を優先した。

 ただ本殿には上がらず、一般参拝客と同様に拝殿の前で手を合わせるなど過去の参拝と異なる形式を取り、私的参拝を強調した。

 同神社では17日から20日まで秋季例大祭が行われる。公邸を出た首相は午前10時過ぎ、公用車で同神社に到着。

 一般参拝客と同じ拝殿に進み、一礼して階段を上った後、スーツのポケットから取り出したさい銭を投げ入れ、約30秒間、深々と頭を下げた。

 最後に再び一礼した首相は、記者団の問いかけには答えず、そのまま同神社を後にした。

 これまで参拝していた本殿には向かわず、「内閣総理大臣 小泉純一郎」の記帳や献花料の提供もなかった。(後略)


◆コメント1:これ、「私的参拝」ですか?

 

 私は、内閣総理大臣はその在職中は、1年365日、24時間、行政府を代表する存在、即ち国家機関のひとつであり、存在自体は無論自然人だが、完全に私的な存在、つまり一般市民になることはないと思います。

 だからこそ、365日、24時間、首相の居所は内閣官房か、とにかく誰かが把握しているし、床屋へ行くときも、ラーメン屋へ行くときにも、護衛がつくし、公用車の使用が許されるのです。

 本日の党首討論における首相の答弁で、小泉首相は17日の靖国参拝は「私的参拝」だった、と主張しています。

 私は、上で述べた理由により、内閣総理大臣の私的参拝は存在しないと思うのですが、百歩譲って、首相が完全な「私人」になることができる、と仮定しても、17日の参拝の状況を調べると、一般市民とは見なせない。

 首相が「私的参拝」だという根拠は、今年は「内閣総理大臣、小泉純一郎」との記帳を行わなかったし、献花料の提供も無かったということなのですけどね。 



 私的参拝なら、自宅(首相公邸、まあ、社宅みたいなもんです。)から、電車に乗るか、タクシーかハイヤーを自費で用いて靖国神社に行くはずです。

 しかし、参拝当日の報道(記事2)には、公用車を用いて行ったと書いてありますね。

 私人として参拝したなら、公用車を用いるべきではないですね。それに、17日、皆さんテレビを見たでしょう?

 見ていない方のために、一枚の写真を持ってきましたから、見て下さい。 


 このものものしさ。

 小泉さんの周りにいるのは、勿論護衛です。公務員です。税金から給料を受け取っている公務員です。

 小泉首相の主張どおり、このとき、彼が私人なら、自分で警備会社のガードマンを雇わなければ筋が通らない。

 首相警護官たちは、「国家機関としての内閣総理大臣」の安全を守るための人たちです。一般市民の護衛を仕事にすることはないのです。

 嘘だと思ったら、皆さん内閣官房に電話して、頼んでご覧なさい。

「今度危ないところに行くのだけど、カネを払うから、あの強そうな首相のボディガードを貸してくれ」、と電話するのです。相手は、何も答えずに、10秒ぐらいで電話を切ることでしょう。

 首相の公用車を使うことが出来て、公務員の特別なボディガードが回りを見張っている。

 この時点で、小泉首相が何と言おうが、彼は公的存在であることを自ら証明しています。 言葉だけ私人と行っても、通用しません。


◆コメント2:「思想・良心の自由」を尊重するなら、何故、自民党「造反組の処分」という発想が出来るのでしょう。

 

 小泉首相は、自分の行っている言葉の意味を理解しているのでしょうか?

 自分だって国民の一人であり、思想信条の自由がある。だから、靖国神社へ参拝するのは自由だと仰る。

 それならば、自民党の中で、小泉首相の郵政民営化に反対票を投じた人間を公認から外したり、「刺客」を送って当選できないように工作したり、

 28日には党内処分を決めるとかいって、要するに反対した人間は二度と自民党に戻れないように除名処分にすると言われている。

 その行為は、「反対派」の「思想・良心の自由」を侵していることだ、と何故気がつかないのでしょうか。

 同じ政党に所属する国会議員であっても、一人一人、別の人間だから、完全に同じ思想の人はいないのです。

 にも、関わらず、「自分と意見が違う人間は許さない」という思考は、自分と他人との区別が良くできていないということで、小児的です。未発達です。


◆コメント3:憲法を引き合いに出すならば、「思想・良心の自由」というより、「信教の自由」だと思います。

 

 今日は、小泉首相にしては珍しく、憲法の条文を持ち出してきましたね。

 しかし、「思想・良心の自由」が最も適切な条文でしょうか?

 「靖国問題」が憲法との関係で問題になる場合、国の宗教活動を禁じた20条3項が根拠になることは、首相もご存じの筈。

 自分が、私人として参拝したと本気で信じているならば、20条1項「信教の自由は何人に対してもこれを保証する」を持ち出すのが普通の論理。

 これに敢えて触れなかったのは、靖国参拝が「宗教的行為」であることを、小泉首相が自覚していることを、示しています。

 それを明らかにすると、後々、小泉首相にとって不利な結果をもたらす可能性が高いので、意識的、或いはもしかすると、無意識に避けたのだと思われます。

 という理由で、私は首相の答弁には全く納得できません。


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