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JIROの独断的日記
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2005年10月18日(火) 「中国外相が異例の抗議 日中関係、一段と悪化」←煽るな

◆記事1:中国外相が異例の抗議 日中関係、一段と悪化

 

 【北京17日共同】中国の李肇星外相は17日、中国外務省に阿南惟茂・駐中国大使を呼び、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「戦争被害国民の感情を傷つけ、中日関係に損害を与えた」と強い憤りと抗議を表明した。

 また、北京の外交筋によると、23日から北京で予定されていた日中外相会談が中国側の反発で取りやめとなった。

 日本側は町村信孝外相の訪中で政治的に冷え込んだ両国関係の修復を図る狙いだったが、靖国参拝を受けて一段と関係が悪化するのは必至だ。

北京の日本大使館によると、小泉首相の靖国参拝で中国外相が大使に対して抗議を申し入れたのは初めて。 (共同通信) - 10月17日22時42分更新

 
◆記事2:大統領の年内訪日見送り示唆=小泉首相靖国参拝で韓国

 

 【ソウル17日時事】韓国の青瓦台(大統領官邸)報道官は17日の記者会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を受けて「盧武鉉大統領の日本訪問について『検討している』と言えない状況になった」と述べ、参拝に抗議して大統領の年内訪日を見送る可能性を示唆した。

 両首脳は先に、盧大統領が年内に訪日して小泉首相と会談することで合意していたが、同大統領が「(日韓の)歴史問題の核心」と見なす案件で、厳しく対応する姿勢を示した。(時事通信) - 10月17日17時0分更新


◆コメント:日本がいきり立つ必要は無いのです。

 

 日本の円滑な外交運営を阻害しているのは、マスコミではないかという気がしますね。

 まず、記事1。

「中国外相が異例の抗議」
 異例でも何でも無いじゃないか。毎度の事。それを日本の世論を故意に扇情するような報道の仕方は感心しない。

 一般の日本人も、別の角度から考えてみるべきだ。ということは別のルートの情報を確認してみることが必要なのだ。

 韓国の態度に関しても同様である。


◆コメント:中国政府・韓国政府共、小泉首相に、非常に「感謝」していると思います。

 どういうことか。

最近、中国や韓国の国内情勢がどうなっているか、少し遡ってみると分かります。

まず、中国。



中国では、大規模な農民の暴動、殆ど日本史で習った「百姓一揆」のような暴動が勃発して、中国共産党も押さえ込むのに苦労したばかりなのです。

理由の一つは、貧富の差の極端化。

大都市は、もはや社会主義国とは言えないほど、豊かな生活(日本の累計3兆円の援助のおかげだけどね)を送っているのに、奥地はいまだに原始時代からあまり変っていないような貧しさ。

(よく、「世界ウルルン滞在記」でそういうところへ行くでしょう?)

様々なメディアが伝えるところによると、天災・人災、伝染病、で中国の国内情勢は非常に不安定です。


  • 「今年の洪水の被害は1360億元、死者は1247人 - 人民日報 (11日17時45分)」

  • 「コレラ感染が急増=中国(時事通信) (11日19時1分)」

  • 「中国、洪水で1万3000人に避難命令(ロイター) (4日22時22分)」

  • 「福州山間部で洪水 武装警察の学校流される - 人民日報 (4日18時0分」

  • 「【中国】河南省の炭鉱でガス爆発事故、34人死亡、新彊でも(サーチナ・中国情報局) (4日17時11分)」

  • 「インフルエンザで緊急対策 中国衛生省(共同通信) (9月28日21時0分)」

  • 「【中国】安監総局長「産業事故で13万人死亡」安全呼びかけ(サーチナ・中国情報局) (9月22日8時32分)」(注:1年間で13万人ですよ。)

  • 「【中国】雲南:爆発事故で死傷者54人、ニトラミン爆発か(サーチナ・中国情報局) (9月14日17時11分」

  • 「【中国】8月の伝染病死亡、「肺結核」「狂犬病」などで878人(サーチナ・中国情報局) (9月12日18時54分)」



というわけで、政府は、民衆の暴動を警戒していたのです。そして、本当に暴動が起きてしまいました。

◆記事:賃金未払いで労働者が暴徒化、警官襲撃で催涙弾も 2005/09/30(金) (中国情報局)

 広東省・広州(こうしゅう)市で29日、靴工場で働く労働者ら約100人が賃金未払いに激怒、経営者に抗議の意を表すために市内の交差点に立ちふさがり、交通を遮断。出動した警察官などと衝突し、パトカー3台を含む車 両6台が破壊され、警察官1人がけがをした。30日付で信息時報が伝えた。

 衝突があったのは29日午前7時過ぎ。交差点を封鎖している労働者約100人に対して、駆けつけた警官らが法律にのっとって解決するよう説得した。しかし、興奮状態の労働者が投石を始めたのをきっかけに暴徒化。中には 警察官から警棒を奪い取って襲いかかるものもいた。

 現場に応援の警察官が到着し、200人ほどで鎮圧にあたった結果、2時間あまりして混乱は収まった。その間、警察側が2度、催涙弾を発射したとの目撃談もある。

 この衝突で、警察官1人と労働者4人、さらに巻き添えになった通行人1人がけがをした。

 労働者5人がパトカーを破壊したなどとして警察に拘束されたほか、抗議活動の中心人物に対する取調べも行われている。

 今回の衝突の背景には、労働者の賃金が広州市の定める最低基準より低かったうえ、1カ月分が未払いだったことがあるという。ちなみに、参加した労働者のうち8割が女性だった。


◆記事:河南:「90%の子供が鉛中毒」激怒の農民が暴動 2005/09/16(金) (中国情報局)

 河南(かなん)省・修武県馬坊村で、鉛工場が排出していると思われる粉塵、汚水、汚染された気体が原因で、259人の児童のうち、約90%で鉛中毒の症状が見られ、転校や休学をする児童が相次いでいるという。

 怒った農民が暴徒化したが、多くが拘留され、事態は混迷している。15日付で新華社などが伝えた。

 2003年4月に村民大会の開催など正規の手続きを経ないまま、土地が収用され、鉛の電解工場が建設された。

 その後、操業の開始直後から、周辺住民には吐き気、下痢、いらつきなどの健康被害が続出。

 14歳以下の子供たち259人に身体検査を受けさせたところ、226人の血液から1リットルあたり、100マイクログラム以上の鉛が検出された。

 中国の医療関係団体が定めた基準によると、100マイクログラム以上の含有は、「軽度の鉛中毒」に相当する。

 農民は激怒し、操業停止と補償金の支払いを求めて、関係機関に直訴。

 しかし、工場側が、300ミリグラム以上の鉛が検出された子供8人を入院させた以外は、対策をとらなかったため、05年1月には農民が工場に押しかけ、従業員や車両の通行を阻止。

 2月には壁や門を破壊したり、タイヤを燃やしたりする事態となった。このため警察や消防など2000人が出動、数十人が拘留された。



◆コメント:韓国も盧武鉉政権は散々国内問題で叩かれている。

 

 揉め事が起きたときは、両方の言い分を聞く必要がある。

 特に日本のメディアは特に「近隣諸国の反日感情」をやや強調しすぎる傾向がある(その方が、視聴率が取れるからである)ので、中国や韓国のメディアの論調を確認するべきです。

 中国はは共産党独裁だから、比較の対象としては、適切と思えないので、 韓国の3大新聞、中央日報朝鮮日報、それから、東亜日報それぞれ、最近約一ヶ月の社説見出しをそれぞれリンクをクリックして読んでみて下さい。勿論日本語版です。

 そうすると、どの新聞も(今日はさすがに日本に触れているが)、毎日のように「日本人はけしからん」という論説を載せているわけではないことが、分かるでしょう?

 むしろ、自国の盧武鉉政権批判がかなり辛辣なわけです。

 朝鮮日報の9月29日付社説では、公務員数削減に関して、「日本を見習え」というようなことまで書いている。

 勿論、日本批判の時もあるけどね。全体としては平衡感覚が取れている、ということが分かります。


◆コメント:小泉首相が今日、靖国参拝してくれたのは、中・韓両国政府にとって「天の助け」

 

 だったと言っても、過言ではない。

 古今東西、一国の政府が国内運営で上手くいっていないときに、民衆の批判から逃れるために用いる一番手っ取り早い手段は、外国に目をそらせることですね。

 中国・韓国両方とも、かなり現政権(といっても中国は共産党しか、選択肢がないのだけれど)にたいする不満が鬱積している。

 だから、今日の小泉首相の靖国参拝は、殆ど両国政府にとっては、「天の助け」だったのではないかと思われる。

 「見ろ!日本の首相がまた靖国へ行ったぞ!断固抗議するぞ」

 で当分お茶を濁せる訳です。大衆はどこの国も感情で動くからね。


◆結論:日本のマスコミはセンセーショナリズムに走るな。国民はそれに乗るな。

 

余談ですが、東亜日報日本語版のサイトに行くと驚きますよ。

 全ての記事を音声で(日本語ですよ)で聴くことができるようにしてくれてある。

 私は、目は悪くないから、文字を読めば十分だが、パソコン画面の文字は疲れるからね。人によっては大変助かるはず。随分親切だと思いますね。

 論説委員の文章は、原文は分からないけれど、3大新聞いずれも、教育も教養もある人が書いていることは一目瞭然です。

 勿論、日本に対して批判的なこともたびたびあるが、日本の掲示板の書き込みのように、ただ感情の赴くままに、「鬼畜日本人、死ね」というようなことは、絶対に書いていない。

 新聞の論説だから、当たり前だが、論理を重んじているのです。 日本のマスコミの不必要に扇情的な報道姿勢の方が問題だと思いますね。

 どうも、実際の騒ぎより大げさに伝えられているように思います。


2004年10月18日(月) 「在日米軍再編:同盟優先、理由後付け」要するに、米軍が世界各地を攻撃する基地を日本に置くことを認めるか、という話です。
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