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JIROの独断的日記
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2004年10月18日(月) 「在日米軍再編:同盟優先、理由後付け」要するに、米軍が世界各地を攻撃する基地を日本に置くことを認めるか、という話です。

◆記事:「在日米軍再編:同盟優先、理由後付け」

 政府が米陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間(神奈川県)移転を受け入れる検討に入ったことで、今後、日米の軍事協力を世界規模に拡大する「安保再定義」や沖縄などの基地負担削減にどこまで踏み込むのかが在日米軍再編問題の焦点となる。同司令部の受け入れに慎重だった外務省は日米安保条約の「極東条項」を柔軟に解釈する方向へ軌道修正したが、再定義には消極的で、積極姿勢の防衛庁との溝は深い。小泉純一郎首相が安保政策を含めてどこまで再編問題で指導力を発揮できるかが問われる。

 ◆外相交代で一転

 「極東条項ありき、ということでやると非常に狭い議論になる」

 町村信孝外相は16日、訪問先の那覇市内での記者会見で、在日米軍再編問題について米軍の世界的戦略にも配慮する考えを強調した。

 政府が米陸軍司令部の受け入れに動く背景の一つに、外務省内で容認論が有力になったことがあげられる。これまで外務省は、同司令部の展開範囲が中東までを想定しているため、在日米軍の基地使用を規定した日米安保条約6条(極東条項)を逸脱するとして慎重姿勢を示してきた。

 しかし、9月末の内閣改造で、停滞する日米協議を政治主導で進める野心を持つ町村外相が就任したことも影響した。これまでの経緯の説明をした同省北米局幹部に対し外相が「今まで何をやってきたのか」と詰問したこともあり、容認論が徐々に強まっていった。同省も日米安保体制の強化、在日米軍による抑止力の維持は重視しており、受け入れの方向で議論を進めざるを得ないとの判断が大勢になった。


◆資料:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(日米安保条約)より抜粋

 

第6条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。


◆コメント:どうして、小泉内閣は軍国主義的なのだ?

 

町村外相のホームページを見て、経歴を読んだら、奇しくも昨日が誕生日だった。

どうでも良いような話だが、昨日というのは、ショパン(あの「ピアノの詩人」ですよ)の命日なのである。昨日は本当はそのことを書きたかったのだが・・・。まあ、本件とは関係がない。

 町村外相は、あまりよく考えない人なのではないのか?先日、沖縄国際大学にヘリが墜落した現場を視察した時に、「ヘリコプターの操縦も上手だったから大事に至らなかったのだろう」と発言して問題となり、その日のうちに取り消す、という騒ぎを起こした人である。どうして、この発言が問題なのかは後で述べる。

 記事の中でこの町村さんが「極東条項ありき、ということでやると非常に狭い議論になる」と発言しているが、その「極東条項」が資料に掲げた、日米安全保障条約第6条である。

 在日米軍は日本やその周辺の限られた地域での安全保障に専念する。という意味だ。つまり、日本を出城にして、世界各地への武力行使をして貰っては困るのである。それを認めたら、日本は米軍の侵略行為に荷担していることになるからである。


◆自民党政権の得意技。「なし崩し→既成事実化」作戦が始まろうとしている。

 

アメリカの陸軍司令部を座間キャンプに受け入れると言うことは、アメリカが中東などを攻撃しようとする時の司令塔が日本にある。ということになり、どう考えても、安保条約第6条に抵触するという結論しかでないのだが、それを自民党は実現してしまうつもりなのである。


◆実は、既に極東条項は形骸化しつつあるのに、マスコミはそれを伝えない。

 

例えば、三沢にはアメリカの空軍基地があるが、ここから飛び立った戦闘機が空中給油を用いて、中東まで行って、イラクを爆撃しているのである。Misawa Air Baseで検索すると米軍三沢基地のサイトに辿り着く。トップページの左の一番上に、35th Fighter Wing(三五戦闘航空団)という航空隊がそれである。もう4年も前に既成事実化していることを、東奥日報という青森県の地方新聞が伝えているのに、全国紙が騒がないから、国民も全然知らない。

 日本の大新聞社は、最近、すっかり、政府の大本営発表を伝える、政府宣伝機関に成り下がってしまったのか?


◆嘉手納と岩国には劣化ウラン弾が備蓄してある。

 

それは、7年も前に沖縄タイムズがはっきりと報じている。「はっきりと」とは、正確に言えば、米軍の証言でウラをとっているということだ。

 沖縄国際大学に墜落したヘリコプターに関する詳細を米国が日本に伝えないのは、このヘリが劣化ウラン弾を運んでいたのではないか、という疑惑があるからだ。

 もしも、そうならば、下手をすれば、付近一帯が放射能で汚染される参事になりかねなかった。それを「米軍のパイロットの操縦が上手かったのだろう」と呑気なことをいうから、町村氏は糾弾されたのである。

 劣化ウラン弾の悲劇については、この日記で過去に何度も書いたが、いくら言葉で言ってもわからないから、フォト・ジャーナリストの森住卓さんの劣化ウラン弾と経済制裁というページをご覧になると良い。

 これは、イラク戦争が始まる前の写真である。つまり、1991年に行われた湾岸戦争でアメリカがイラクでばらまいた劣化ウラン弾による放射能の影響が10年以上経っても消えていなかったのである。

 それなのに、恐ろしいことに、その事実を知りながら、アメリカは昨年のイラク戦争で、この衰弱した人々の国にさらに多くの劣化ウラン弾を使用したのである。悪魔の所業ではないだろうか?


◆この本を読むといい


 

青山繁晴という、セキュリティ、カウンターテロ(対テロ政策)の専門家で、日本のCIAと呼ばれるほど、世界に情報網を持っていて、又聞きではなく、各国要人に直接会って本音を取材できる極めて貴重な人物がいる。この人は目が回るほど忙しいのだが、何冊か本を出している。世界政府アメリカの「嘘」と「正義」という本をお読みになることを、お勧めする。

 三沢を発信したF16戦闘機や嘉手納基地から発進したF15戦闘機が、イラクを攻撃していることがはっきり書かれている。そして、ショッキングなのは、イラクや他のアラブ人は、それら、アメリカの戦闘機が「ミサワ」から飛んで来ていることを知っていて、「日本は、どうして、アラブを爆撃するんだ?」と青山さんに尋ねたというくだりである。爆撃されている側から見れば、基地を提供している日本人も同罪なのだ。


◆憲法を無視する人間は政治家を辞めろ

 日本国憲法前文の一節に、

 

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。


 

という、非常に高邁な美しい思想が記されている。

 これは、単なる、美辞麗句ではない。日本国憲法は日本の最高法規なのであり、平和を崩そうという動きに制約を加える働きを持っている。

 その規定が変更されていないのだから、政治家は、これを無視してはいけないのだ。

 「世の中きれいごとではすまない。強いアメリカの言うことをヘコヘコ聴いていればいいのだ」、という精神ではいけないのである。

 人間は、放っておけば、すぐに武力を使いたがるからこそ、憲法前文に掲げたような理想=あるべき姿=当為、を設定して、それに現実を近づけるように努力しなければいけないのだ。日本国憲法を遵守しない人が、政治家、ましてや、内閣総理大臣でいてくれては、こまるのである。

 小泉も町村も、殆どの政治家は、それがわかっていない。


2003年10月18日(土) 日本は世界にカネを出し過ぎ。
2002年10月18日(金) 東南アジアで連続テロ。中東ではイスラエル軍の砲撃で妊婦ら6人死亡

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