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JIROの独断的日記
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2004年11月09日(火) 「北極の温暖化深刻、ホッキョクグマも絶滅の恐れ」 人類だって、危ないのです。

 ◆記事:北極の温暖化深刻、ホッキョクグマも絶滅の恐れ

 

【ロンドン=飯塚恵子】2100年までにホッキョクグマは絶滅の恐れ――北極地方の温暖化に関する過去最大の調査結果をもとにした深刻な予測が9日、アイスランドのレイキャビクで発表される。

 調査は、北極地方を取り巻く米国、カナダ、ロシア、アイスランド、ノルウェーなど8か国の政府と科学者約300人が協力し、2000年から実施した。

 それによると、北極地方の平均気温は、2100年までに摂氏4―7度上昇。これは国連による従来の報告の2倍の速度にあたり、最悪の場合、夏季、北極の氷は消滅し、ホッキョクグマやアザラシなど北極特有の動物は絶滅の危機にひんするという。

また、氷河が解けることにより、今世紀末には海面が10センチ上昇することが予想されるという。

 レイキャビクでは、今月24日に北極地方に接する各国の外相らが集まり、温暖化問題について協議する予定。(読売新聞) - 11月9日19時29分更新


◆コメント:ホッキョクグマだけでは済まない。

 

 最近、初めて、アクセスして下さる読者が大勢いらっしゃるので、今一度、地球温暖化問題の深刻さに関して述べる。

 国連環境計画(United Nations Environment Programme - UNEP)という組織があり、地球温暖化を含む環境問題を研究し、今までに、何度も世界に向けて、警鐘を鳴らしている。

 5年も前に既に発表された、地球環境概況2000は日本など100カ国以上の30研究機関、約850人の専門家がまとめたもので、環境問題について最も権威ある報告書であると言われているが、その要点は、



 「温室効果ガス排出増による地球温暖化の防止は恐らく手遅れ。京都議定書の目標も達成が難しい」。

 ということである。もう少し詳しく書くと、


  • 地球規模の水循環は、今後数十年間に予想される需要を満たすことができそうもない。
  • 土地劣化が農業の生産性と可能性を押し下げている。これらの損失は、農地の拡大や生産性の向上によってもたらされた改善の多くをうち消している。
  • 熱帯林の破壊の速度が速く、取り返しのつかない損失を防ぐことができない。失われた森林を取り戻すには何世代も必要であり、森とともに失われた文化は決して回復できない。
  • 環境悪化が目に見えるようになるまでには時間がかかり、政策立案者の反応も遅いため、地球上の多くの種が、すでに失われたかあるいは絶滅の危機に瀕している。かつて地球上に見られた多様な生物種の全てを保存するには手遅れである。
  • 多くの海洋漁業では、過剰捕獲が続けられており、資源の回復は遅い。
  • 人間の活動により、世界のサンゴ礁の半数以上が危機に瀕している。そのうちのある程度は生き残るであろうが、多くは手遅れである。
  • 開発途上地域の多くの大都市において、大気汚染問題が深刻化し、多くの住民の健康を損ねている。
  • 温室効果ガスの排出量増加により、地球温暖化を防止するのはおそらく手遅れであり、更に、京都議定書において合意された多くの目標は達成されないかもしれない。

というわけで、これ以上悲観的なレポートは、滅多にないだろう。

特に、このレポートが悲観的であることの怖さは、云うまでもなく、人類の存続に関わる問題だからである。地球環境概況2000の内容の細部を読むと、





  • 【地球環境の現状】
  • オゾン層破壊 : フロンによるオゾン層破壊の進行
  • これまで放出されたフロンガスなどにより、2010〜20年に最大3分の2が破壊され、本格的な被害はこれから(NASA)。
  • 今後、有害紫外線Bが増加し、皮膚ガン、免疫の低下、白内障などが増加。農作物・漁獲も減少。
  • 地球温暖化 : 石油などの大量消費で、1990年代後半の大気中の二酸化炭素濃度は過去最高に。
  • すでに温暖化が始まり、異常気象、洪水、干ばつなどが頻発。
  • 先進国の温暖化ガス削減目標を決めた京都議定書の達成は難しく、地球温暖化防止はすでに手遅れ。
  • 化学物質汚染 : ダイオキシン、環境ホルモン、農薬、有害廃棄物などの汚染が深刻
  • 世界で年間500万人の急性農薬中毒が発生、さらに空気、水、食べ物、土にも汚染が広がり、ガンや生殖異常などが増えている。
  • このままでは2050年には環境中に出る有害物質の量は現在の3倍以上になる。
  • 森林破壊 : 乱開発、商業伐採によって世界の原生林は80%が失われ、熱帯林の破壊はすでに取り返しのつかない状態。
  • 森林破壊や過耕作、過放牧などで世界中の土地で劣化が進み、世界の20%の土地で砂漠化が深刻、農業が困難となり10億人の生活に影響が出ている。
  • 生物種の絶滅 : 開発や森林破壊によって、ほ乳類の25%、鳥類の11%が絶滅の危機にあるなど、現状の生物多様性を保つことさえ既に手遅れ。
  • 食料危機 : 農業の生産力は水不足や農薬、化学肥料による土の劣化ですでに頭打ち、農地も人口増化、都市化によって減少している。
  • 地球温暖化、森林破壊などで、今後農業の生産力はさらに低下、食糧が不足する。
  • 漁獲量も乱獲によって頭打ち、2050年には需要が倍増し、不足が避けられない。
  • 水資源の不足 : 農業や工業、都市化で水が大量に消費、多くの河川が枯れるなど各地で水不足が深刻しており、このままでは2025年に人口の3分の2が水不足になる。


 と書かれている。

わずか21年後に世界の人間の3分の2は水不足に苦しむという。水がなくなるって、人類が絶滅することではないだろうか?

先日、ロシアが京都議定書に批准して、我らが小泉首相も「喜ばしい」とか云っていたが、京都議定書が発効したということは、ある条約=国際法が効力を持った、ということに過ぎない。

この条約(議定書も条約も同じである)が実効性を持つか否かは、参加国がこれを遵守するか否か、つまり、温室効果ガスの最たるものであるCO2排出量の削減を、京都議定書で定めたとおりに実現できるかどうかにかかっている。
そして、そもそも、京都議定書は、参加各国の温室効果ガスの排出量を減らす、という目標しか定めていない。

つまり、いずれにせよ、大気中のCO2は増え続けるのである。専門家によれば、CO2濃度を現在のレベルから増やさないようにするためには、世界全体が、CO2排出量を50%から70%カットしなければならないのだという。

京都議定書において定められている目標というのは、温室効果ガスの排出量を、2008年〜2012年の間に、1990年の水準から先進国全体で少なくとも5%削減すること、なのである。

如何に、温室効果ガスの濃度を減らすのが、絶望的に難しいか分かろうというものである。


◆どこの国も無関心だ。

 

皆、人間が地球上で生き続ける環境が無くなるかも知れない、という事実は知らないし、知りたくもない。

 人間は、都合の悪い話は心理的に無視しようとするから、全然、問題は解決しない。我が国の環境大臣のホームページを拝見すると、就任当時よりは、少しはことの深刻さを理解したようだが、日本政府の環境問題に対するプライオリティは、教育問題と同じぐらい低い。


◆ところが、驚くほど詳しく勉強している中学生がおられる。
 

世の大人が環境問題に無関心でいる間に、14歳〜15歳の女生徒2人が、驚くほど詳細、正確な知識を身につけて、地球doctorという立派なサイトで情報を公開しているのを発見した。唖然とするほど、精緻を極めている。

 小泉首相も、読者諸氏も(嫌味ではなく)環境問題の概要は、殆どこのサイトから知識を得ることができます。勉強してみては如何でしょう。


2003年11月09日(日) 11月9日は歴史が動く日らしい。/自民苦戦。 新潟5区はバカか? その他
2002年11月09日(土) 失われた、消防隊員の命。

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