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JIROの独断的日記
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2004年07月27日(火) 「UFJと三菱東京の統合交渉、差し止め仮処分決定」竹中さん、大変なことになりましたね。

◆記事:UFJと三菱東京の統合交渉、差し止め仮処分決定

UFJ信託銀行との経営統合を白紙撤回された住友信託銀行が、UFJホールディングス(HD)と三菱東京フィナンシャナル・グループ(FG)との経営統合交渉差し止めを求めた仮処分申請について、東京地裁(鬼沢友直裁判長)は27日、交渉を差し止める仮処分決定を出した。

決定は、UFJHDと住友信託が交わした基本合意書について、「独占交渉権を定めた条項は法的拘束力があり、住友信託が一定期間第三者の介入なくUFJ側と交渉する権利を保障した」と判断。

UFJHDが三菱東京FGなどとの統合交渉を続ければ住友信託に著しい損害が生じる危険性があるとして、UFJ信託の営業を住友信託以外の第三者に移転したり、合併させるための協議を行わないよう命じた。(読売新聞) [7月27日17時30分更新]


◆コメント:竹中さん、小泉さん、どうするの?

 今日のニュースの意味をまとめてみます。

 2週間ほど前に、UFJが三菱東京に統合を申し出た経緯を書きました。


 竹中さんという人は、経済学者ですが、アメリカのシンクタンクに在籍していたこともあって、アメリカ式の銀行経営を理想としているところがあります。国際業務を営む銀行は米国でも2つしかない。日本で4つもメガバンクが有る必要は無い。というわけで、金融担当大臣に就任したときから、不良債権を償却させた上で、銀行の数を減らしたいと考え、最初からUFJに狙いを定めていたようです。

 昨年の8月から、金融庁がずっとUFJに居座って、資産内容を調べていた。UFJが「これは不良債権ではありません」といっても、「いや、回収の見込みが立っているとはいえない。不良債権だ」という具合に締め付けていった。

 UFJの大口融資先には、ダイエー、双日ホールディングス、大京など、業績不振先が沢山ありました。これは、UFJの責任ではない。しかし、業績不振であるということは、これらの企業から、ちゃんと元利の返済を受けられるかどうか、怪しいということです。金融庁の目は厳しかった。


◆3割ルール

 

3割ルールというのが、銀行には課せられています。3割ルールとは、金融庁に提出している経営健全化計画の最終利益目標(1351億円)を3割以上下回った場合に金融庁が業務改善命令を出し、2年連続で同命令を受ければ頭取退任などを迫られること。

最終利益が400億円ほど下振れすれば、3割ルールにひっかかるので、UFJは必死に保有株を売りに出して、3000億円ほど捻出しました。さらにだめ押しで、UFJホールディングス傘下の信託銀行であるUFJ信託を売却しようとしていました

 UFJ信託はトヨタや日立という優良企業を持っているから、少なくとも2千億円で売れると云われて、実際に住友信託に売ろうと、交渉を進めていた。


◆致命的な「検査忌避」

 

しかし、まずいことが発覚した。金融庁の検査があまりにきびしいので、UFJが、業績が不振の融資先に関する資料をどこかに隠しておいたことが、バレてしまった。

これは検査忌避といって、一番まずい。これで、完全に金融庁はつむじを曲げて、UFJをいじめ抜くことを決意したのでしょう。6月18日に4つの業務改善命令が金融庁からUFJに発せられました。

とても、9月決算を乗り越えられそうにない、とあきらめたUFJは三菱東京に身売りすることを決めた。もう、目の前にはそのことしかなくて、以前から、UFJ信託を売る約束をしていた住友信託に、あの約束は無かったことにしてくれ、といいました。無茶です。


◆怒った住友信託

 

住友信託は、すでにUFJ信託と合併するものと思っていたので、随分準備を進めていました。それだけ費用もかかっている。それをいきなり反故にされたので、怒ってしまった。それで、東京地裁に、UFJが三菱東京と合併する約束よりも、うち契約の方が先立ったのだから、差し止め請求をしていました。

 その結果が今日、出たのです。東京地裁はUFJと三菱東京の合併に「待った」という決定を出しました。最も青くなっているのは当事者であるUFJと三菱東京でしょうが、結果的にUFJを追い込んだ金融庁の担当大臣、竹中さんは、金融再編という「小泉改革の象徴」が頓挫しかねないことになってしまいました。
 住友信託が、最初、UFJを訴える!と怒り狂っていたときに、竹中さんは「民間企業同士の問題。私は知らない」とすげない答えでした。今度はそうはいきません。どうするの?UFJはこのままだと、合併できなくて、収益も上がらず、9月中間決算を越えられないですよ。折角金融界全体で減り続けていた不良債権が増えて、日本の金融界に対する世界のマーケットの信用が再び地に落ちますよ。The Economist誌なんて、今回の合併を相当評価していたのだから。


 小泉純一郎内閣総理大臣。人ごとみたいな顔をしているけれども、最終責任は、金融問題を、全部竹中さんに丸投げしていた貴方に有ることをお忘れ無く。金融改革は順調といっていたけど、ヤバいですよ。かなり。こう考えると、小泉政権の業績って、なんだったのだろう?


2003年07月27日(日) 「自衛隊を派遣し、憲法の枠内での活動をするのは、論理的帰結である。」←大新聞のバカさ加減

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