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JIROの独断的日記
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2003年07月31日(木) 「わずか数日でPTSD兆候 宮城地震被災者に強いストレス」 「数日」ではPTSDとは言えないが、早く専門家によるケアが必要だ。

◆記事:
宮城県連続地震で余震が続く同県北部の避難所では、28日も2400人以上の住民が避難所で夜を明かした。強い余震が頻繁に続く上、不便な避難生活を強いられて血圧が高くなった高齢者や、夜中に突然泣きだす子どもの姿も目立つなど、地震発生からまだ数日にもかかわらず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような症状が現れ始め、地震は住民の健康状態に深刻な影響を与えている。

◆所感:そういうのは、PTSDとは言わないのであるが・・・

 地震で被災された方々は本当にお気の毒である。しかし、震度6もの強い地震が一日に3回も起こったら、誰だって大なり小なり精神状態に変調を来たすのではないだろうか?全く何の心理的変化が無い人がいたら、むしろそちらの方が変わっている。

 こういうのは、急性ストレス反応(Acute Stress Reaction)というのだ。生命の危機に匹敵する精神的外傷を受けた後に、不安、過敏、緊張、落ち着きのなさ、イライラ、などの精神症状や、首や肩の凝り、震え、動悸、息苦しさ、めまい、不眠、などの身体症状がはやければ、数分以内に出現する。症状が重ければ、ひきこもりになったり、意味もなく動き回る、自分の居る場所や日時がわからなくなることもある。これらの症状は数日のうちに(或いは数時間以内)に消失するが、治らないようなら、なるべく早く専門家による治療を受ける事が必要だ。

 PTSDというのは、精神的外傷(トラウマ)から、何週間、或いは何ヶ月も経ってから、そのトラウマのフラッシュバック(思い出そうとしていないのに、突然その時の感覚やイメージ、思考がよみがえってくること)や夢の中での再体験を繰り返す。人間の記憶は時に不便なもので、忘れたいのが忘れられなくなってしまうのである。

 宮城県北部地震からはまだ数日しか経っていないのだから、今の段階で精神が不安定だとしても、それをPTSDと書くのは不正確だ。但し、急性ストレス反応が、PTSDに発展する場合もあるのだから、国は、被災地に集中的に専門家を派遣して心のケアにあたるべきである。

 しかし、今回の地震はかなりの大地震なのに、人口が密集した地域ではなく、被害総額もたいしたことはなさそうだ、という考えからだろうか。国のケアが不十分な気がする。

 死傷者の多寡に関わらず、宮城地震の被災者が受けた心の傷が、阪神大震災の被災者のそれよりも、小さいとは断言できない。人間の感受性は、一人一人異なる。遠く離れた場所でテレビを通して映像を見ているだけの我々には想像も出来ないショックを受けている人も多いはずである。軽く考えるべきではない。


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