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JIROの独断的日記
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2003年05月22日(木) 不世出の名手、モーリス・アンドレ(トランペット奏者)

 以前、ある掲示板に表題のとおり書いたら、多分若い人だろう。思いがけない反応が返って来た、「不世出って、モーリス・アンドレ、もう、めちゃめちゃ有名ですよ!?」

 この頃の人は分からない言葉を国語辞典で調べるという作業をしないのであろうか?PCもっているなら、広辞苑ぐらい入れておけばよいのに。「不世出の」とは、「滅多に世に現れないほど優れている」という意味である。

 それは、ともかく、うっかりしていた。以前から書こうと思っていたのに・・・。昨日5月21日は今世紀最高のトランペット奏者、モーリスアンドレ(1933年〜)の誕生日だった。

 最近の若いラッパ吹きの諸君は、ウィントン・マルサリスだ。いや、ナカリャコフこそ、最も上手い。といって、この百年に一度現れるかどうかというほどのトランペットの神様、モーリス・アンドレのことをあまり評価しないようだ。

 しかし、トランペットなどという、古典派でこの楽器のためにコンチェルトを書いてくれた人といったら、ハイドンか、フンメル(ベートーベンの先生)ぐらいしかいないような楽器がソロ楽器として注目されるようになったのはひとえに、モーリス・アンドレという天才が、この世に生まれてくれたからである。

 モーリスアンドレは、トランペットを咥えて生まれてきたのではないかと思われるほど、全く疑いようが無い、天才である。

 モーリス・アンドレは数々のバロックの協奏曲(他の楽器のために書かれた作品をアレンジしたものも多いが)を発掘して、その恵まれた、肉体的能力によってのみ可能となる、輝かしい高音を豊かに鳴らして、トランペットの表現力の大きさを世界中に知らしめた。彼がいなければ、いまだに、オーケストラの中ではともかく、クラシック音楽の中でトランペットがソロ楽器として扱われる事は無かったかもしれない。マルサリスもナカリャコフもアンドレがソロ・トランペット奏者として先鞭をつけていてくれたからこそ、デビューできたのだといってよい。

 モーリスアンドレの音に魅せられた私はトランペットの先生に付いて練習した。そこそこには上手くなったが、アンドレは全く次元の違う存在であることが痛いほどわかった。しかし、だからといって、嫌になったことは無い。ますます尊敬の念がつのるばかりであった。

 クラシック。しかも、トランペット協奏曲、というと、かなりマニアックな部類になってしまうけれども、試しに聴いてみてください。お薦めは、カラヤン・ベルリンフィルと録音したフンメル、テレマン、ヘンデルなどのトランペット協奏曲のCD。EMIから。今でも入手可能なはずである。

 もう一つは、本来フルートのために書かれた、管弦楽組曲第2番を全曲トランペットで吹いてしまったもの。エラートという会社から出ている。最後のバディネリなんて、もう、神業。

 そういえば、思い出した。皇太子妃殿下の雅子様が婚約時代、いろんなマスコミが雅子様の持ち物などを取材していて、私は、服やハンドバッグなどどうでもよいので、関心が無かったが、ある写真を見て、非常に驚いた。

 雅子様がカーステレオで聴くテープ(当時はカーオーディオといったら、まだ、テープの方が一般的だったのだ)のなかに、この、モーリス・アンドレによる、「トランペット版 バッハ 管弦楽組曲第2番」が混じっていたのだ。

 妃殿下は相当、クラシック通であられることが、一瞬にして分かった。


2002年05月22日(水) 外人は、謝らない。

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