再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 「アトリエ」毎日新聞掲載。

青年劇場
「アトリエ」 消せない記憶に向き合う形描く
毎日新聞 2017年9月11日 東京夕刊

 青年劇場が15〜24日、フランスの現代劇作家ジャン=クロード・グランベールによる「アトリエ」(大間知靖子訳)を東京・新宿の紀伊国屋ホールで上演する。第二次大戦中にドイツ占領下のフランスで起きた出来事を背負う人々の思いが、縫製工房を舞台につづられる。演出は、昨年度の毎日芸術賞千田是也賞の藤井ごう。

 舞台は戦後のパリ。レオン(杉本光弘)とエレーヌ(名川伸子)のユダヤ人夫婦が経営するアトリエでは、夫が強制連行されたまま行方不明のユダヤ人のシモーヌ(崎山直子)、古株のマダム・ローランス(藤井美恵子)、年ごろの娘をもつジゼル(高安美子)らお針子たちがおしゃべりをしながら働いている。フランスのユダヤ人移送という負の歴史。「大きなテーマを背負っているんですが、同じテーブルで仕事をする女性たちが、子供や生活の悩みを話していて、そこは分かるなというところから世界が近づいていくと、ものの見え方が変わってくるかなと思う。読めば読むほど、よく書かれている本だと思います」。消せない記憶に、さまざまな立場の登場人物たちが、それぞれの形で向き合っていく。「書き分けは見事なものだなと思う。それをどこまでつかんで言葉を発することができるか。“おばちゃんたち”が、ワーワーしていて面白いなって思ってもらえれば」

 問い合わせは03・3352・7200へ。【濱田元子】

2017年09月12日(火)
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