スカーレットの心のつぶやき
つぶやき 目次|過去|未来
一人暮らしの母のことが気になり、実家に行った時、
ちょうど回覧板が回ってきた。
母は、バインダーに挟まれているお知らせを読み、
日付と名前の欄に丸印をつけた後、
「悪いけど、お隣さんにまわしてきてくれる」と言って
私に回覧板を手渡した。
隣の家は留守だったので、
玄関のドアの前に回覧板を立てかけて帰った。
私が子どもの頃、
回覧板を隣の家に持っていくことが
私のお手伝いの一つになっていた。
母から預かった回覧板を、
落とさないように両手でしっかりと持ち、
大きな下駄をつっかけて
隣の家のおばさんに渡しに行った。
おばさんは、にっこり笑って「有難う、ご苦労さん」と言って、
飴玉を一個私の手に握らせてくれた。
その飴玉を右の手に握りしめ、
ふと空を見上げると、
夕焼けで真っ赤に燃える空が果てしなく広がっていた。
急に胸がいっぱいになり、涙が出てきたことを思い出す。
あれから五十年、時代は変わり、
電話、メールと便利な世の中になった。
でも、回覧板は町内会にとって欠かせないものになっている。
思わず私は「トントントンカラリンと隣組」という歌を口ずさんでいた。
スカーレット
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