スカーレットの心のつぶやき
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2005年05月22日(日) あの頃 その3

今思うと、あの時に私がもっと強かったら

きっとあんな病気にはなっていなかったはず。

何故あの時に心の中の全てを彼にぶつけなかったのだろう。

恨みでも、

憎しみでもいい、

思っていることを言葉にしてぶつければよかった。

出来なかったのは、

きっと私がある意味で卑怯だったからだろう。

彼に去られるのが辛かった。

今じたばたしたらもっと嫌われるかもしれない・・

どんなことをしてでも彼との間を無にしたくなかった。

考えたらバカなことだと思う。

あの時の私には私自身がなかったのだと思う。

私が痩せていき、神経が細くなって、

色々なことにイライラしていったことが

かえって、彼の気持ちを私から遠ざけてしまったのだと思う。

今は色々なことが分かる。

不思議なことに私の記憶の中で

あの大学二年から四年までの三年間の

大学生としての思い出がほとんど残っていない。

何をしていたのか・・

友達と何を語ったのか・・

笑ったのか・・

この記憶の代わりに

彼への思いと食べることへの嫌悪だけが残っている。

人間はどのくらいの期間、食べないで居られるのだろう。

私が朝から晩まで何も食べないで大学生活を送れたのは、

今振り返ってみると

数ヶ月しかなかったような気がする。

友人達が何か食べていても、

私には全く食べたいという気持ちが起きなかった。

一生こうして食べないで居られると思っていた。

それなのに・・

それなのに・・

ああ〜情けない・・

断食生活を続けた後のように

何でも良いからとにかく口に入れたいと思った。

理由は分からない。

このまま食べないでいたら

死んでしまっていたかもしれないという

本能的な不安を感じていたのだろうか?

私は食べた。

とにかく食べることしか頭になかった。

異常な世界だった。

正常な食べ方とは違い、

吐くために食べていたのだから。

朝起きて今日はいっさい何も口にするまい!と決心する。

でも、しばらくして何かのはずみで一口食べてしまったら最後、

もう後はどうでもなれというやけっぱちな気持ちになった。

無茶苦茶な食べ方をしていた。

家族に隠れて、冷蔵庫の中を漁った。

誰かが居ると食べられない。

自分が食べる姿を見せたくなかった。

まるで餓鬼のようだった。

一度に炊飯器のご飯を全部食べたこともある。

食パン一斤を食べたこともある。

家に食べるものがないときはイライラしていた。

そしてサイフ一つを持ち食べものを買いに行った。

時には家の近くの食堂のはしごをした。

お腹が空いていたのではない。

吐くためにはお腹いっぱいにしなければならなかった・

そして水分をいっぱい飲まないといけなかった。

私のお腹に入った食べ物は何も吸収されてはいけなかった。

早くそれを吐き出さないといけないと思った。

勿論空腹で食べているのではないから

美味しいとか楽しいとかそんな思いはなかった。

食べることは罪悪だと思っていた私が居た。

焦りの気持ちでいっぱいだった。

顔も化粧することなく、

着るものもどうでもよく、

頭の中は食べることでいっぱい。

早く!

早く!

早く食べないと!

私は心で泣きながら食べ続けた。

そして急いで家に帰り食べたものを全て吐いた。

(つづく)


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