スカーレットの心のつぶやき
つぶやき 目次|過去|未来
私が食べものを口にしなくなった
そもそものきっかけはあのことだった。
私が大学一年の時、
私には結婚するつもりで付き合っていた人が居た。
彼は私の従兄弟だった。
私は物心付いた時から彼のことが好きだった。
いつも側に居たかった。
彼と過ごす時間の楽しかったこと!
そんな彼から「結婚しよう」と言われたとき
天にも昇るような気持ちになった。
嬉しかった。
勿論私にとっては本気で愛した初めての人だった。
全てを彼にあげた。
あの大学一年の秋、私にとってとても辛いことが起きた。
妊娠してしまったのだ。
その年明けに心臓の手術を控えていた私は
躊躇うことなく赤ちゃんを始末する道を選んだ。
そう、初めて授かった子どもを殺してしまった。
このことが私の心にどれだけのダメージだったか!
罪悪感と後悔と・・・
色々な感情が私に押し寄せてきた。
私はこの時から物を食べることが出来なくなった。
彼との付き合いはそれから4年続いたけれど、
結局は敗れてしまった。
私の初めての恋は失恋に終わった。
悲しいとか辛いとかいう
ありきたりの言葉では言い表せないほどの苦しみだった。
人間不信、男性不信に陥った。
そして、私を守ってくれるのは
たった一人母しか居ないと気付いた。
勿論母には何も話すことはしなかったけれど、
私の心は幼子のように母の懐にもどって行った。
つまり退行現象を起こしたのだ。
自分自身の気持ちの不安と
もうどうでも良いと思う投げやりの気持は
それ以降の私の生き方を完全に変えてしまったと言っても過言ではない。
人生の中で辛く悲しい思い出は色々ある。
ありがたいことに記憶は薄れる。
そして、段々とその苦しみとさようならできるときもある。
でも、その苦しみによって生まれたものの存在は
自分自身の人生にとって大きな意味を持つものになるということもある。
今の私がいつも誰かを好きになっていないと不安になるという
この奇妙な心の現象は
あの時が原点になっているのではないかと思う。
それからの私はまるで人格が変わったかのように
顔の表情もなくただ毎日をぼんやりと過ごすことになった。
消えたかった。
自分自身の体、自分の存在を無にしたかった。
(つづく)
スカーレット
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