| 2006年06月20日(火) |
森 絵都『つきのふね』★★★☆☆ |
 『つきのふね』 森 絵都 講談社 (1998/06)
森絵都さんというと、私には『DIVE!』と『カラフル』の人で、10代の、若くて幼くて青くて純でもどかしくて切なくて甘くて、そして夢がある、そんな世界を描くイメージがあった。
この『つきのふね』はその頃の女の子が主人公。ちと暗め。
人間やるのにくたびれてしまった、主人公「さくら」。 どんどんすさんでいく絶縁中の親友「梨利」。 しつこく梨々を追いかける「勝田くん」。 万引きで捕まったさくらを助けてくれた不思議な男性「智さん」。
智さんちで彼が宇宙船の設計図を作るのを眺めるのが好きなさくら。 親友を裏切った自分が許せないさくら。
智さんの様子がどんどんおかしくなっていく。 梨利とももうあの頃の二人には戻れないのか。 「つきのふね」がすべてを解決してくれる、との勝田くんの賭けは成功するのか。
感想としては、心を病むことに対して、不用意に怯えることはないのだ、というメッセージを受けた。 誰だってその芽はあるし、いつどこでどう病むかもわからないし、そうなっても不思議ではないこと。 救いがない、と悲観しすぎる必要もないこと。
智さんを救う手立てになるかもしれない、ヨーロッパにいる彼の友人が、智さんからコドモの頃にもらった、彼を立ち直らせた手紙。
ひとは、どこかでだれかをささえている。
そしてだれかにささえられている。
そうなんだなぁ。 それに気づけたら、きっと心が弱くなっても生きていけるのかなと思った。
明るさののぞく終わり方に少し、ほっとした。
『つきのふね』
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