闘い

 きのうはお天気がよくて暖かかったので、にょらは点滴中も窓辺を転々として幸せそうにしていた。ここ数日でいちばん元気そうだった。

 日が暮れて少し肌寒くなってからは布団にもぐりこんでいたのでそっとしておいたのだけど、夜9時ごろに点滴をはずし、床におろしてやると、その場でふらふらとひとまわりして力なくすわりこんでしまった。トイレに連れていってもちゃんとすわることができないらしく、そのままうずくまってしまう。でも砂をかくだけの元気はあるらしく、体をささえてやるとりっぱにうんちをした。

 そのあとひざに抱っこしていると、なんだか不思議そうに目を見開いてきょろきょろしている。見えてないような気がした。瞳孔も開きっぱなしのような気がして、あわてて懐中電灯の光を当ててみたら、とりあえず瞳孔は細くなった。反応はあるらしい。それでも見えているかどうか不安だったので、パソ机の椅子にすわってにょらを机に向こう向きに置いてみた。するとちゃんとこっちに向いてひざに乗ってきた。少しほっとした。

 今朝起きてまずにょらをトイレに連れていったが、まだちゃんとすわれない。でもおしっこは出る。この時点では病院に連れていかなきゃと思っていたけど、病院のあく9時まで待っているうちに表情は元気そうになり、ごはんもかつおぶし作戦で食べてくれた。病院行きもストレスになるので、食欲があるなら少し安心と思い、とりあえず病院に電話だけして様子を見ることになった。

 ネットでいろいろ見ていてわかったのだけど、病気がもっと進むと、失明したり壮絶な痙攣発作を起こしたりすることがあるらしい。ほかにもいろんな症状が出てくる。腎不全と闘うネコの飼い主さんたちはみんなものすごい努力をしている。点滴に付き添ってごはんや薬を口に押し込んでいるだけではまだ序の口なのだ。去年、腎不全と診断されたときにあれこれ調べたつもりだったのに、そのときには得られなかった情報が今回たくさん見つかった。病気の深刻さがわかってなかったんだな。もっと早くちゃんと調べていれば、病気の進行をもう少し遅らせることができたかもしれないのに……。

 闘いはこれからだ。これからどういう症状が現れてもあわてず適切な処置ができるように、準備と心構えをしておかなければ。いつかくる「その日」への覚悟はできなくても、闘う覚悟はできるはず。


<追記>

 やっぱり心配だったので、夕方、病院へ連れていった。いつも点滴中は2〜3時間ごとにおしっこするのに、11時過ぎにしたきり5時間以上してなかったし、目もまだおかしい気がしたからだ。

 先生はまず膀胱を刺激してくださった。その場でしてもいいように、診察台にペットシーツを敷いていたけどおしっこは出なかった。さすがに人に見られながらははずかしかったのか。「たぶん帰ったらすぐ出ますよ」といわれた。

 そのあとレーザーをしてから目を診ていただいた。瞳孔の反応が鈍いらしい。眼底出血はないので、見えてはいるでしょうとのことだった。

 帰ってキャリーを開けると、いつもはすぐ出てくるのに、中でうずくまったまま出ようとしない。引っぱり出そうとするといやがって中にもどろうとする。ここが家だとわからないのか? やはり見えないのかも。抱いて2階に連れていき、トイレにおろすとうずくまろうとしたが、手で砂をかく動作をさせてみたら、おしっこした! 先生のいったとおりだ、すごいすごい。午後何度かトイレに連れていってもしなかったのは、そこがトイレだとわからなかったからかも。砂をかく動作でやっとわかったということは、やっぱり見えてないのか? でも朝はちゃんとしたしなあ。そのあとベッドに乗せると、よたよたしながら枕までたどりついて落ち着いた。う〜ん、見えてるのか、それともいつもの感覚で移動できたのか……。これらの症状は腎不全と直接関係ないらしいので、一時的なものであってほしい。

 食欲は、出てきたかと思うとまたすぐになくなる。きょうも強制給餌。強制給餌と投薬のときの抵抗で、右手の人差し指は穴だらけだ。左上の犬歯がななめに欠けているので、ぐさっと入る。傷がふさがる前に同じところをやられてしまったりもする。きょうから中指使用に変えたけど、けっこうむずかしい。この指もいずれ穴だらけにされるので、左手も使えるようになっておくね。でも自分で食べようよ。そうすればお互い楽なのにさ。

 そうそう、先日の交差適合試験の結果、3匹マッチしたそうだ。先生のにゃんこ1匹と、スタッフの人のにゃんこ2匹。嬉しい。これでいつ輸血が必要になっても安心。というか、そうならないでほしい。



2003年10月20日(月)
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