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■ 宣告
「新年を迎えるのが目標です」
点滴と検査を繰り返しているけど、思うように数値は下がらない。もうそろそろ覚悟したほうがいいのかな……。このごろ漠然とそう思うようになっていた。安心できる答えがほしかったのかもしれない。ところが思い切って聞いてみたときの先生の答えがこれだった。あまりに早すぎる……。
高齢だということもあって、にょらがいなくなったときのことを考えることは今まで何度もあった。そしてそのたびに泣いていた。でも心の奥では、それはもっとずっとずっと先のことだと思っていた。
去年の3月に慢性腎不全と診断され、すでに腎臓の75%が機能していないこと、そして治る見込みのない進行性の病気であることをそのときに聞かされていた。ちゃんと理解していたはず。頭では……。だけど元気でいてくれたから、こんな日がくるとは思わなかった。思いたくなかった。
今している自宅での点滴は、先生から提示されたいくつかの治療法からわたしが選んだものだ。もっと効果があると思われる入院や透析よりも、にょらの負担が少ないだろうと判断したから。この判断が正しいかどうかなんてわからない。だけどにょらに辛い思いをさせるのはいやだ。
これからわたしに何ができるだろう。少しでも長く一緒にいたいから、できることは何でもしたい。先生と相談しながら、にょらにとっていちばんいいと思える方法でやっていきたい。
ショックだったけど、余命を聞いてよかったと思う。毎日めそめそしてしまうけど、覚悟なんてできっこないけど、残された時間をもっと大切にできるから。
2003年10月16日(木)
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