襲撃

 にょらの不可解な行動のひとつに《深夜超高速階段往復及寝台襲撃》という恐ろしい技がある。わたしが夜ベッドに入ってウトウトしはじめ、気持ちよく意識が遠のいていく、ちょうどそのころにそれははじまる。にょらが突然ものすごいスピードで階段を駆け下り、またすぐ駆け上ってきてわたしのベッドに勢いよく飛び乗るのだ。なにが恐ろしいかというと、以前ベッドに飛び乗るときに爪でわたしの鼻をかすり、横向きで寝ているわたしの顔のすぐ前に着地したことがあったのだ。突如襲った顔の痛みに驚いて飛び起きたものの、はじめはなにが起こったのかわからなかった。かわいそうに、わたしの眉間の少し下には数日間ひっかき傷がついていた。あと数センチずれていたら目だった。あぶないあぶない。

 以来、これがはじまるとばっちり目がさめるようになった。「あ、はじまった」と思ってすぐに頭まで布団をかぶるのと同時ぐらいに襲撃にあう。わずか数秒で階段を駆け下り駆け上ってベッドに飛び乗るのだ。陸上選手もびっくりの速さである。しかもそれを3〜4回繰り返す。なにを思ってそんなことをするのか、さっぱりわからない。

 いつでもどこでもすぐに深い眠りにおちることができるという特技を持っていてよかった。でも心配なのはにょらのほうだ。あんな猛スピードでやっていたら、そのうち足をふみはずすのではないか。もうトシなんだから、そこのところわきまえてほしいものだ。

 それにしてもこの不可解な行動の謎を、だれか解明してほしい。




2002年06月02日(日)
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