与太郎文庫
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2006年01月26日(木)  老人の海 〜 帆かける人々 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20060126
 
 ◆ ひとりぼっちの二人
 
 最近の、ヤフー・オークションの目玉は、ホリエモンのジェット機と、
オジャマモンの6人乗りプロペラ機、ともに楽天オーナーが落札した。
 ホリエモン号は乱気流で、オジャマモン号は地震で失速したものだ。
 
 ホリエモンは、マスコミから逃れ、小型ヨットで日本を脱出した。
 《コロンブス航海記》《ガリヴァー航海記》《ロビンソン漂流記》の
三冊以外に、パソコンやケータイ、キャッシュカードなど持たずに。
 
 ひとりぼっちで、三ヶ月のちに、小さな島にたどりついた。
 郵便局の廃屋があったが、過疎のため人影がなかった。(*1)
 小柄な老人があらわれ、とれたての小魚をご馳走してくれた。
 
 その島の名も村の名も、ハーメルンだという。
 むかしから島の者は、みんなハーメルンと名乗っていたそうだ。
 したがって、老人の名もハーメルンにちがいない。(*3)
 
 つぎに老人は、妙な楽器を弾きながら、妙な替歌まで歌ってくれた。
♪「海の底で歌ってる妙な魚がいる。その声を聞くと、妙な気分になる」
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20031118 Dehmel,Richard《海の鐘》(*2)
 
 ホリエモンが、暇乞いすると、老人はこう答えた。
「明日の朝から海が荒れる。あさっての朝に発つがいい」
 その夜、ホリエモンはぐっすりと眠った。
 
 翌日になってホリエモンが、暇乞いすると、老人はこう答えた。
「明日の朝から海が荒れる。あさっての朝に発つがいい」
 その夜またしても、ホリエモンはぐっすりと眠ってしまった。(*4)
 
 ホリエモンが、退屈しはじめたので、老人は昔話をきりだした。
「わしは、これでも若いころ、ちょいとした有名人だったのさ」
 ホリエモンは、知るかぎりの有名人を思いうかべた。
 
 そして、しばらくためらってから、老人にたずねた。
「もしかして、あなたは?」「そうだ、わしもホリエもんなのだ」
 ハーメルンの漁夫は、かつて世を捨てた冒険家だったのだ。(*5)
 
 二人の有名人は、たがいに親しみをこめて抱きあい、乾杯した。
 そして、しばし二人で妙な替歌を合唱した。
♪「海の底で歌ってる妙な魚がいる。その声を聞くと、妙な気分になる」
 
 ◆ 妙な男たち
 
 ある日、ホリエモンが海の方を指して叫んだ。「誰か来るぞーっ」
「男か女かーっ?」「女らしいぞーっ」「年はいくつかーっ?」「波の
下で見えないーっ」「婆ぁかーっ?」「かもねーっ」「放っとけーっ」
 
 島に流れついたのは、落ちぶれたオジャマモンだった。
 二人のホリエモンに迎えられ、三人で妙な替歌を合唱した。
♪「海の底で歌ってる妙な魚がいる。その声を聞くと、妙な気分になる」
 
 このあと、楽天とソフトバンクのオーナー、ヤフーやグーグルの共同
開発者、くたびれたビル・ゲイツまで、ハーメルン島にやって来た。
 奇妙なことに、だれひとりパソコンを持ちこんで来なかった。
 
 こうして、ハーメルン島に妙な男たちが増えはじめた。(*5)
 オジャマモンが「これからは、この島をクルーゾー島と呼びませんか」
と提案したが、誰にも相手にされなかった。
 
 たがいに用のあるときは、メールのかわりに手紙を書くことにした。
 みんな珍しがって、毎日ポストをのぞくようになった。
 廃屋だった郵便局を再建し、ミキタニが郵便局長に就任した。
 
 彼らが、パソコンなしにぐっすり眠るのは何年ぶりだろうか。
 かくも快適な眠りが得られることを、ようやく気づいたのである。
 ついに、彼らの消息を知るものは誰もいなくなった。
 
 つぎの新入りは、ハーヴァード大学出の評論家ロビンソンと名乗った。
 病院の窓から釣糸を垂れている白髪の老人に声をかけた。
「爺さん、釣れるかい?」(つぎのオチは古典的傑作)
 
「お前はバカだな、こんなところで釣れるわけがないじゃないか!」
 ロビンソンも負けずにやりかえした。
「爺さんは、精神病院の窓に腰かけてるんだぜ。誰がみても患者だろ」
 
「ますますバカだな、ここには患者が居ないが、おれは院長なんだ」
「これは失礼。この島では誰も働かないんですか?」
「そうさな、年をとっているが、漁夫のサンチャゴが働いてるよ」
 
── キューバの老漁夫サンチャゴは、84日もの不漁が続いていた。
 一緒に漁に出たがるマノーリン少年を、両親は許さなかった。
 ひとり小舟で出た老人の、残りわずかな餌に巨大なカジキ・マグロが
かかった。3日3晩に渡る死闘の末、遂にサンチャゴは ...
〜 ヘミングウェイ《老人と海》あらすじ 〜
── Hemingway,Ernest《The Old Man and The Sea 19520901 LIFE》
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曲名:《オールマン・リバー》Ol' Man River(ミシシッピー河の別称)
歌い出し歌詞:Ol' man river, dat ol' man river
歌い出しメロディー:"SSL^D,LSSL^D"
作曲:J.Kern 訳詞: 年代:1952 歌手:ポール・ロブソン
── 《ショーボート 1952 America》
 
 ◆ 貧しい億万長者
 
 ロビンソンは、サンチャゴに会ってたずねた。
「爺さんは、いくら稼いでいるかね」
「食って寝て、歌って暮せるくらいかな」(*6)
「もっと稼げる方法を知りたくないかね」
「そんな方法があるのかい?」
「あるともさ、食って寝て歌う時間を、ぜんぶ働くんだ」
「ふーん」
「すると、金が貯まるはずだ」
「貯金なんぞ、何に使うんだ?」
「金さえありゃ、魚を釣らなくても、いつでも買えるんだ」
「なるほど、海が荒れても食うに困らない」
「そうとも、ほかの者が釣ってきた魚を、ぜんぶ買っちまうんだ」
「そんなに食いきれないや」
「食うんじゃない、買いしめてから、缶詰にして売りだすんだ」(*7)
「そんなもの、誰が買うかな?」
「もちろん、釣ってきた奴が買うんだ」
「どうして?」
「たっぷり味つけしてあるからさ。塩や胡椒に唐辛子までぶちこんだら、
その味が忘れられなくなるんだ」
「そんなもんかな」
「島のマークを印刷した缶詰を、テレビで宣伝すれば売れる」
「釣った奴らに?」
「そうとも! はじめは10匹釣れば一缶買えるようにする。やがて、
100匹釣らないと一缶買えないようにする。みんなせっせと働くぜ」
「なんか、悪い気がするな」
「かまうもんか、どうせみんなバカだから、分らないんだ」
「そうすると、もうかるんだな」
「そうともさ。そこで爺さんは、毎朝おそくまで寝て、ほんのしばらく
札束を数えて、昼飯のあとは女房と昼寝して、午後から子供と遊んで、
晩飯を食ったら酒を呑みながら、妙な歌でも歌ってりゃいいんだ」(*8)
「なーんだ、いまやってることと同じじゃないか!」(*9)
 


 Columbus,Christpher  航海 14510825?Italy 15060520 54 /14920803-1013
 Christopher,George  元市長 19071208 Greek 20000914 92 /san Francisco
 堀江 謙一      ヨット 19380908 大阪 /19620512-0812〜太平洋単独航海
 小嶋 進   ヒューザー社長 19530604 宮城 /20051129&20060117国会喚問
 Gates,William Bill MS創業 19551028 America /19951113“Windows 95”発売
 孫 正義  ソフトバンク社長 19570831 佐賀 /19810903創業1994‥‥株式公開
 三木谷 浩史    楽天社長 19650311 兵庫 /199702‥創業200004‥上場
 Yang,Jerry Yahoo! 共同開発 19681106 Taiwan /1997 山崎 まさ子と結婚
 Filo,David Yahoo! 共同開発 1968‥‥ Taiwan /
 堀江 貴文  ライブドア社長 19721029 福岡 /19960422創業19970701設立
 Page,Larry Google 共同開発 19730326 America /ペイジ
 Brin,Sergey Google 共同開発 197308‥ Moscow /ブリン

 
 ◆ 二人のクリストファー
  
 サンフランシスコ市長ジョージ・クリストファーは、堀江謙一を迎え
「コロンブスが強制送還されていたら、今日のアメリカは存在しない」
と云って「名誉市民の鍵」を手渡した。(19620812)
 
 ギリシャ Arcadia で生まれた彼は、2歳のときにサンフランシスコに
移住し、1930年に米国市民になった後、Christopheles から Christopher
に姓を変えている。すなわちコロンブスと同じ、クリストファーである。
 
 1492年、カトリックに改宗したイザベラ女王軍が、イスラム教の宮殿
アルハンブラを落城させた直後、30万人のユダヤ教徒を追放、夏には、
コロンブスが出帆、秋にアメリカ大陸を発見。めくるめく285日。
 
 ギターの名曲《アルハンブラの思い出》は、噴水の水音をトレモロで
伝える。 ── Tarrega, Francisco《Recuerdos de la Alhambra》
 Tarrega,Francisco 18521121 Spain 19091215 57 /
 

 1492‥‥   イザベラ女王がカトリックに改宗、ユリウス暦を採用。
        イスラム最後の砦となった大都グラナダを包囲、陥落。
 14920102 Mon. 52520503 Hebrew アルハンブラ宮殿(城塞)無血開城。
 
 14920330 Fri. 52520701 Hebrew ユダヤ教徒追放令を布告。
 14920406 Fri. 52520708 Hebrew ユダヤ教徒30万人を追放。
*19920406 Mon. 57520703 Hebrew ──《和解式典 19920428 山陽新聞》
 
 1492‥‥   コロンブス、イザベラ女王に謁見。
 14920417 Tue. コロンブス、スペイン王室との協約書締結。
 14920430 Mon. コロンブス、スペイン王室より関連王令発令。
 
 14920512 Sat. コロンブス、提督としてグラナダを出発。
 14920522 Tue. コロンブス、パロス港に到着。
 14920803 Fri. 52521110 Hebrew 08:00 パロス港を出帆
 
 14921012 Fri. 52530121 Hebrew“Columbus Day”新大陸発見。
 14921013 Sat. 航海日誌に“ジパング上陸”と記載(実はバハマ諸島)。
*20021012 Sat. チャベス大統領「10月12日をインディオ抵抗の日」と命名。

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010920 《悪友四重奏》
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050720 《いそやん 〜 最後の野次馬伝 〜》
── 《コロンブス 1492 1992 America》《最後の観客 〜 コロンブス1492 〜》
 
(*0)“ハーメルン”
(*1)《日本書紀》海幸彦
(*2)《海の鐘》
(*3)《コロンブス航海記》
(*4)《ガリヴァー航海記》
(*5)《ロビンソン漂流記》
(*6)“マンジョーレ、カンターレ、アモーレ”
(*7)《魚は歌わない》缶詰漫画
(*8)《最後の晩餐》
(*9)細木ブランドの“高級タマゴ”
 


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