与太郎文庫
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2005年01月15日(土)  続・さらば、テレビ 〜 NHK vs 朝日 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050115
 
 承前 ── わたしも、いつか「さらば、テレビ」を望んでいます。
 NHKの旧友に「テレビは止めない、BBCが写るかぎり」と云って
ましたが、一昨年に彼が退職したので「もういいかい」という心境です。
 
 与太郎の真意は「君こそ、BBCのように世界中で放映される番組を
作るべきだった」というもので、親友ならではの辛口ジョークである。
(もちろん彼にも代表作や受賞作があるのだが、ここでは触れない)
 
 NHKの旧友とは、与太郎の中学後輩であり、高校同期生である。
 与太郎が(母の葬儀中にかかってきた)電話をとると、NHKの新人
研修を終えたばかりの彼が「写真を撮りませんか」と云ったのである。
 
 かくて与太郎は、四年間におよびNHKの契約カメラマンとなった。
 大学でいえば聴講生のようなもので、生涯を通じてのファンである。
(他の友人たちは、金をもらったから、ヨイショすると思うらしい)
 
 余談ながら、高校文芸部での彼は、朝日新聞社を志望していたらしい
が、大学でフランス哲学を学ぶうち、NHKに変更したとみえる。
(新聞社に入っていたら、かの悪筆で、植字工を泣かせたにちがいない)
 
 ◆
 
 昨年来のNHK批判は、海老沢会長の辞任要求組と、受信料の不払い
便乗グループに分れて、だんだん理が通らなくなった。
 あとの連中は、会長が辞めても、すぐに受信料を払うわけではない。
 
 テレビ朝日に出演した安倍晋三の“釈明”は、つぎの一点に尽きる。
「NHK幹部は番組完成後に来たので、圧力をかけることはできない」
 これを誰一人「なるほど、そうだ」と納得しないのはなぜか。
 
 マスコミが、NHK幹部と有力政治家が「口裏を合わせたはずだ」と
云ったり書いたりするので、世間も「そうにちがいない」と受けとった。
 四年前の会見にしろ、日付や場所をいつわることができるのだろうか。
 
 毎日新聞社説は、番組で取りあげた「模擬法廷」の主催団体の代表が、
元朝日新聞記者(松井 やより)だったという。NHKの政治に弱い体質
が問題だなどと書いているが、何を云いたいのか伝わってこない。
 
 朝日新聞(20050112 08:52)は、当時の制作プロデューサーがいうまま
の時系列で報道したが、反響が大きく“涙の内部告発”会見となった。
 はたして翌々日、NHKから抗議文書が送りつけられたのである。
 


20001207-1212 市民団体 VAWW-NET ジャパン《女性国際戦犯法廷》開催。
  1227 NHKの番組制作はじまる。
2001011. NHKに放送中止を(右翼団体などが)求めはじめる。
  0119 NHKの担当部長が修正を指示。
  0124 NHKの番組試写で再修正指示。
  0128 NHKの番組完成(44分)教養番組部長が承認。
  0129 NHKの幹部が、安倍副長官に呼ばれ、議員会館で面会。
  0130 NHK《戦争をどう裁くか シリーズ 2/4回 NHK教育》
  0202 NHKの幹部が、中川議員を訪問して、議員会館で面会。
200412.. NHKの内部告発窓口「コンプライアンス」に通報。
20050112 朝日新聞が「政治介入問題」再報道
  0113 NHKの番組担当デスクが“涙の内部告発”会見。
  0113 安倍晋三《報道ステーション》テレビ朝日生出演。
────────────────────────────────
  0114 NHKが朝日新聞に抗議文書を送る。
  0115 産経新聞が「内部告発騒動」を“空中分解”と総括。

 
 朝日新聞は、NHK幹部の話として「政治家が呼びつけた」と表現し、
政治家は「NHK幹部がやって来た」という。
 当事者には分っているのに、部外者には分別しがたい部分である。
 
 安倍晋三と中川昭一が、二人そろってNHKに押しかけたのではなく、
異例の「局長試写」試写を見て、おなじ感想を述べたわけではない。
(はじめ誤解されていたが、彼らの政治的立場は、ともに相容れない)
 
 テレビ朝日《報道ステーション》の司会は古舘伊知郎、その隣でボソ
ボソしゃべっているコメンテーターは加藤千洋(朝日新聞編集委員)、
ときどき顔ぶれが代るが、生粋のアサヒ直参勅使である。
 
 生粋のアサヒ・ファミリーは、どの事件についても、いつでも誰でも、
かならず同じ意見を述べている。それが彼らの正義と正論だとすれば、
朝日新聞社内には「言論の自由」がないのではないか。
 
 政治家を、マスコミが論評すると「報道」および「世論喚起」となる。
 政治家が、NHKに感想を語ると「介入」または「言論弾圧」となる。
 これだと政治家は、マスコミ界の友人と雑談できないことになる(*1)。
 

♀松井 やよりVAWW−NETジャパン代表(元朝日新聞記者)
 中川 昭一「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表。
 安倍 晋三「同会」事務局長、官房副長官(現自民党幹事長代理)。
 松尾 武  放送総局長(現NHK出版社長)
 野島 直樹 国会対策担当局長(現NHK理事)
 長井 暁  同番組担当デスク(現番組制作局チーフプロデューサー)
────────────────────────────────
 関根 昭義 NHK放送総局長
 三浦 元  NHK広報局長(それぞれの名義で同じ文面の抗議文)
 箱島 信一 朝日新聞社社長
 吉田 信一 朝日新聞編集局長

 
 ◆
 
 TBSも日本テレビも、朝日新聞にならって、アサヒOBの筑紫哲也
から福留功男まで「政治介入と言論弾圧」をうたった。
 翌日のワイドショーでも「一犬虚に吠ゆれば万犬吠える」状態だった。
 
 彼らは1968年の「細谷事件」を忘れているようだ。「ベトナム戦争に
批判的だ」という理由で、京都放送局の細谷与邦プロデューサーは転勤
を命じられ、のちにNHKを去って大学講師になった。
 
 ネット上で検出されない「細谷事件」について、今こそ細谷氏は語る
べきではないか。与太郎はカメラマンとしての仕事をする機会がなかっ
たが(さきの旧友より数年先輩)温厚篤実な風貌が印象的だった。
 
 あのころ、プロデューサー二人を夜の街に案内したことがある。
 細谷氏が「キミは毎晩こんなところで遊んでいるのかい」と云うので
「毎晩じゃありませんよ、週に四日くらいかな」と答えたものだ。
 
 もうひとりのプロデューサーは、酒を呑ませてくれた若いカメラマン
に「どうもごちそうさまでした」と頭を下げた。その数日後、ひとりで
同じ酒場に出かけて「あいつなんか、干してやる」と云ったそうである。
 
 すでに彼らは、ことごとく退職したので遠慮することもなくなった。
 けっして実名は挙げないが、その俗物性について語るべきことがある。
 わが旧友をふくめて、まれにみる超俗性についても語っておきたい。
 
(つづく)
 
(↓)NHK@過去日記
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050108
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20041207
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040921
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040919
 
(↓)当時の関連HP── 《女性国際戦犯法廷》
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/nhk/etv2001.html
http://www.arsvi.com/0m/nhk01wv.htm ── 《NHK番組改変問題》
 
(↓)安倍晋三自民党幹事長代理生出演全文テキスト
http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000431.html
── 《報道ステーション 20050113 テレビ朝日》


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