与太郎文庫
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2003年10月29日(水)  象の自画像 〜 考える象たち 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20031029
 
 「絵を描くゾウ」より「ゾウに描かせた人」の手柄のはずだが、当の
ラミレスという画家は、さすがに気の利いたことを言っている。
「現代美術というものは、もともとバカバカしいんだよ。200年後に
もういちど生れて、ゾウたちが何を描いているか、見てみたいものだ」
 彼の名はテレビで観ただけの、経歴不詳のヨーロッパ人だが、日本の
美術館の記事には「コマール&メラミッドという2人の芸術家」とだけ
紹介されている。
 
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 絵を描くぞうの気持ち
 
 象は悲しいことや痛いことがあると、よく涙を流す動物だ。
 例えば、子象を病気で亡くした母象が、片時も子象のそばから離れず
に何日も飲まず食わずで寄り添い、涙を流し続けたという話がある。
 象も人間のようにさまざまな感情を持っているのだろうか。もしそう
ならば、象が生み出す絵にも、人間が描く絵と同様に魂が込もったもの
になるのではないか。コマール&メラミッドは、象には絵を描く感性、
才能があると見込んで、Elephant Art に取り組んだのである。ところ
が最初からうまく行くはずはなく、実際にタイで絵を描かせようとした
ところ、象は筆を投げてしまったという。そこで、筆をつかむところか
ら教え始めることにした。彼らが立てたトレーニングのスケジュールは
こうだ。
 最初は1週間に1回という短い時間から始める。それを徐々に増やし
ていき、最終的には毎日、午前と午後に1時間ずつ練習する。もちろん、
最終的には一人で絵を描けるところまで導いていく。象に絵を描かせる
のだから、もっと長時間のトレーニングが必要なようにも思えるが、そ
の必要はなかった。
 タイの象は賢く、筆使いの習得に時間がかからなかった。
 Elephant Art Teacher という肩書きを持つメラミッド夫人によれば、
タイの象は自分が使った筆を自分で洗うまでになったと言う。
 中には人間の子供の世話もできる象もいるそうで、動物園で見る象の
イメージしか持たない私たちには全くの驚きである。
 ところで、象が絵を描くのは、無理やりそうさせているからではない
のか、と思う人がいるかもしれない。しかし、象たちは絵を描きたくな
いときは筆をつかもうとせず、後ずさりしてしまうのである。象が鼻で
筆をつかんで絵を描くにはある程度の力と意思がいるわけで、それは人
間が自ら鉛筆を持ち、何かを描こうとしない限り、何も描くことが出来
ないのと同じことなのだ。ただし、全ての象が絵を描けるわけではない
ので、どの象に絵を描く才能があるのかは、象使いが見分けなくてはな
らない。そのためには象使い同志の交流が必要だとメラミッド氏は言う。
「象の適正を見分けることと、トレーニングの方法に関する情報交換の
ためにも、象使いの交流は必要なのです」
 川村記念美術館では、市原ぞうの国の協力を得て、展示会期間中の毎
週末に美術館の敷地内で、象に絵を描かせる企画を行なっている。市原
ぞうの国では、数年前から象に絵を描くことを教えていたこともあり、
今回のElephant Art のプロジェクトを受けて、象の本格的な指導に取
り組み始めたのである。
 この企画に参加している象の名前はテリ−。11歳のオスである。テリ
ーは今年の1月から企画に向けたトレーニングを開始。タイの象と同様、
まずは筆を鼻でつかませることから始まり、象使いが象の鼻先を持って
筆の動かし方を教えた。絵の具の色を選ぶのは象使いの仕事なので、テ
リーは絵を描くことに集中する。
 トレーニングは1週間に1日、1時間程度だが、テリーは若い雄象な
ので人間同様、気分にむらがあるという。やる気のある日とない日があ
るため、気分が乗らない日には無理に練習をさせないそうだ。絵を描く
ための筆や絵の具は、象にとって安全なものなのかと気になる方もいる
だろうが、象の体に害のあるものは一切使用していないという。絵の具
は児童用の水溶性アクリル絵の具で、筆も象が鼻でつかみやすいように
加工してある。
 タイの人々は、動物の中では象が一番利口であると、誇りに思ってい
る。それは象が人間に近い部分をたくさん見せてくれるからなのかもし
れない。展示会を訪ねて象が描いた絵を見れば、彼らがどのような気持
ちで作品を作り上げていったのか、その気持ちに接することができるは
ずだ。それはまた、コマール&メラミッドという2人の芸術家の真髄を
実感することにもつながるだろう。(文)谷口 啓子
REPORT
ALL THE NEWS WITHOUT FEAR OR FAVOR
The Japan Times
KAWAMURA MEMORIAL MUSEUM OF ART SUPPLEMENT Vol. 2
ALL
http://www.japantimes.co.jp/ads/kawamura/pdf/elephant2.pdf

http://www.japantimes.co.jp/ads/kawamura/elephant.htm
 
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── ゴッホやピカソを好きになることは、わるいことではないが、あ
まり絶賛することは控えるべきである。ゴッホは生涯に数百枚も描いた
が、一枚しか売れなかったし、ピカソは売れすぎたのである。
 
 クロウトが、彼らの作品を熱心に研究するのは、なぜかくも売れたか、
その秘密を知りたいがためである。
(彼らの自画像や、ヒン曲がった女の顔を、寝室に飾る人はいないのだ)
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030726
2003年07月26日(土) 解剖学者の脳 →キーワード「浴槽読書録」初出
 
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 ゾウにも「自己認識」の能力と米研究結果、実験で判明 
 20061101 Web posted at: 16:14 JST- CNN/AP/REUTERS
 
 ワシントン――自分自身を他者と区別する能力はヒトやチンパンジー
などの類人猿、イルカが持っていると考えられてきたが、米エモリー大
学(ジョージア州)などが、ゾウも自分を識別できることが判明した、
との共同研究を発表した。米科学アカデミー紀要(電子版)が30日、
同研究を公表した。
 
 実験は2005年、ニューヨーク市のブロンクス動物園で飼育されて
いるメスの成体アジアゾウ3頭を対象に、心理学者のゴードン・ギャラッ
プ博士が1970年に考案したマーク・テスト手法を用いて実施した。
同博士は共同研究の助言者となっている。
 
 同テストは約2.5メートル四方の鏡の前で、目の上に印を付けたゾ
ウたちの行動を観察。3頭のゾウのうち「ハッピー」(34歳)という
1頭が、鏡に映った自分に付けられた印を、繰り返し鼻で触るなどこと
から、自分の姿を認識していると判断した。
 
 他の2頭の「マクシーン」と「パティー」は、2回の実験中、印に触
れることはなかったものの、自分の口の中を調べる様子をみせるなど、
明らかに鏡に映った自分を分かっている素振りを見せた。
 
 他の動物の多くは、鏡に映った自分の姿を他の動物と間違え、ゾウた
ちのような行動は示さないという。
 
 実験に参加した別の研究者は、ゾウが複雑な社会性を持っているのは、
自分を認識する能力があることが原因とも考えられる、と指摘している。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200611010014.html
 
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── 人は、考えこむときにすぐれて見える。ゴリラも、なぜか集団で
虫の動きを(考えぶかげに)見入ることがある。── 《早くセネカ!》
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19960605
 
(20031029-20061102)
 


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