与太郎文庫
DiaryINDEXpastwill


2003年09月20日(土)  白日夢 〜 自民党総裁選 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030920
 
 うつらうつらしていると、テレビが総裁選挙の中継をはじめた。
 総裁選がはじまったから、うつらうつらしはじめたとも云える。
(以下、夢の中での記憶を記す)
 
 来客があり、政治評論家の森田実氏があらわれる。
「これはこれはようこそ、今日は和服ではないんですね」
「あれはネ、いつも着ているわけではないんです。フジのめざましTV
で着てみないかという話になって、なにしろ早朝の生中継だから、自宅
ではやりにくい。それで局の近くにホテルを一室確保していたんです」
「なるほど、いろいろご苦労がおありですなぁ」
 
 総裁選の実況を、高名な政治評論家の解説つきで観るなど、もっけの
さいわいだが、まったく予期しなかったので、なにかと準備不足である。
(かつて、インタビュアーだった頃なら、対談相手の経歴や著書などは、
すくなくとも一週間かけて目を通したものだが、今回は間にあわない)
 
「センセイは、どちらのご出身でしたか」
 この質問は、あいまいに出身地もしくは出身校を訊ねるふりをすると、
相手の取りようによって、郷土に愛着があれば出身県を、学歴自慢なら
出身校を答えるはずだ。初対面の人にさぐりを入れるようで、好ましい
手法ではないが、箇条書きのような質問を連発するよりはマシだろう。
「わたしはネ、あの暗い原作を生みだした土地の出身です」
「なるほど」(はて、誰の小説だったかな?)
「あの暗い原作の舞台で、わたしはネ、育ったんですよ」
「なるほど」(東北か裏日本らしいが、まだ見当もつかない)
 氏は、あきらかに出身地の風土について語ろうとしている。まったく
知らないのは失礼だから、いったん質問を出身校にそらしてみる。
(すぐ元にもどれるように、なるべく、さらりと聞く)
「それでセンセイは、どちらの大学に?」
「わたしはネ、あの暗い作品を生みだした土地から、都会に出たのです」
「なるほど」
 東京六大学のどれかにちがいないが、東大と早稲田にしぼって、こち
らにも心の準備が必要なのだ。つまり、他の大学出身者を語るときには
辛辣に、同じ大学出身者ならば手加減して論評しなければならない。
 
 なぜか夢の中では、水上 勉《五番町夕霧楼》《飢餓海峡》をイメージ
していたが、それぞれ新潟や北海道が舞台であり、森田氏の生地・静岡
とは無関係だった。最近の、他の記憶に影響されたものらしい。
(あとで考えあわせると、前進座俳優・河原崎長一郎氏の訃報があった。
本人ではないが、ちょうど四十年前《五番町夕霧楼 1963 東映》に共演
した直後の佐久間良子に、京都・宮川町のバー・ちぐさで出会ったこと
があり、さまざまの記憶とからまって思いだされたのであろう)
 
 この日の夢には重大な欠陥がある。いまの生活に状況設定されている
にもかかわらず、人名辞典やパソコンが手元にないのである。後の本棚
に手をのばせば《読売人名録》もあるし、パソコンを開けば、ただちに
検索できるのに、夢の中の自分は、過去の記憶だけに頼っているのだ。
 つまり、パソコン以前(十数年前)なのである。
 いまさらパソコンの威力を書くのもどうかと思われるが、いまもなお
パソコンに懐疑的な人々は、どうしても理解できない領域があるようだ。
彼らは六十歳以上の老人にかぎらず、あえて云えばテレビ関係者に多い。
 いまや、クイズ番組の質問を百科事典で調べるような作業は、目的の
キーワードが掲載されているかどうか予測できない。しかし、パソコン
検索なら、世界中のホームページから、瞬時にして選びだすことが可能
になった。それでもなお、彼らは納得しない。
「情報が多すぎて、誤まった情報にふりまわされるのではないか」
 このような不安は、新幹線のダイヤが多すぎて、どれに乗ってよいか
わからない、と迷っている姿にみえる。
 
 ためしに「森田実 政治評論家」だけで検索すると、つぎのとおり。
「約787件中1 - 30件目 ・検索にかかった時間0.34秒」
 自分の意見を「与太郎の政治的見解」と入力して公開してから数日後
に検索すると、そのまま画面に登場して、世界中の人が閲覧できる。
 あるいは、うまく検索できない疑問について質問を公開すれば、数日
を待たず(ときには数時間で)見知らぬ人たちから回答が寄せられる。
その料金は、平均1ドル以下(!)である。
→http://www.hatena.ne.jp/user?userid=28218#
 
 夢には、おのずから原則や限界があって、夢見る本人が知らないこと
について質問しても、相手は具体的に答えない。
(虚言症の人なら、知らないことでも相手が回答するのだろうか)
 おなじ原理で、十数年間ハンドルを握っていないのに、車を運転する
夢を見るとき、その車は、いちばん気にいっていた2種類に限られる。
 
 総裁選が終ったようだ。
 アナウンサーが、至極あたりまえのコメントを延々くりかえすので、
このあたりで気の利いたことを言わないと、評論家のとっておきの意見
を引きだすことができない。
 そこで手をうって「センセイに熱いコーヒーを」と言おうとしたら、
女房の気配がない。気を利かせたつもりで、夕餉の買物に出かけてしま
ったらしい。せっかくの上客だというのに、なんたる間の悪さか。
 
 絶妙のタイミングで茶が点てられ、談話がとだえる頃に銘菓が出て、
日が暮れる前に、すかさず酒が運ばれ、季節の肴とともに客をもてなす。
 かえりがけの客が、満ちたりた笑顔で「ご馳走さま」といってくれ、
「愚妻の手料理で、失礼しました」というようなやりとりが、かつては
与太郎の人生における夢の夢だった。
 われながら不甲斐なくも、現実はわびしい。
 戻ってきた女房は、田舎饅頭とアイスクリームを買ってきたらしい。
「ま、いいか」とつぶやいて、饅頭に手を出す。
 
 目ざめたころには、テレビは相撲番組に変っていた。
 横綱・朝青龍が、勝てば優勝が決まるという一番で、横に変化する。
(なんたることか)相手の千代大海も、昨日の栃東も、大関になる前の
一番では、そろって引いた。肩すかし?だったか、野球ならフォーク・
ボールのようなものらしい。
 
 つぎの番組でも、与太郎は裏切られる。
 めずらしく女房のリクエストで、NHK《神秘の光・オーロラ》を観
はじめた。ところが冒頭に、アナウンサーが「おはようございます」と
云ってから「こんばんわ」と云いなおしたのである。
 どうしてこんな些細なことにこだわるのだろうか、最初から工夫して、
朝晩の区別なく使える「ごきげんよう、みなさん」というような常套句
を開発すべきなのだ。
 というような不満をぶつぶつ云っていると、番組の内容がわからなく
なってしまった。「ま、いいか」と云いながら、食後のブドウをもぐ。


 水上  勉      小説 19190308 福井 /《飢餓海峡/五番町夕霧楼》
 森田  実    政治評論 19321023 静岡 /東京大学工学部
 河原崎 長十郎    俳優 19390111 東京 20030919 64/《五番町夕霧楼》
♀佐久間 良子     女優 19390224 東京      /《五番町夕霧楼》
 三宅  民夫 アナウンサー 19520713 名古屋/早稲田大学→NHK
 千代大海 竜二  相撲大関 19760429 大分 /20000127昇進
 栃東 2 太祐   相撲大関 19761109 東京 /20011128昇進
 朝青龍 明徳  相撲横綱68 19800927 Mongol/20030129昇進

>>
 自由民主党総裁選(得票一覧)

 年月日 ◎=総裁     次点(選出方法)
19560405 ◎鳩山 一郎 394 岸  信介4その他5 公選。国会議員と各県連2人ずつの地方代議員が投票
19561214  岸  信介 223 石橋 湛山151 石井 光次郎137(公選)
決選投票 ◎石橋 湛山 258 岸  信介251  
19570321 ◎岸  信介 471 松村 謙三 2 他2(公選)
19590114 ◎岸  信介 320 松村 謙三166 他5(公選)
19600714  池田 勇人 246 石井 光次郎196 藤山 愛一郎49他7(公選)
決選投票 ◎池田 勇人 302 石井 光次郎194  
19620714 ◎池田 勇人 391 佐藤 栄作 17 他20 (公選。地方代議員1名に)
19640710 ◎池田 勇人 242 佐藤 栄作160 藤山 愛一郎72他1(公選)
19641201 ◎佐藤 栄作(話し合い。池田前総裁が指名、臨時党大会で正式決定)
19661201 ◎佐藤 栄作 289 藤山 愛一郎89 前尾 繁三郎47 灘尾 弘吉11野田 卯一9他5(公選)
19681127 ◎佐藤 栄作 249 三木 武夫107 前尾 繁三郎95他1(公選)
19701029 ◎佐藤 栄作 353 三木 武夫111他3(公選)
19720705  田中 角栄 156 福田 赳夫150 大平 正芳101 三木 武夫69(公選)立候補要件に国会議員10人の推薦。
決選投票 ◎田中 角栄 282 福田 赳夫190  
19741204 ◎三木 武夫(話し合い。「椎名裁定」後、両院議員総会で選出)
19761223 ◎福田 赳夫(話し合い。「挙党協」の推す福田を両院議員総会で選出)
19781126 ◎大平 正芳 748点 福田 赳夫638点 中曽根 康弘93点 河本 敏夫46点 公選(予備選)。推薦20人。福田が本選辞退
19800715 ◎鈴木 善幸(話し合い。両院議員総会で決定)
19801127 ◎鈴木 善幸(候補者1人)
19821124 ◎中曽根 康弘55万9673 河本 敏夫26万5078 安倍 晋太郎8万0443 中川 一郎6万6041 公選(予備選)推薦50人。河本らが本選辞退
19841030 ◎中曽根 康弘(候補者1人)
19860911 ◎中曽根 康弘(党内合意により、任期1年延長を両院議員総会で了承)
19871031 ◎竹下 登 (中曽根前総裁の指名。臨時党大会で正式決定)
19890602 ◎宇野 宗佑(両院議員総会「起立多数」で決定)
19890808 ◎海部 俊樹 279 林 義郎120 石原 慎太郎48 両院議員総会で採決。推薦20人。
19891031 ◎海部 俊樹(候補者1人)
19911027 ◎宮沢 喜一 285 渡辺 美智雄120 三塚 博87(公選)推薦30人。県連の持ち票1〜4に。
19930730 ◎河野 洋平 208 渡辺 美智雄159(公選)推薦20人。県連各1票。
19930930 ◎河野 洋平(候補者1人)
19950922 ◎橋本 龍太郎304 小泉 純一郎87(公選)推薦30人。党員1万票につき1票。
19970911 ◎橋本 龍太郎(候補者1人)
19980724 ◎小渕 恵三 225 梶山 静六102 小泉 純一郎84(公選)推薦20人。
19990922 ◎小渕 恵三 350 加藤 紘一113 山崎 拓51(公選)
20000405 ◎森  喜朗(「5人組」談合。両院議員総会で決定)
20010424 ◎小泉 純一郎298 橋本 龍太郎155 麻生 太郎 31 亀井 静香 0(本選辞退)(公選。地方予備選&両院議員総会投票。県連各3票)
20010810 ◎小泉 純一郎(候補者1人)
20030920 ◎小泉 純一郎194+205=399 藤井 孝男50+15=65 亀井 静香66+73=139 高村 正彦47+7=54(公選。県連各3〜11+議員票)

<<


与太郎 |MAILHomePage

My追加