与太郎文庫
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1980年09月15日(月)  Do! series

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19800915
 
 Do! series

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 合理的な規格と
 力強い表現が
 調和した
 多目的な
 新書体
 Do!
 シリーズ
 
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19800915
── 《Do ! Series 19800915 edited by aedlib》
  
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↑新書体《Do!シリーズ》はコンピューターで作図することができる。
 
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  目次
  
1 表紙/コンピュータによる作図
2 はじめに/現代の邦字
3 石井書体/記号としての文字
4 邦字三筆の年譜(資料�機�
5 邦字の姿/表記体系
6 原字の作図ルール(資料�供�
7 
8 類似書体との比較(資料�掘�
9 多彩な応用機能(資料�検�
10 拡大縮小のトラブル/倍率のトリック
11 指定書体の系譜(資料�后�
12 
 
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 はじめに
 
 この小冊子は、見出および屋外専用文字としてデザインされた新書体
《Do!シリーズ》のルール・ブック第一分冊です。
 文字に関係する人たち──いまやそうでない人のほうが少数かと思わ
れますが──に新書体を紹介し活用していただくだけでなく、予備知識
のとぼしい方にも、日常なにげなく目にふれる文字群(現代邦字)を再
点検されるよう提案しています。
 《Do!シリーズ》は、単に目あたらしい書体として開発されたので
はなく、記号としての文字がたどりつくべき姿を求めています。
 したがって従来の書体デザインになかった色彩・濃淡などの複雑な応
用機能に加えて、標識文字に必要な特殊資材(エッチングや反射シート
など)を想定しています。個々の加工技術については、それぞれ数冊の
テキストが必要ですが、ここではコンピューターにインプットするまで
の設計意図をまとめました。
 
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 現代の邦字
 
 美しい声、好ましい声があるように、そうでない声もあります。
 そして、すべての人々を満足させる美声がないように、美しい文字、
好ましい文字には客観的な基準がない、と考えられています。
 たとえば、浪曲の発声とオペラの発声が異なるのは、唱法のちがいだ
けではなく、基礎となる音階や、訴えるべき情緒感性のちがいが原因で
す。それぞれが理想とする一定の基準はあるのですが、両者を比較して
優劣を論じるわけにはいかないのです。
 現代の日本で、日常用いられている文字は、まことに多種多様で、ま
さに歴史上空前の感があります。日本語を用いない国の人たちは、少な
くとも、その半分以下で読み書きしているのです。
 つぎの表は《和・漢・洋》を起源とする現代邦字の一覧ですが、もっ
とも種類の多いのが漢字です。当用漢字1850字の他に人名用などその総
数は親字だけでも49,964種あります。
 
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 親字 日本と中国で別々に略字化している
 国字 合字・熟字・当字や作字もある
 仮名 カナ・かな・振仮名や二重仮名がある
 数字 和数字 単位数詞による表示が豊富
    漢数字 伍・阡などは国字
    アラビア数字(ローマ字と併用)
 ローマ字 表音機能にすぐれ、最近は中国語の動詞に正式採用された
    /欧米諸国で大文字小文字の統一化が進んでいる
 記号 句読点(ハイフンなどを含む)
    符号 カッコ等のほか!?などもある
    略号 株式会社→(株):KK:Co.,LTD
    化学記号・暗号・音符など特殊
    信号 モールス信号・磁気記号
 図号 万国共通語として、各種分野で開発が進んでいる。
 
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 この百年間に、日本人は史上空前の文字文明を持つ民族となりました。
数だけでなく、種類も多すぎるのです。おまけに、新聞雑誌では、タテ
書きヨコ書きが併用され、前者は左送り、後者は右送り、というふうに
奇妙なルールが雑居しています。
 写真植字機の開発によって、変形レンズが普及し、変形文字が登場し
てからは、誰もが当然のように眺め、判読できるようになってしまいま
した。ひとつの字母を、平体・長体・斜体それぞれに変形させると、実
に600種類に及びます。
 中国では“国を滅ぼすもの”として漢字の追放が唱えられてから、約
90年たちました。
 倉石 武四郎著 岩波新書《漢字の運命》では中国の識者との問答が示
されています。
── わたくしは「漢字は将来どうなりますか」とたずねた。郭さんは
即坐に「永遠に保存される」とこたえられた。わたくしはかさねて「ど
こで保存されますか」とたずねると、郭さんは「博物館で」とこたえら
れた──。
 近年の中国はローマ字を採用して、いわば言語革命を迎えています。
わが国が、漢字の博物館になるとしても、よほど先のことではないかと
思われます。
 現代邦字にとって、漢字の占める位置は、たしかに重要ではあるので
すが、漢字と運命をともにするものではありません。漢字以外の文字も
多すぎるのです。
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── 倉石 武四郎《漢字の運命 19520410-19730710 岩波新書》P189
 
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 立場を変えて考えると、漢字かなまじり文の時代から、漢字・仮名・
英数字・記号・略字が必要に応じて、混然と同居しているのが実状です。
 なぜ、雑然としているか、といえば、書体の不統一が原因です。
 漢字と仮名、ローマ字とアラビア数字(実はインドが起源)のように、
民族や歴史文明の異なる背景で生れたものを、同一の書体でデザインす
ることは、きわめて困難なのです。
 その作業を、たったひとりで試みた最初の人が、写真植字機の発明者
でもある石井茂吉翁なのです。
 
 石井書体
 
 現代の日本で、私たちが目にする文字は、その半数以上が、ひとりの
筆によって描かれています。
 たとえば新聞の場合は、各社それぞれ専用活字があり、専属の文字デ
ザイナーによって管理されますので、石井書体が用いられることはあり
ません。しかし、全紙面の1/2まで許されている広告に関するかぎり、
まさに君臨しています。
 厳密な統計はなさそうですが、写真植字機による文字組みは、約20年
間にあらゆる印刷物に進出し、とりわけ石井明朝のもつ独特の優美な曲
線が与えた影響は、すべての活字とすべての書体におよんでいます。
 試みに、手もとの印刷物、辞書、さらにはテレビ画面など、どれをと
りあげても、同じことが証明されます。
 石井書体の意義は、写植というメカニズムとともに生れ、活版からオ
フセット印刷への移行期に、まるで申し子のような成長をとげたことに
あります。
 石井書体の、もうひとつの意義は、起源の異なる各種の文字体系を、
ひとりの美的感性で見事に統一したことでもあります。
 石井茂吉が、書家あるいは活字デザイナー出身でなく、戦前のエリー
トとして帝国大学卒業のエンジニアであったことからも、ある特徴が読
みとれます。すなわち、漢籍に対する日本人としての造詣を備えたのち
に、欧米の科学技術を学んだ点です。
 彼の美的感性とは、それぞれの文字の起源に深い理解を示しながら、
あらゆる組合せでも整然と配置されるような、一種の理想主義にもとず
いています。
 せいぜい26文字、百種あまりの文字体系で事たりうる欧米人には考え
られない、全体的な様式観がうかがわれます。
 その背後にあるものは、印刷物、すなわち知識の根源となるべき書物
への信仰でした。彼にとって、もっとも価値あるべきもの……書物=印
刷=文字への傾倒が生みだした成果とも思われます。
 
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 記号としての文字
 
 次頁に掲げた《現代邦字三筆》では、写植のメカニズムによって登場
した三人のタイポグラファーの経歴を、年表にしてあります。
 興味あることは、写植の最盛期にスターとなった中村氏が、中学卒業
後に看板とテレビの世界から文字に取りくんだことです。
 もうひとりの桑山氏は、当時はなやかな道が開けたグラフィック・デ
ザイナーの立場で日本字への提案を出発点にしています。
 ナールやゴナ、タイポスといった書体は、すでに書籍ばなれした発想
によるものです。
 ナール書体は、すべての文字を等間隔に置くためのもので、もともと
は手描きしやすいように工夫したのが動機です。タイポスでは、従来の
書体が、一種のアカデミニズムに支配されていることへの疑問を表明し
ています。広告デザインのための文字を提案しているのです。
 石井書体は、たしかに手描きの現場でも、広告表現においても、いま
なお主役ですが、アイ・キャッチャー(目を引く記号)としての需要を
満たすには、あまりにポピュラーな標準文字となってしまったのです。
 広告デザインにおける文字は、読むための文字である以上に、視覚的
な要素が必要です。視覚に訴えるためには、ある種の意外性や、流行性
を帯びていなければなりません。
 一方では、大量生産できるようなルールのもとに描かれ、限られた対
象と用途に向かいます。他方では、かつてのモールス信号のように、特
殊な媒体を通じるための、記号化された文字表現が、たとえばコンピュ
ーター文字のような形で再開発されつつあります。
 つまり、印刷媒体にとらわれない文字が、今後ますます登場し、印刷
用の文字にも影響を与えることになるでしょう。
 《Do ! Series》も、こうした展望と自負のもとに開発された新書体
の、ささやかな例のひとつなのです。            (亜)
 
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 邦字三筆の年譜(資料�機�
 


        石井茂吉←東京に生る 明治20年                 1887
                     33                  1900
        森沢信夫→大阪に生る 明治34年                  01
                     35                   02
                     36                   03
                     37                   04
                     38                   05
                     39                   06
                   明治40年                  07
                     41                   08
                     42                   09
                     43                  1910
                     44                   11
 東京帝大機械工学科卒/神戸製鋼入社 大正元年                  12
                      2                   13
                      3                   14
                      4                   15
                      5                   16
                      6                   17
                      7                   18
                      8                   19
                      9                  1920
                   大正10年                  21
     神戸製鋼退社/星製薬入社: 大正12年                  22
    森沢信夫と知る/十ヶ月後退社   12                   23
森沢信夫と共同で《写真装置》特許出願 大正13年                  24
       写真植字機第1号機完成 大正14年                  25
  写真植字研究所設立/石井裕子生る 昭和元年                  26
                      2                   27
                      3                   28
                      4                   29
         石井細明朝体に着手 昭和 5年                 1930
                      6                   31
                      7                   32
        森沢信夫、写研を去る 昭和 8年                  33
                      9                   34
                   昭和10年                  35
           変形レンズ開発 昭和11年                  36
                     12                   37
                   昭和13年 桑山弥三郎↓新潟に生る      38
                     14                   39
                     15                  1940
                     16                   41
                     17                   42 中村征宏↓三重に生る
                     18                   43
                     19                   44
                   昭和20年                  45
          モリサワと再提携 昭和21年                  46
                     22                   47
                     23                   48
        《石井細明朝体》完成 昭和24年                  49
                     25                  1950
                     26                   51
   諸橋徹次《大漢和辞典》原字着手 昭和27年                  52
                     28                   53
                     29                   54
        写研・モリサワと袂別 昭和30年                  55
                     31  阿佐ヶ谷美術学園に学ぶ      56
                     32                   57
                     33                   58
      写研・モリサワの特許係争 昭和34年                  59
第8回菊池寛賞《大漢和辞典》大修館刊 昭和35年                 1960 看板屋・放送局・その他に勤務
                     36                   61
   永眠/本文専用機《スピカ》完成 昭和37年 武蔵野美術学校卒業/第12回日宣美 62
                     38    《日本字デザインの提案》入選 63
                     39  各社制定書体を発表        64 名古屋市立中央高校中退
                   昭和40年 ヨーロッパに渡る         65
                     41                    66
                     42                     67
                     43  新書体タイポスにより各賞授賞      68
                     44  グラフィック社《レタリングデザイン》刊 69
                     45  第1回石井賞第3位          1970 第1回石井賞第1位
                     46  グラフィック社《書体デザイン》刊    71
                     47                      72 第2回石井賞第3位
                     48                      73
                     49                      74 第3回石井賞第3位
                   昭和50年                     75
                     51                      76 第4回石井賞第3位
                     52                      77 美術出版社《文字をつくる》刊
                     53                      78
                     54                      79
                     55                     1980


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