与太郎文庫
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1969年07月21日(月)  知的生産の技術 目次

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19690721
 Ex libris Web Library;知的生産の技術(P204)こざね法
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 まえがき
 
…… いっこうにすぐれた技術者ぶりを発揮しない著者が、とうとう本
ができるところまでたどりつくことができたのは、岩波書店編集部のみ
なさん、とくに田村 義也、浅見 いく子、小川 寿夫の諸氏のしんぼう
づよい応援のおかげである。しるして、感謝の意をあらわしたい。
 
    一九六九年 六月
                         梅棹 忠夫(vi)
 
 はじめに ………………………………………………………………………  1
 
>>
…… 学校はおしえすぎる  ある芸ごとの名人の言だということだが。つぎ
のようなことばをきいたことがある。「芸ごとのコツというものは、師匠から
おしえてもらうものではない。ぬすむものだ」というのである。おしえる側よ
りもならう側に、それだけの積極的意欲がなくては、なにごとも上達するもの
ではない、という意味であろう。
 芸ごとと学問とでは、事情のちがうところもあるが、まなぶ側の積極的意欲
が根本だという点では、まったくおなじだと、わたしはかんがえている。うけ
身では学問はできない。学問自分がするものであって、だれかにおしえてもら
うものではない。
 そういうことをかんがえると、いまの学校という制度は、学問や芸ごとをま
なぶには、かならずしも適当な施設とはいいにくい。今日、学校においては、
先生がおしえすぎるのである。親切に、あまりにも親切に、なんでもかでも、
おしえてしまうのである。そこで学生は、おしえてもらうことになれて、みず
からまなぶことをしらない、ということになってしまう。
 もし学校において、教師はできるだけおしえまいとし、学生はなんとかして
教師から知恵をうばいとってやろうとつとめる、そういうきびしい対立と抗争
関係が成立するならば、学校というものの教育的効果は、いまの何層倍かにも
のぼるのではないかと、わたしは想像している。
<<
 
学校はおしえすぎる/やりかたはおしえない/技術の不足と研究能カノ技術ぎ
らい/知的生産とは/情報産業の時代/生活の技術として/現代人の実践的素
養/物質的条件の変化/個人の知的武装/この本のねがい
 
1 発見の手帳 ………………………………………………………………… 21
 
ダ・ヴィンチの手帳/わかき「天才」たち/発見の手帳/文章でかく/有効な
素材蓄積法/発見をとらえる/手帳の構造/一ぺージ一項目/索引をづくる
 
2 ノートからカードヘ ……………………………………………………… 33
 
直輸入の伝統/天皇のノート/ノートの進化/ノートからカードヘ/野帳/野
外調査法とカード/現地でカードをつくる/共同研究/京大型カード
 
3 カードとそのつかいかた ………………………………………………… 49
 
カードのおおきさ/紙質と印刷/もってあるく/わすれるためにかく/一枚一
項目/分類が目的ではない/歴史の現在化/有限への恐怖/カードへの批判
 
4 きりぬきと規格化 ………………………………………………………… 65
 
はじめてのきりぬき/スクラップ・ブックノ台紙にはる/しねげ棚からオープ
ン・ファイルヘ/質料を規格itする/先輩のおしえ/むつかしい写真盛理/市
販品と規格it/規格品ぎらい
 
5 整理と専務 ………………………………………………………………… 79
 
本居宣長の話/整理と整頓/おき場所の体系化/整理法の模索史/パーキンス
先生のこと/垂直式ファイリング/分類項目をどうするか/キャビネット・フ
ァィル/家庭の事務革命/空間の配置をきめる/専務近代化と機械化/秩序と
しずけさ
 
6 読書 ………………………………………………………………………… 97
 
よむ技術/よむこととたべること/本ずきのよみべた/「よんだ」と「みた」/
確認記録と読書カード/読書の履歴書/一気によめ/傍線をひく/読書ノート
/本は二どよめ/本it二重によな/創造的読書/引用について
 
7 ペンからタイプライターへ ……………………………………………… 119
 
日本語を「かく」/筆墨評論/鉛筆から万年筆へ/かき文字の美学と倫理学/
タイプライターのつかいはじめ/手がきをはなれて/ローマ字論の伝統/こと
ばえらびとわかちがき/文字革命のこころみ/きえた新字論/ローマ字からカ
ナモジヘ/カナモジ論の系譜/カナモジ・タイプライター/カナモジへの抵抗
/ひらかなだけでかく/ひらかなタイプライター/改良すべき問題点
 
8 手紙 ………………………………………………………………………… 145
 
情報交換の技術/手綱形式の収れんと放散/形式の崩壊/手綱ぎらい/形式再
建のために/あたらしい技法の開発/タイプラべターがきの手綱/まちがいな
くきれいに/手紙のコピーノ住所録は成長する/アドレス・カード
 
>>
           1969ねん 6がつ 25にち
 たるみ みのる さま  
 
はいけい。
 おひつこしのおしらせ いただきました。
 
あたらしいおすまりができておめでとうございます。
つうきんがほんヒうにらくになつたでしょう。
わた」もながくおおさかづとめをしていました
ので、よく わかります。
 そのうちに に いちどおたずねしたいと 
おもっております。
  いずれ また。
 
             うめさお ただお 
 う/ふ
 
…… 手紙の用事というものは、分類してみると、そうやたらに種類のあるも
のではない。あるいは、おなじような用件がなんどでもめぐってくる。いちい
ちそのつど、真情吐露の名文をかいていたのではたまらぬから、型をきめるの
である。わたしは、自分用の文例カードを、いくつか用意している。これも、
例の京大型カードである。タイプラィターでうって、みだしをつけ、用件別に
整理してある。文章は、よくねってあるから、相手に失礼にあたるようなこと
はない。
 もう一歩すすめると、パラグラフ・システムになる。手紙の文章を、いくつ
かのパラグラフにばらして、それぞれについての模範的文例をカードにして用
意しておくのである。必要あるときには、はじめのあいさつはコード3、用件
のきりだしはコード8、用件の中心的部分はコード32、しめくくりはコード57、
というふうに、パラグラフをくっつけると、完全な文章ができあがる、という
しかけである。手紙技術の開発と洗練がもっとすすんでいたら、当然そういう
パラグラフ集が発売されていいのだが、いまのところ自分用のをつくるほかは
ないようだ。
 わたし自身は、手紙の技術については、かなり急進的な方式を採用している。
 タイプライターがきの手紙  それは、まえの章にかいた、ひらかなタイプ
ライターをつかうという方法である。じつは、すでにのべたように、「手紙を
かく」ということがきっかけになって、とうとう、ひらかなタイプラィターま
ですすんでしまったのであった。
 タイプラべターがきの手紙では、もちろん、紙はタイプライター用紙、書式
はヨコがき、国際方式ということになる。つまり、左上にあて名、右上に年月
日、それから本文がきて、右下に署名、ということになる。文章は、いまいっ
たとおり、文例とパラグラフのカードをもちいる。できあがりは、なかなかき
れいで、いきなものだと、自分ではおもっている。
 タイプラべターというと、だれもが、はやくかけるかときく。もちろん手で
かくよりはるかにはやいが、はやさよりもだいじなことが、いくつもある。ひ
とつは、うつくしいということ。もうひとつは、コピーがとれるということで
ある。
 まちがいなくきれいに さきにいったとおり、わたしがタイプライターがき
の手紙にたどりついた道すじは、むしろ能率よりは、美的アプローチからであ
った。わたしは、手紙にとって、うつくしさということは、きわめてたいせつ
だとおもっている。原稿みたいに、線をひいて訂正してあるような手紙は、な
んとしても、だす気になれない(P154-155)。
<<
 
9 日記と記録 ………………………………………………………………… 161
 
自分という他人との文通/魂の記録と経験の記録。自分のための業務報告/バ
ラ紙にかく日記/日記をかんがえなおす/日記と記録のあいだ/記憶せずに記
録する/メモるしつげ/野帳の日常化/カードにかく日記/個人文書館
 
10 原稿 ………………………………………………………………………… 177
 
他人のためにかく/訓練の欠如/印刷工事の設計図/出版・印刷関係者の責
任/ルールは確立しているか/原稿は原稿用紙にかく/原稿用紙/原稿から印
刷へ/わかちがきと原稿/印刷l技術をかえる/清書はいらない/かならずコビ
ーする
 
11 文章 ………………………………………………………………………… 197
 
失文症/行動家の文章ぎらい/才能より訓練/かんがえをまとめる/こざね法
/ばらばらの貸料をつなげる/発想の体系的技術/みじかくわかりやすく/用
字・用語の常識/日本語は非論理的か/文章技術の両極/国語教育の問題
 
  おわりに …………………………………………………………………… 215
 
技術の体系化をめざして/情報時代のあたらしい教育

 

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 続・わたしの知的生産の技術
 
(20181109)
 
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