与太郎文庫
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| 1967年10月31日(火) |
NEO BAROQUE 〜 Edited by Awa Library 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19671031 もくじ 発足に当って 日常生活と音楽 合奏のかたち 合奏のたのしみ 合奏シリーズ・A ネオ・バロック協会について 例会のおしらせ 発足に寄せて 合奏のすすめ 入会申込書 ──────────────────────────────── ネオ・バロック協会の発足に当って アマチュア・グループによるクラシック音楽の隆盛──これが今後わ が国の音楽界の発展を内から支え、大きく伸ばしてゆくエネルギー源で あり、またネオ・バロック協会設立の目的とするところです。 協会の活動を通じて、少しでも音楽ファンの要望を満たすことができ れば十字屋楽器店といたしましてこの上ない幸甚と存じます。皆様方の 御賛同を得て、ひとりでも多くの方々の御参加をお待ちします。 ネオ・バロック協会 発起人 株式会社・十字屋楽器店・営業部長 田中 義雄 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日常生活と音楽 あなたは、作曲家ですか…………………………いいえ あなたは、演奏家ですか…………………………いいえ あなたは、音楽愛好家ですか………………………はい では、あなたは作曲家しますか…………………いいえ では、唄ったり演奏できますか………………………… なぜ音楽愛好家が、作曲も演奏もできないのでしょうか。 彼はしばしばコンサートに出かけるし、その帰途や、お酒を飲んだと きには、大声で唄ったりもするのです。彼の妹はピアノを習っています。 もう3年にもなるのに彼のだいすきな《熱情》も、《ノクターン》も弾 けないところをみると、これは大変にむづかしいもので、むかし本でよ んだヨーロッパの家庭のように、妹がピアノを弟がバイオリンを、夕食 のあとで合奏する情景など、いつのことかと、あきらめているこのごろ です。 となりの学生が、さいきんギターを買ったとみえて、夜になると、な んとなく弾いています。うまく弾けないとみえて、いつも最後に《ああ あ》とためいきが聞えます。もし、となりの学生が妹に恋をしたら、こ の窓の下まで来て、《セレナーデ》を弾くだろうか、でも妹だって、そ れにこたえて《夜想曲》も弾けないではないか、などと、余計なしんぱ いをして、やがて、あくびをしてねむります。…………………………… …………………… 合奏のたのしみ バッハの《無伴奏チェロ組曲》第5番は、A弦を一度下げて演奏する ように書かれていますが、最近では奏法の進歩によって、その必要がな くなり、かえって高音部にかがやきが増した、という例があります。ア マチュアについていえば、《左手のためのコンチェルト》を両手で弾い ても、《トランペット・コンチェルト》をサキソフォンで吹いても、オ ーボエをフルートで代えてでも、合奏のたのしみを、追及すべきではあ りませんか。 あるアマチュアのグループで、モーツアルトの《クラリネット・クイ ンテット》をやることになりました。彼らのもっているクラリネットは、 いわゆる《B管》です。ところで、《A管》のために書かれたこの曲を、 どうして演奏するかについて、みんなで相談しました。 ●《A管》を買う…………これには全員が反対しました。 ●クラリネットの楽譜を半音下げて書き移す………これ にはクラリネ ット奏者が、《シャープ7つかい》 ●弦楽器のピッチを四半音上げ、クラリネットを同じく下げる……… バイオリン弾きがふたり首をかしげて、《それはピアノの、どのキーに 合わせるのかね》 ●弦楽器のピッチ四半音上げる………ヴィオラ弾きが、《続けて他の曲 をやるときは、どうしようか》 ●弦楽器の楽譜を半音上げて書き移す………チェロ弾き《こちらは、そ の方が弾きやすいね》このグループは、のちに小さなオーケストラに発 展してからも、たとえば《新世界》の第2楽章を、半音上げるなど、な かなかにユニークなこころみをやってのけたそうです。 実際にアマチュアが、合奏をたのしみ、それを可能にするためのアイ デアは、もっといろいろある筈です。 合奏のかたち 古い楽譜をみると、コンチェルトを《競争曲》と訳しています。協奏 曲とはちがったおもむきで、いかにも、ソリストとオーケストラが、火 花を散らしている感があります。モーツアルト、ハイドンを経てベート ーヴェンの時代に開花した、古典派のひとつのかたち、といえます。 バロック時代のコンチェルトには、ソリストの独立性よりも、いわば 装飾性がみられます。ふたつの合奏体の協奏、つまりコンチェルト・グ ロッソが、もっともバロック風の性格をもっているようです。これに続 く古典派の時代、かのフリードリヒ大王が、フルートで華やかなカデン ツァを吹き了えるのを、楽員たちみんなで待っている、という絵があり ます。ソリストの独立性あるいはスター・プレイヤーの草分け、という べきでしょうか。 バロック音楽の合奏のかたち、を考えてみると、当時オーケストラと いっても、楽器編成が一定でなく、器楽そのものが、ようやく教会から 解放され、オペラからもひとりだちをした時代です。舞台の中心は、宮 廷に移り小規模なかたちの中で《線的ポリフォニー》が追求されその結 果、あのように図式的なスコアが完成しました。 個々の楽器が、ひとしく、やすまず、もっとも簡潔な発展をとげるべ く、この時代の作曲家たちは、くふうをこらしました。楽器さまざまの 特色を活かすことよりも楽器と楽器の対話、ないしは結びつきを重視し たゆえんです。 バッハが、宮廷に仕えていたとき、ホルンをたしなむふたりの客のた めに《ブランデンブルク・コンチェルト》の第1番をものしたことは、 当時の合奏のかたち、を如実に代表しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 合奏シリーズ・A:J.S.バッハ・��
Fl. Ob. Fg. Tpt.Hn.Timp. Vn. Va. Vc. 演奏時間 ──────────────────────────────── ブランデンブルク・コンチェルト �機。董� ・ 3 1 ・ 2 ・ 3 1 1 22 �供。董� 1 1 1 1 ・ ・ 3 1 1 16 �掘。如� ・ ・ 1 ・ ・ ・ 3 3 3 12 �検。如� 2 ・ 1 ・ ・ ・ 3 1 1 20 �后。帖� 1 ・ ・ ・ ・ ・ 3 1 1 23 �此。�b ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 18 ──────────────────────────────── 管弦楽組曲 �機。叩� ・ 2 1 ・ ・ ・ 2 1 1 22 �供。癲� 1 ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 1 20 �掘。帖� ・ 2 ・ 3 ・ 1 2 1 1 18 �検。帖� ・ 3 1 3 ・ 1 2 1 1 19
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●このシリーズは、アマチュア・グループのために、ネオ・バロック協 会が編んだ、合奏用プログラムです。 ●シリーズ・Aでは、現在みられない楽器を一般に用いられているもの におきかえ、かつ最小限の編成としました。 ●シリーズ・B(次回会報より)では各種の編曲例を紹介の予定です。 独創的なアイデア・実例をお寄せください。 ネオ・バロック協会について ●ネオ・バロック協会は、アマチュア合奏家と音楽愛好家のあつまりで す。 ●毎月の例会では、会員の交歓演奏を中心に、さまざまの研究や試みが 行われます。 ●例会ごとに配布される会報《NEO BAROQUE》は、プログラム であるとともに、アマチュア合奏家のハンドブックとなるように編集さ れます。 ●会員がいつでも合奏できるように、たとえばギターとチェロとピアノ で、バッハを演奏したいときには、その技術と人数に合せた編曲を、練 習場所がないときは適当な処を、そして個々のレッスンはもとより、合 奏指導も要求があれば専門家を招くなど、かずかずの便宜をはかります。 ●入会申込書と年会費300円で、会員として登録されます。 ●ネオ・バロック協会は、京都市中京区三条通寺町東入・十字屋楽器店 (電話21−0240)内にあります。 第1回・例会のおしらせ ─────────────────── 昭和42年11月12日(日)・午後6時 十字屋・ミュージック・サロン 出演者募集中・入場無料 第2回以後の例会は毎週第2日曜日・午後6時から行われる予定です。 ──────────────────── 入会申込書 ネオ・バロック協会・御中 おところ おなまえ (ふりがな) 昭和 年 月 日生(男・女) でんわ おしごと 連絡先 ●以前、個人指導を授けた先生のおなまえ(そのときの楽器と年数・以下同) ●現在、個人指導を授けている先生のおなまえ ●現在おもちの楽器 ●以前、参加された合奏団体 ●現在、参加されている合奏団体 昭和 年 月 日 登録番号 このたびネオ・バロック協会の趣旨に賛同し入会を申し込みます。 ──────────────────────────────── 御意見・御希望 ●この票は、あなたの会員登録原票として永く保存されます。くわしく 御記入の上、年会費300円をそえて、ネオ・バロック協会宛、おもち ください。折返し会員証を発送いたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発足に寄せて 岩淵 竜太郎 このたび、十字屋さんのお骨折りで、ネオ・バロック協会が誕生する ことになりました。心からお祝いの言葉を述べさせて頂きたちと存じま す。 音楽を聴いて楽しみますことは、極めて大きな人生の喜びの一つであ りますが、しかし若し我々が演奏に参加するならば、その楽しみは倍加 するものであります。 とは申しましても、専門家ではなく、音楽ファンの方々が、一人だけ で楽器を弾いて楽しめる様になるのは並大抵の事ではありますまい。や はりアンサンブルの中に加わっておやりになるのが、最も近道でありま す。 この集まりは、バロック音楽が中心となっております。バロック音楽 は現代人の心の糧になる様な珠玉の名曲の宝庫であります。未だ楽器を 手にされてから日の浅い方々にも是非加わって頂いて、このネオ・バロ ック協会が素晴らしく楽しい音楽愛好家の集いとして、御発展あらん事 を、心からお祈りいたします。 合奏のすすめ 小石 忠男 妙ないい方だが、私たちはふつう音楽をきくとき、ハーモニーを外側 からきいている。しかし、ハーモニーの内側へ一度でも入っていった人 なら、音楽の別の魅力を発見したにちがいない。その美しさは、ふつう にいう音楽鑑賞ではとても味わえないものである。とくに器楽合奏に一 度でも加わった人は、生涯その魅力にとりつかれる。これこそ音楽の醍 醐味である。ところが合奏は、複数の演奏者がいないと成立しない。そ してなにかの楽器をやっている人でも、なかなか適当な相手が見つから ないのである。 ネオ・バロック協会は、こうした演奏家を互いに紹介し楽譜や練習の 場所も用意してくれる。楽器も珍らしいものまで貸し出すそうである。 京響や音大の人たちが指導や公開レッスンを行う予定である。これで多 くの音楽愛好家が合奏音楽の楽しさを味わうことができる。私は、日本 で最初といってもよいネオ・バロック協会の企画が、音楽の発展にはか り知れないほど貢献することを信じて疑わない。
岩淵 龍太郎 ヴァイオリン 19280121 東京 /?=岩渕 竜太郎 小石 忠男 音楽評論 19291026 兵庫 / 田中 義雄 十字屋楽器店 19400709 兵庫 /営業部長
「合奏シリーズ・A」は、《室内楽曲便覧》による。(奥付・PR) Photo《廃遂道のチェロ 196705ca》with Watanabe & Fujii → 《Arpeggio No.10 19700301》表紙に転用 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ “弦楽器の楽譜を半音上げて書き移す”ことは、実際の経験にもとづい ているが、《新世界》の第2楽章を半音“下げた”のは、ピアノ・スコ アへの写譜をこころみたにすぎない。当時この思いつきは、佐伯和男君 を通じてOBの京都市交響楽団クラリネット奏者・村瀬二郎氏に伝わっ て「濁った音色になる」と非難された。 草稿では“ベートーベンの時代に開花した、ロマン派”としたところ、 出谷啓氏との論争の結果、“古典派”に訂正した。その《ヴァイオリン 協奏曲》第2楽章以降をもって“ロマン派”と呼ぶべきであると主張し たが、彼を説得することはできなかった。そばで聴いていた田中義雄君 は、ひどく嬉しそうだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ── 《ネオ・バロック運動について 196710‥ 十字屋楽器店》 表紙・ロゴ・カット by Morita, Makoto(森田 有)NHKテロッパー “Edited by Awa Library in 1967”初出 ──────────────────────────────── http://d.hatena.ne.jp/adlib/19671031 ── 《ネオ・バロック運動について 196710‥ Jujiya》 http://d.hatena.ne.jp/adlib/19331108 バロックの女 〜 歪んだ真珠 〜 (20070222)
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