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『くらのかみ』 講談社 小野不由美 - 2003年10月23日(木)

小野さんの本は今回初めて読みましたが、ちょっと初回に読む本としては間違えたかなあと思います(苦笑)
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本作はご存知の方も多いと思うが、講談社の話題レーベル“ミステリーランド”の第1回目の配本にて出された話題作である。
なかなかおとなも子供も楽しめるキャッチフレーズ通りの作品なんだけど、普段単行本や文庫本に読みなれてる人としたら本を開けたら違和感があるかもしれない。
(全13行でルビが漢字にふってます)
逆にファンの方にはまさしく“愛蔵本”となる装丁であろう。
珍しいという方もいらっしゃるかもしれないが、その方はきっとお子さんに読ませたいとか自分が子供の頃から本を読み漁っていたという経緯のある方に限定されるかな。

ただ、村上勉さんの挿絵はとっても効果的であってなかなか楽しませてくれました。

内容的には高度ではないが立派なミステリーとなっていてなかなか練られて書かれた作品である。
なんといっても子供が探偵役として頑張っている姿が微笑ましく感じられる点がいい。
いわば、子供にとったら“未知の大人の世界を垣間見るチャンスを与えられた本”で、逆に大人にとったら“忘れつつあるあの頃を懐かしませてくれる本”だと思います。
そう、ちょうど80年代のポップスを聴く感じといったらいいのでしょうか。

個人的には可もなく不可もなくという作品だと思いますが、買って読むには高価すぎるかもしれません(定価2000円)。
大きな期待を持って読まれた人に限って、物足りなさをもたれるかもしれませんが、ラスト付近の大人感と子供感に関する描写は納得させられる部分が大きかったです。

読後感もいいのですが、財産相続問題に関して毒物殺人を企てたりする内容に関しては子供向けの作品としてはいただけないような気もしましたが、ちょっと深く考えすぎかもしれませんね(苦笑)
古くに書かれた作品でしたら問題ないのですが、最近書かれた書下ろし作品でしたら、小学校高学年ぐらいのお子さんには読ませるにはちょっと早いかなあという気も少しはしました。
割り切って読ませる場合は“人と結束することの素晴らしさ”を感じ取って貰えたらと思ったりしております。

評価7点。







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