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『お父さんエラい! 単身赴任二十人の仲間たち』 重松清 講談社 - 2003年10月28日(火)

『隣人』以来のルポ作品となりました。
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副タイトルにもあるように単身赴任にスポットを当てて取材されてます。
シリアスな内容の『隣人』とは全然違った和やかな感じのルポ集となっています。

月刊誌『オブラ』に連載されてたものを単行本化したものだが、本書は是非『オブラ』を手にしない主婦層の方、とりわけ単身赴任や転勤族に縁のない家庭の主婦に是非お読みいただきたい作品と言えそうです。

主婦の方だからこそ噛みしめて読めるのだと確信しています。
普段、当たり前のようにそばにいる相方に対して“忘れかけてた感謝の気持ち”“ないがしろになっていた相手への態度”を再確認するいい機会を与えてくれるでしょう。

重松さん自身、単身赴任と違って転勤族の家庭に育ってるので逆に取材するに当たって非常に興味深かったものであると容易に想像できます。
永遠の命題とも言える“家族のために単身赴任をしない”のか“家族のために単身赴任を選んだ”のか重松さんなりに答えを導いてくれてるような気がします。

北は北海道・稚内から南は南極まで・・・
明るく生き生きと暮らしてる単身赴任者の姿を重松流に描き出しておる本書において、小説における重松さんの厳しい投げかけは皆無と言えるでしょう。
その際たる例として、本書内で自分の事を“シゲマツ”とカタカナ表記されている点をあげたく思う。

ハートウォーミングさを前面に押し出してるところが読者にとって新鮮に感じるのではないだろうか?

本書において単身赴任として取り上げられてる人々誰もが、充実した人生を送ってます。
でも、その充実感は苦労や困難に打ち勝ったからこそ得たものであることは重松さんのルポを読むと読者の誰もが読み取ることが出来ます。
この点が重松さんの小説と変わりない点かもしれませんね。
誰よりもエールを贈ってるのはきっと転勤族の家庭に育った、“ヨミモノ作家”重松さんなのでしょう。

読み終えた率直な感想としては小説よりサラッと読める点につきるでしょう。
重松さんの実際の人柄を垣間見ることが出来た気がしたのは私だけじゃないはずです。

たまにこんな変化球的(チェンジアップ?)作品も楽しめるところが重松さんの大きな持ち味であり魅力であることを再認識しました。

評価8点。


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