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次週の土曜日は、朝から穏やかな秋晴れだった。 四人が遊園地の正門についたのは開園直後だったが、すでにチケット売り場付近は人でごったがえしている。 「な、早く来て良かっただろ?土日は混むからさ」 「はぁ…」 語尾に欠伸をのせて、リョーマは目を軽く擦った。菊丸の指定してきた集合時間が早かったためまだ完全に目が醒めていないのか、さっきから欠伸を繰り返している。そんな後輩の姿を見て、大石が穏やかに笑った。 「相変わらずだな、越前は。まあ、遅刻しなかっただけでもよしとしようか」 「そうだよなー、遅刻してたら駐車場二十周!だったかもなー」 顔を見合わせて笑う大石と菊丸の横には、以前と変わらない仏頂面の手塚が立っている。リョーマはその顔をちらりと見て、再び欠伸をした。朝が早かったのももちろんだが、実際のところ、今日の事を考えていて昨晩はなかなか寝つけなかったのである。大石の言う通り、遅刻しなかっただけでも良かったとリョーマは思う。 (嬉しくて眠れないなんて…子供みたいだな) 自分自身に苦笑しながら、リョーマは菊丸達について入り口を通った。入るとすぐに大きな広場のような場所になっており、規則的に植えられた色とりどりの花が鮮やかな景色を作っている。 「それじゃあ今日は一日楽しくやろー!」 「うぃーす」 「英二、あんまりはしゃいで転ぶなよ」 「転ばないっつの!ところで手塚」 「なんだ」 手塚は入り口で貰った園内の案内図にじっと見入っていたが、菊丸に呼ばれて顔を上げた。 「俺の携帯の番号、前に教えたよね?」 「ああ」 「よーし、そんなら大丈夫だな」 うんうんと大きく頷くと、菊丸はくるりと顔を廻して今度はリョーマの方を見た。 (なんか…嫌な予感が…) 思わず半歩後ろに下がったリョーマに、菊丸は輝くような笑顔で近付く。そしてその小さな肩をポンと両手で掴み、顔を寄せて低い声でそっと耳打ちした。 「後で合流な。適当な時間に俺に電話して」 「は?」 菊丸は顔を離すと、リョーマの肩をバンバンと勢いよく叩いた。 「つーことで手塚のおもりは、おチビにまかせた!」 「ちょ、ちょっと待っ…」 「じゃそういうことで。手塚、おチビとごゆっくり〜!大石ぃ〜、まずはいつものアレ行くぞ、アレ!」 「菊丸先輩っ!!」 大石の襟首を掴んだ菊丸はあっという間に人ごみに紛れ、姿が見えなくなった。手塚は何が起こったのかわからない様子だったが、リョーマは呆然と菊丸達が消えた方向を見て、わなわなと握った手を震わせる。 「やられた…」 「どうしたんだ、菊丸は。あんなに急いで、トイレか?」 「いや…。ここからは別行動ってことらしいッス」 「そうか」 手塚はさして驚いた様子も無く、再び手にした案内図を見た。 「随分広いようだが…合流できるのか」 「携帯があれば大丈夫だろうけど…」 「俺は持って無いぞ、携帯」 「そうなんだ、持って無……って、ええ!?アンタ、さっき持ってるって言ったじゃん!」 手塚は大真面目な顔で、きっぱりと言った。 「持ってるとは言ってない。確かに菊丸の番号は前に聞いたが、今日は家に携帯を忘れてきた」 「それじゃ携帯の意味ないから!っていうか、どーすんの!」 「なんとかなるだろう」 (ふ…不安だ…) 考え様によっては何事にも動じないと言える手塚の態度だが、実は何も考えていないのではないかとリョーマは思い、ため息をつく。リョーマの苦悩を他所に、手塚は案内図のページをめくった。 「お前、来た事あるのか?」 「ないっす。部長も、初めてだよね」 「ああ。こういうのは、どこからまわればいいものなんだろうな」 予想外に楽しそうな手塚の姿を見ているうちに、リョーマの不安も少しずつ晴れていった。せっかく二人きりになったのだから、楽しんだ方がいいに決まっている。リョーマは気を取り直して少し笑うと、手塚を促した。 「どこでもいいんじゃない?好きなところからでさ。とりあえず、中に入ろうよ」 「…」 「部長?どうし…」 返事がないので改めて手塚の顔を見上げると、手塚は一点を凝視して動きを止めている。何事かとリョーマがその視線を追ってゆくと、可愛らしくデフォルメされた動物のきぐるみが、ちょこちょことしたコミカルな動きで楽しそうに歩いて来るのが見えた。 リョーマは、正直この手のキャラクターものには興味がほとんどない。動物は好きだが、擬人化し、二足歩行させて喜ぶ人間の気持ちがよくわからなかった。だから「ふーん」といった程度で再び顔を戻したのだが、手塚は瞬きもせずにまだその姿を追っていた。移動するきぐるみの位置に合わせて、顔が少しずつ動いている。その目は、心なしかきらきらと輝いているようだ。 「あのー、部長?」 きぐるみのまわりには小さな子供や若い女性が群がり、一緒に写真を撮ったり握手をしたりと楽しそうにはしゃいでいる。手塚がきぐるみの一団の方へふらりと歩き出そうとしたため、リョーマは慌ててその両手を掴み、反対方向へ引っ張った。 「部長!そろそろ行きましょう!時間なくなっちゃうから!」 「…そうだな…」 「きぐるみなら、きっと園内にいくらでもいるっすよ!」 「そうか。よし行こう」 それでもまだ後ろ髪を引かれている手塚をなかばひきずるようにして、リョーマは園内へと入った。
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しつこいようですが、リョーマと菊丸はあたしの受け攻めヒエラルキーでいくと、 菊の方が地位が高いので菊リョになります。 もちろん手塚は最下位。きぐるみ以下。
hidali
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