朧月。雨の気配が怖かった。垂れ込める雲を払い除ける嵐を望んだ。 総勢20名以上の月見はそれなりに成功したのだろう。来てくださった方々に心からの感謝を捧げたい。 月の光は己を抱きしめてはくれない。 柔らかな光が見えなくなるまで見つめていた。くらくらする頭で笑いながら月を見ていた。何も無い虚空を見ていた。 己を抱きしめてくれる腕が無い。体温をくれる口唇が無い。