さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年12月17日(水) にゃん氏物語 葵05

光にゃん氏訳 源氏物語 葵05

翌日の加茂祭りの日に左大臣家の人たちは見物に出ない
源氏に御禊の日の車の場所争いを全て詳しく報告した者がいた
御息所を気の毒に思うし 葵夫人を情けないと思う
重々しい貴婦人としての資格を持つ方が 何事にも情愛に欠けて
無愛想な強い性格から 自分自身はそれほど憎いと思ってなかったが
愛情の目で他を見る事を知らない女主人の性格にあわせて
付き添う下々のものが御息所を侮辱したのだろう

見識のある奥ゆかしく上品な貴女である御息所はどんなに嫌な思いを
させられただろう そう気の毒に思い すぐにお見舞いに訪問するが
斎宮がまだ元の邸にいるからと神事の遠慮を口実に気安く会わない
源氏はもっともな事だと思うが自分自身までも恨めしくも思う
今の御息所の気持ちは分かるが どうしてお互いよそよそしくして
素直な心を伝えられないのだろうと嘆息する

祭りの日に源氏は左大臣家に行かずに二条の院にいた
そして祭見物に街に出る気になっていた
西の対に行き 惟光に車の用意を命じてある
女房たちも出かけますか と言い 美しく装う姫君を笑顔で見てる
あなたは どうぞいらっしゃい 私と一緒に見物しましょうね
いつもより美しく見えた髪をかき撫でて
髪先を長い間 切り揃えなかったね 今日はお日柄が良いだろう
源氏はこう言い 陰陽師を呼んでよい時間を調べさせている間
女房たちから先に出発するとよい と言った

源氏は童女たちの 綺麗な装いを見る
少女らしくかわいく切り揃えてある
髪の裾が紋織の表の派手な袴にかかっている様子は目を惹く

女王さん あなたの髪は私が切ろう と源氏は言ったものの
とてもたくさんあるのだね 大人になったらどれほど長くなるだろう
と切るのに困っていた
長い髪の人でも前髪は少し短めなのだが揃いすぎも風情が無い
こんなことを言いながら源氏の仕事は終わり 「千尋」と
髪そぎの祝い言葉を言う 少納言は勿体ないお言葉に感激した

はかりなき千尋の底の海松房の生ひ行く末はわれのみぞ見ん
測りようも無いきわめて長い海底の海藻の房のように
伸びて行く将来は 私だけが見守りましょう

源氏がこう言うと姫君は

千尋ともいかでか知らん定めなく満ち干る潮ののどけからぬに
きわめて深い愛情を誓われてもどうやって分かるだろうか
安定なく満ち干く潮のように 落ち着く事のない貴方ですもの

そう紙に書いていた
慣れた貴女らしくしても初々しく美しい人に源氏は満足に思う


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