さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年12月16日(火) にゃん氏物語 葵04

光にゃん氏訳 源氏物語 葵04

そんなふうに思って涙がこぼれる 同車する女房たちに見られるのも
恥ずかしいが いつもより一層綺麗な源氏の馬上姿を見なかったらと
そう思う心もあったのである
行列に参加の人々は身分相応に美しく着飾って高官は高官らしく
格別なものがあるが 源氏に比べると誰もが圧倒された

大将の臨時の随身は殿上にも勤める近衛の尉がするのは稀であり
特別の行幸などだけにあることであるが
今日は蔵人を兼ねる右近衛の尉が源氏に従う
その他の随身も容姿が良い者ばかり 源氏が世間から大事に扱われて
いるのが分かる この人になびかぬ草木もないほどであった

壷装束などという髪の上から上着をつけた身分の高い女房たちや
尼さんなども群集の中で倒れ掛かるようにしながら見物している
いつもなら世捨て人がどうしてとみっともなく思われるのだが
今日は仕方が無い事だ 源氏を見ようとしているのだから

髪を背中に入れ着物をふくらませた身分の低い下女たちが手を合わせ
額に当てながら源氏を拝み仰ぎ見る
容姿の悪い下男たちも自分の顔を考えずに喜び嬉しそうな顔でいる
源氏の関心も惹かないレベルの地方官の娘も精一杯飾り立てた車で
きどったように見物している
こんないろいろな見物で一条大路は賑わっている
源氏の情人たちは恋人の素晴らしさを認識して 人数にも入らない
自分の価値に反省し嘆き 思いを募らせられた

式部卿の宮は桟敷で見物していた
本当に眩しいほど綺麗になっていく人である あの美には神が心を
惹かれていく気がする 宮は不吉な予感さえ覚えた
宮の朝顔の姫君は数年来忘れずにお手紙をよこし愛を求めてくる
源氏には誠実さを感じている
普通の男でもこんな深い愛情を持っていれば多少のことがあっても
好意を持つ ましてや これほどの美貌なのにと感激する
けれども結婚のためにそれ以上近づき逢う事を遠慮する
宮の若い女房たちは聞き飽きるまで源氏をほめた


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