さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年03月20日(木) にゃん氏物語 紅葉賀08

光にゃん氏訳 源氏物語 紅葉賀08

源氏は友人に見られて残念だと思って宿直所で寝ていた
脅かされた典侍は情けなく思ったが 残していった指貫や帯などを
翌朝に届けさせた

恨みても言ふかひぞなき立ち重ね引きて帰りし波のなごりに
恨んでもそれを言う甲斐も無いです 幾重にも重ねて 寄せて来ては
返していった 貴方たちの波の後では…
悲しんでいます 別れた後に恋の全てがあらわになって
という手紙が添えてあった

面目無く思っているのだろうかと 源氏は昨夜の事を思い出すと
不愉快だが 気をもんで困りきっている女の様子は可哀想に思う事も
あるので返事を書いた

荒だちし波に心は騒がねどよせけん磯をいかが恨みぬ
荒々しく振る舞った頭中将には 心は騒がないけれども その波を
立ち寄せた あなたを どう恨まないでいられようか
とだけ書いてあった

帯は頭中将のものでした 自分のよりは少し色が濃いようである
源氏は昨夜の直衣と合わせて見てみると直衣の袖が無くなっている
とても恥ずかしいことだ 女に夢中で浮気する人になると いつも
こんな馬鹿な目に合うことになるだろう そう源氏は反省した

頭中将の宿直所から
まずこれを付けたほうがいいでしょう
と書き添えて 直衣の袖を包んで届けてよこした
どうやって持って行ったのだろうと源氏は悔しかった
頭中将の帯がこちらになかったら大変だった まだ負けていない
帯と同じ色の紙に包んで

中絶えばかごとや負ふと危ふさに縹の帯はとりてだに見ず
仲が切れたら恨み言を言われると 危なかったが はなだ色の帯は
わたしには関係ありません
と源氏は書いて返した 頭中将から また折り返し

君にかく引き取られぬる帯なればかくて絶えぬる中とかこたん
あなたにこのように引き取られてしまった帯なので
こんなように仲も切れてしまったことにしましょうね
責任逃れはできませんよ と書いてあった


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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