さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年03月07日(金) にゃん氏物語 紅葉賀03

光にゃん氏訳 源氏物語 紅葉賀03

『十三弦の琴は中央の弦の調子を高くすると切れやすいから』
と源氏は言い平調にし試し弾きをして姫君に与えるともうすねて
いないで可愛らしく弾き始めた 小さい体で左手を伸ばして弦を
押さえる手つきが可愛らしい 源氏は笛を吹きながら教えている
頭が賢くて難しい調子も一度で習い覚えた 何をしても貴女らしい
素質が見られ源氏は満足している
保曽呂具世利という変な名前の曲を素晴らしく笛で源氏が吹くのに
合奏する琴の弾き手は小さい人なのに音の合間も上手に弾けて良い
素質がみられる

暗くなり灯りをつけてから絵などを一緒に見ていたが源氏はここへ
来る前に出かける用意を命じてあったので供の侍達は促して御簾の
外から「雨が降りそうです」などと言う それを聞いて紫の君は
いつものように心細くめいっていく 絵を見せてもうつむいている
表情は可憐で 源氏はこぼれかかる美しい髪をなでながら
『私が外に行っている時あなたは寂しくなるのですか』と言うと
女王はうなずいた
『私も一日でもあなたと会わないと苦しい だけどあなたがまだ
少女なので安心している 私が行かないと嫉妬して困らせる人が
いるので今はそちらのほうへ行っている あなたが大人になったら
もう他へは行かない 他の人に恨まれたくないのは 長生きして
あなたを幸せにするためです』
などと丁寧に話すと 女王は恥ずかしくて返事もできないで膝に
寄りかかって寝入ってしまった 源氏は可哀想だと思って
『今夜は出かけないことにする』と侍達に言うと皆さがって
しまって 源氏の夕飯が西の対に運ばれてきた
源氏は女王を起こして『行かないことにした』と言い
一緒に食事をした
姫君はまだうかない様子で食が進まなかった
「それでは おやすみなさい」
外出しないのは嘘ではないかと疑ってこう言った
こんな可憐な人を置いて行くことはどんなに恋しい人が
待っていてもできないことだと源氏は思った


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