さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
目次へ←遡る時の流れ→


2003年01月19日(日) にゃん氏物語 末摘花08

光にゃん氏訳 源氏物語 末摘花08

二条の院へ帰って横になりながら 何でも思い通りにはならないものと
思う 軽々しい身分でなく 一度きりで断るのができないと悩み苦しむ
そんな所に頭中将がきた「随分と朝寝坊ですね わけがありそうだ」
と言われ源氏は起きあがる
『気楽な独り寝ですので いい気で寝坊した 御所からですか』

「退出したところでまだ家に帰っていない 朱雀院の行幸の 楽の役
舞の役の人選が今日あるので 大臣にも伝えようと退出してきた 
帰って またすぐに来ないといけない」頭中将は忙しそうだ
『じゃあいっしょに行きましょう』こう言い源氏はお粥や強飯の朝食を
客人とともに済ませた 源氏の車もあったが二人は一つの車に乗った
眠そうだと中将は言い「私に隠す秘密を多く持っていそうだ」と恨む

その日の御所ではいろいろ決め事が多く 源氏も一日中宮中で暮らした
普通は翌朝早く手紙を送り 夜からの訪問を続けるのが礼儀であった
訪問できなくても せめて手紙だけでもと源氏は思い夕方使いを出せた
雨が振り出すが こんな夜にちょっと行ってみようと思う気も源氏は
昨日の姫君に見出せなかった

あちらでは時間を気にして待っているが源氏はこない 命婦も姫君が
気の毒だ 姫君はただ恥ずかしいだけで 家さ来るはずの手紙が夜に
なっても来ないのが 何とも思わなかった

夕霧の晴るるけしきもまだ見ぬにいぶせさ添ふる宵の雨かな
夕霧が晴れる気配もまだみないのにさらに気を滅入らせる宵の雨だこと
この雲の晴れ間をどんなに私は待ち遠しく思うでしょう
と源氏の手紙にあった 来そうも無い様子に女房たちは悲しんだ
それでも返事だけは書くように勧めるが まだ昨夜から混乱している
姫君は形式通りの返歌も作れない 夜が更けるので侍従が代筆する

晴れぬ夜の月待つ里を思ひやれ同じ心にながめせずとも
雲の晴れ間の見えない夜の月を待っている人を思いやってください
同じ気持ちで眺めているのではないとしても

書くのは自分で書かなければと皆に言われ 紫色の紙で 古くて灰色
がかった物へ 力のある字で書いた 一時代前の書法である
一箇所も乱れず上下をそろえて書いてあった 源氏は失望していた


さくら猫にゃん 今日のはどう?

My追加