さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月20日(月) にゃん氏物語 末摘花09

光にゃん氏訳 源氏物語 末摘花09

自分が行かないので女はどんなに悩み苦しんでいるだろう そんな姿を
思い浮かべる源氏も悩んでいる でももうどうしようもない いつまでも
捨てずに愛してやろうと源氏は考える それを知らない常陸の宮家の
人達は気が沈み悲しんでいた

夜になり左大臣は退出するので一緒に家に帰る 行幸の日が楽しみで
若い公達は集まってはその話になる 舞曲の勉強が日課となっていて
どこからも楽器の音がする 左大臣の息子たちも いつもの楽器と違い
大ひちりき 尺八など大きい音や太い音をする物を混ぜて大掛かりに
合奏の稽古をしていた 太鼓まで香蘭のそばにころがしてきて そんな
役をしない公達が自分で叩いている こんな感じで源氏も毎日暇が無い
恋しく思う所へは暇を作って行けたが 常陸の宮家へ行く時間が無く
九月が終わった

行幸の日が近づき 試楽とかいろいろ大騒ぎの頃 命婦が宮中へ来た
『どうしている』源氏は不幸な相手を気の毒に思う 命婦は近況を話す
「あまりに可哀想です 見ている者たちも これではたまりません」
綺麗に終わらせようと願っていた この人の考えも台無しにしてどれほど
恨んでいるだろうとまで源氏は思った またあの人は無口なまま物思い
をしているだろうから 可哀想だと思った

『とても忙しいのだ しょうがない』と嘆息して
『こちらがどんなに思っても理解してもらえないから懲らしめてやろう』
こんな冗談を言って源氏は微笑んだ
若くて美しい源氏の顔を見ると命婦も自分が笑顔になる気がした
誰からも恋の恨みを受ける年頃なのであり 女の気持ちに鈍感なのだ
自分勝手なのも無理はないと命婦は思った

この行幸の準備が忙しくなくなってきてから 時々は源氏は常陸の宮家に
通った その間に若紫を二条の院へ迎えたから 現時は小女王を愛する
ことに一心で 六条の貴女に逢うことも少なくなっていた
通っていくことは いつも気にかけていたが おっくうになっていった
常陸の姫君のまだ顔も見せない 大変恥ずかしがりやの正体を
みてやろうとも特別にしないで時は経っていった


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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