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ジンジャーエール湖畔・於 目次|←|→
(地下鉄は暗黒の宇宙を駆ける乗り物。TOKYOの地下は何色もの光りがからまりあって軌跡を描く、決して衝突することなく、闇の中を色とりどりに描いている。そのまっくらやみを、好きな人に会うためにわたしは電車を乗り継いでゆく。この宇宙空間では電車はもはやそのままの姿をしておらず、流線形そのものになってしまう。数回の乗り換えには、水色の線、赫い線、銀色の線、ピンクの線、をそれぞれ良きタイミングで捕まえなければならない。何色もの流線形を捕まえるのは、それはそれは大変なこと。キオスクで買ったホールズのオーシャンブルー味を舐めながら、苧環を辿って光の束のなか、SHINAGAWAを目指してゐる。着いたらホールズはすぐに吐き出してやる。)
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