| 2004年07月08日(木) |
コロンボで自爆テロ発生、LTTE分裂 |
7月7日、スリランカの首都コロンボ市内の警察署で爆弾テロがあり、自爆テロの犯人と4人の警官が死亡、多くのけが人が出た模様です。自爆テロの犯人は、スリランカのタミール人政党の「EPDP」(Eelam People's Democratic Party)の党首の家の近くをうろついてたところを警察に見つかり、警察署で取り調べを受けようとしていたところで持っていた爆弾を爆発させたようです。
この事件の背景を少し説明しておきます。今年の3月上旬のことですが、スリランカの反政府タミール人組織のLTTE(もちろん非合法です)内で分裂事件がありました。LTTEの指導者「プラバカラン氏」が配下の有力な軍司令官(カルナ氏といいます)を突然解任したのでした。LTTEの指導部内に対立があったようです。
その後、プラバカラン側は、カルナ側を制圧しようと武力に訴え、カルナ氏は独自の抵抗組織を立ち上げようとしたのですが、プラバカラン氏側の弾圧でカルナ氏結局国外に逃れたようでした。
この間、スリランカでは4月に総選挙が実施され、和平交渉を推進してきたUNP政権が破れ、クマラトゥンガ大統領率いるPA政権が樹立されたのでした。コロンボのスリランカ政府はLTTE内紛に対して中立を表明していたのですが、政府軍がLTTEの反乱分子を陰ながら支援してきたのは事実のようです。
南部のタミール人社会における穏健な人達は、選挙において合法的な代表者を選出し民族問題を解決しようとしています。そのひとつが「EPDP」という組織でした。この政党は今回の選挙で全得票数の0.3%を獲得して国会に「1議席」を確保しました。
実は、この「EPDP」がタミール人の非合法組織のLTTEの内紛を解決しようと、「プラバカラン」「カルナ」氏の仲を取り持とうと画策したのです。これが7月6日のことです。インターネットに配信された記事です。実のところ、そんなに簡単に収まるはずがないと思っていました。
July 06, Colombo: The EPDP, which has openly agreed to give its fullest cooperation to former LTTE eastern commander Karuna to join mainstream politics, has invited LTTE leader V. Prabhakaran to also take the democratic path, giving up military action.
こうした動きがあった翌日の爆弾テロということです。プラバカラン氏サイドが裏切り者を一人前に扱おうとした「EPDP」を攻撃したというのが真相のようです。いずれにしろ和平交渉当事者が誰なのかが不安定な状況(政府側もLTTE側も)では、和平はまだ遠い感じです。残念です。
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