ゼロの視点
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2002年11月04日(月) Vernissage

19時頃、友人のイギリス人女性カメラマンの展覧会・オープニングパーティーに行ってみた。彼女は夫の古くからの友人で、我々の結婚式およびその後のクレイジーパーティーの写真なども担当してもらった人。人の意外な表情を一枚のスナップとしてしあげる才能に非常に長けており、今見ても、自分の結婚式の写真が、なにかもっと素晴らしいモノであったかのような「錯覚」に私を陥らせてくれるのが彼女の作品だ。
 
 また、彼女は現在シリーズ化され刊行される一風変わったガイドブックの写真を担当しており、その一環で、私が日本のシリーズの執筆をつい最近契約したばかり。日本シリーズとはいえ、フランス人向けのモノなので、もちろんフランス語で執筆(250ページ)しなければならないのは、私には大変なプレッシャー。そんな時ふと、「写真家は言葉が必要なくて羨ましい・・・」と漠然と思ったものである。

 さて、パーティー会場に早めに到着すると、まだそんなに人はいなかった。でもすでに知っている顔がチラホラみえたので、挨拶をかねてベラベラとお喋りに興ずる。おまけに、赤ワインが飲み放題。

 そんなことをしているうちに、気がついたらパーティー会場はかなりの人出になっていた。カメラマン本人に招待されてやってきたものもいれば、ふと通りかかって、面白そうだからとやってきた人まで色々。
 
 パーティー会場は、レストランを借り切ってのもの。ある程度色々な人と喋り尽くした後、ぼうっと会場のデコレーションや、人々を眺めているうちに、ふと色々な疑問が湧いてきた。私は個人的にこの展覧会をやっているカメラマンの生活を知っている。決して裕福ではない。とはいえ、ディナータイムにレストランを貸切にして、なおかつフリードリンク、食料などの出費はおそらく、彼女の懐から・・・・。

 となると、写真家は言葉がなくて羨ましいと思っていた、アル意味での「隣の芝生」的な発想が、ガタガタと崩れてくる。

 私と夫は、よくパーティーを主催したり、または招かれたりするのだが、フランス人の大半は、一般的日本人が想像するより遥かにケチ。もう少しいい言い方をすれば倹約家。私もこっちに住んでから、すっかりこの感覚に慣れてしまっているので、ある程度大金(私にとって)がかかっているものを見たりすると、ドキドキしてしまうのだ。
 フランス人のパーティーでお金がかかっているように見えるものでも、よーーく観察してみれば、節約できるところは徹底的にして、それ以外はコネで様々なサービスを無料で提供してもらっていたり、することが多い。

 しかし、駆け出しのアーティストとなると、話は別だ。彼女は自分をもっともっと売り込むために、盛大なパーティーを自腹で開き、そこにプレスなども呼んでセールスしていかなければならない。

 ずいぶん前に聞いた話だが、駆け出しピアニストなども、教会でコンサートする時などは、自腹で教会を貸しきり、入場料なども安めに設定してみるものの、それでも人が入らないので、その大半のチケットは招待券をして友人・知人に無料で配らているそうだ。

 お金に余裕のある人にはいいが、そうじゃない貧乏アーティストにはつくづくキツイなあ・・・、と思ってしまった。自分の広告を自らマネージメントすることの現実的な困難がここにある。

 とはいえこのパーティーの主催者Bは、かなりバイタリティーのあるタイプだし、コミュニケーション能力も抜群に高いので、いつかはもっともっといい結果を掴みとっていくんではないか、とあまり心配していないが、それに対して、繊細なタイプで内省的、そして貧乏なタイプのアーティストはどうやって、自分を市場に売り出していけるのだろうか?!?!?!?!。

 私も、フランスで徐々に売り出していく予定のモノ書きの一人。フランスはコネが大変強い国なので、そのコネをうまく掴んで社交をしていく必要があるとはいえ、私の場合は、意外にラッキーだったのかもしれないな・・・?、とも考え始めた。展覧会、コンサートなどの大掛かりなことは、少なくとも主催しなくてもいい。要は、パーティーや様々な機会で出会った人との会話を自然と楽しみ、それでいて議論好きのフランス人に面白おかしく自分の考えを披露していく。その後、ラッキーなことに誰かから、「キミの考えを10枚くらいの概要書にまとめてもう少し構築的に書面で教えてくれないか?」なんていわれれば、もう仕事の可能性は、あなたのそばにある。

 今回の仕事の原稿料の少なさに、ちょっとボヤいていた私だが、もともと出費もなにもないところに、この原稿料なら、かえって写真家よりも減価償却率がいいんではないか?、と、パーティーの終わりごろには、すっかり私の考えが変わっていた・・・・・・。

 でも、やっぱり母国語以外の言語でモノを商品として書くのは、キツイよーーーーーーーーーーーーっ!!!!。


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