長渕剛 桜島ライブに行こう!



青春のクラッカーを鳴らしましたか? (桜島ライブ25)

2004年09月22日(水)

『青春のクラッカーを鳴らしましたか?』−桜島ライブ(25)

                 text  桜島”オール”内藤





フェリーに乗るのに、フェリー乗り場から逆の方向に歩いていく人たち。
はるか、はるか離れた乗船待ちの列に並ぶために・・・。
桜島フェリー乗り場の階段から撮影。


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M-14 勇次 −アルバム『Hungry』(1985)−



このライブは違う・・・。

いつものライブとは全然違う・・・。


そんなことは来る前からわかっていたことですが、
『くそったれの人生』が終わった瞬間、
耳をつんざく爆発音と共に、
耳慣れたキーボードの音色を聴いた僕は、
そのことをあらためて
目の前に突きつけられた思いでした。

最初は、なにかの間違いかと思いました。
似ているけど、別の曲ではないかと。
またはライブの熱狂で、自分自身、
わけがわからなくなっているのではないかと。

でも、そんな迷いを打ち消すように、
剛が叫びました。

「勇次、歌うぞーっ!」

紛れもなく『勇次』!

えーっ、ウソだろ!

そんな声が周りから聞こえました。
僕もまったくもって同感。

慌てて拳を突き上げた僕ですが、
頭の中はパニック状態でした。
このライブのハイライトで待っていると、
勝手に確信していたこの曲が、
まだ、2時間しか経っていないこの時間に、
朝まで続くオールナイトライブの、
日付も変わらないこの時間に、
なぜ演奏されているのかが理解できなかった。

いいの?
この曲、ここでやっていいの?
という感じ。

1989年、昭和ツアーの東京初日、
ライブで聞いた『勇次』が耳にこびりついて、
翌日、近所の新星堂に行った。
剛のアルバムのコーナーのCDを、
一枚、一枚、曲名を確かめながら手に取った。

あった・・・
アルバム名は『Hungry』。
剛がメークしてニワトリと写っているジャケット。
『勇次』を何度もリピートして聴いた。
何度聴いても、胸がしめつけられた。

それからずっと、
僕が通ったすべてのライブで、
一度も欠かさず僕らを熱狂させてきた『勇次』。
毎回、毎回、よくも飽きずに、
と自分でも思うけれど、
この桜島でもやっぱり、
『勇次』のイントロを聴いて、
胸の奥にしまっていた青春が騒ぎ出すのです。

そんな、
長年、剛のライブで圧倒的な輝きを放ってきた『勇次』。
アルバム『Hungry』以降、
誰もが認める、剛のナンバーワンソング。
当然、桜島でもそれにふさわしいポジションが、
用意されているはずだと思いました。

しかし、紛れもなく、剛は歌っていました。
まだ序盤も序盤の、このタイミングで、
『勇次』をいつものように、歌っていたのです。


勇次 あのころの
空を忘れちゃいないかい
勇次 あのころの
エネルギッシュな おまえが 
欲しいーっ!



やがて、曲は2番に移り、このとき、
剛は出だしの歌詞を忘れて

「#△X%$&^*のシアターっ!」

と大急ぎで言葉を探して歌っていました。

「ヒュー、ヒューッ!」

剛のミスをはやし立てる歓声も上がりました。
猿も木から落ちる。
思わぬ代表曲でのとちりに、
剛も笑ってごまかしていました。

そして、ライブの『勇次』の2番と言えば、
そう、クラッカー!

前日コンビニを何軒も周り、
どうにか調達して持ってきたクラッカーで、
僕も友人も、恒例のクラッカー鳴らしに参加。
実は、剛のライブにクラッカーを持っていったのは、
これが初めてでした。

幸運なのか残念なのかわからないことですが、
Aブロックにいたために、
クラッカーを鳴らした瞬間、
多く見積もっても1000人に満たない観客が鳴らす
クラッカーしか見れませんでした。
後ろの方では、いったいどれほどの、
壮観な光景が見られたのでしょうか・・・

全景を見ることは叶わなかったものの、
広い桜島の会場も、数万発のクラッカーから放たれた、
火薬の匂いで爆発しそう。

まだ第一部だというのに、燃えに燃える桜島。
その燃えたぎる勇気の花たちめがけて、
ホースで水をぶちまける剛。
Aブロックの前半分が、その水をかぶっては、
大騒ぎして喜んでいました。
僕のところまでは、ギリギリ届かない水でしたが、
その代わりに僕は自分の汗をまき散らしながら、
ちぎれんばかりに拳を上げて歌いました。

帰りたい!
帰れない!
青春と 呼ばれた 日々に


ふと見ると、
普段そんなに熱く燃えない友人も、
力強く拳を上げている。
これが『勇次』だ。

その『勇次』がなくても、
この先、6時間先まで、朝まで、大丈夫なんて、
スゴイことだと思いました。

ひとつには、『桜島』の存在を感じました。
ある意味、『勇次』を越える、強力な歌、
それが『桜島』です。
ZEPPの『桜島』の迫力は、ほんとに物凄かった。
あれがあるから、今『勇次』のカードが切れるんだ、
まずは、そう思いました。

でも、でも、それだけじゃないような・・・
そう、あの曲の存在。
誰もが待ち望んでいる、あの伝説の曲の存在が、
否応なしに迫ってくるようでした。

必ずやるはず!と願いつつも、
いまひとつ自信が持てなかったのですが、
『勇次』という切り札をここで出したことによって、
かなり確率が高まったように思いました。

燃焼系の拳上げも最高潮の中、
気がつくと、剛は、ステージ上にぶっ倒れていました。
以前の剛なら、『勇次』で力尽きたか!
と思ったかもしれませんが、今の剛が2時間程度のライブで、
力尽きるはずがない。

安心してステージに送るツヨシコール。
『勇次』で燃え上がった大観衆のコールが、
倒れた剛に降り注ぐ。

ぐったりと横たわり、顔を伏せながらも、
チラッと目を開いて、観衆のリアクションを確かめた剛。
頃合いを見計らって、うつぶせのまま、
体をまっすぐに伸ばすと、
拳をステージに立てて、腕立て伏せ。

「うぉおおおお!」

と盛り上がる大観衆。
10回ほどの拳腕立てのあと、立ちあがった剛。

「シャアアアアアアーッ!」

絶叫で、『勇次』に引導を渡す。

とにかく意外性満点。
白熱のライブはこのまま、
第一部エンディングになだれ込むのか?
と思わせました。
磐石に思われたライブ展開。
しかし、次の曲で、

やや、不可解な局面・・・あり。



続く


<次回予告>
絶好調のライブ、まさかの失速!
感動のMCとなるはずが、言葉に心が感じられない・・・
剛、どうしたんだ?

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