私には亮介を想う資格なんかない。 むしろ。 亮介に謝らなきゃいけないのに…ね。
忘れもしない12月19日。 私は精一杯の勇気を出して。 亮介に塾のテキストを借りて。 そのテキストに「前から好きだった」って書いて。 亮介に返した。
次の日の朝。 私は亮介と一言もしゃべれなかった。 「言うんじゃなかった。亮介と気まずくなるのなら。」 そう思っていた。 2時間目まで。 目も合わなかった。 亮介は授業中も寝てたし。 やっぱり、「私の気持ちって迷惑だったのかな?」って思った。
3時間目。 体育でしかも私の大っっっ嫌いな持久走だった。 友達と走っていた時に。 後ろから亮介が私の事を抜いた。 その時に亮介が私のことチラッと見てから。 「キツイねー。」って。 それが告白後一番最初に交わした言葉。 でもすっごく嬉しかった。
それからは普通に話せるようになった。 普通に「友達」として。 あの時した「告白」はなかったかのように… そうして、月日はどんどん流れていった。
2月に入ってから。 塾で席替えがあり。 私はユウの後ろの席になった。 そして、学校でもユウと席が前後ろの関係だったため。 ユウといろいろお互いの恋関係について聞いていた時期だった。 お互いに本当の事は言わなかったけど。 そんな中、私がつい口を滑らしてしまい。 亮介に告白したこと。 だけどまだ亮介から返事をもらっていないこと。 全て、ユウにバレる結果になった。 私立入試、直前だった。
そしてユウがキレた。 「何でアイツは返事しねぇんだよ!」…と。
そして。 ユウが亮介に問い詰めたらしく。
その次の塾の時に。 「もうちょっと亮介のこと待っててやれ。」って。 ユウに言われて。 「何で?」って聞く私に。 ユウは苦笑いして「アイツ、私立入試が終わったら言うつもりだったんだってよ。」って言った。
ねぇ。 私が言ったのは12月だよ? わかるよ。 言っちゃいけない時期に。 私のことなんかを考えていられない時期に。 勉強の事を考えなきゃいけない時期に。 私は亮介に想いをぶつけてしまった。 そして。 私はその時に、亮介を信じることが出来なかった。 その時の私は 「嘘だ。ぜったいユウが亮介に私の事を言わなかったら。 亮介は私に返事をする気はなかったんだ。」…と。 勝手に解釈をしてしまった。 だからユウに「…もういいよ。返事なんかいらない。」なんて。 心にもないことを言ってしまった。 しかも、その時に私は結構大声を出してしまったみたいで。 絶対、絶対亮介にも聞こえてた。 授業が終わると亮介は私のほうなど見ずに自習教室に消えた。 そして、ユウは「返事はいらないって伝えてこようか?」って言って来た。 私は…そこで「ううん。」って言うべきだったんだと思う。 だけど私の口から出た言葉は。 「うん。お願い。」って…
そして、ユウは亮介に伝えた。
あとから聞いた話では。 ユウが亮介に伝えた後。 亮介は勉強に全然取り組めなく。 「絶対俺、傷つけたよね…」って自分をずっと責めていたらしい。 「何で早くいわなかったんだろうね。」って。 罪悪感に悩まされていたって。 ユウからも聞いた。 友達からも聞いた。 亮介と仲のいい他中の塾友からも聞いた。
責めるべきなのは私だよ。 ユウに全てを任せた私だよ。 自分を責めないで。 そう、言いたかった。 今でも、言いたい。
今じゃ、全て遅いけれども。
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